若いママって羨ましく見えたりもするけど、実は「キャリアが築けなかった」「主婦経験しかない」と、若さゆえの苦悩を抱えている人も多いんです。それでも「30代は自分の人生も大事にしたい!」と踏み出したママたちがいます。
30歳でVERY専属モデルになったクリス-ウェブ 佳子さんと、2人の男の子の子育て真っ只中の加藤ローサさんにインタビュー。専業主婦だった頃のしんどさや葛藤、そこから一歩踏み出す勇気についてうかがいました。
追い詰められて
しんどい時期があった
――ウェブさんは30歳でVERY専属モデルになって、まさに「新しい私」を体現していますが、24歳と25歳で出産された後は、専業主婦だったんですよね。
ウェブさん(以下、敬称略)次女が幼稚園に入るまでの4年間は専業主婦でいようと決めていたんです。そろそろPR会社に復帰したいなと考えていた28歳で声をかけていただいて、まさか自分が表に出るなんて思ってもいませんでした。
ローサさん(以下、敬称略)社会復帰がVERYなんですね!
ウェブ 母がキャリアウーマンで生後3カ月で私は保育園に入ったから、母は母で子育てを逃したという気持ちもあったみたいで。かっこいい母に憧れてはいたけど、私は一定期間は絶対に子育てに専念しようと。
ローサ 私も同じかも。うちの母はシングルでずっと働いていたので、漠然と早く家庭を持ちたいなと思っていました。
――ローサさんは26歳の時に長男をフランスで出産して、3年間ヨーロッパ、帰国して4年間は静岡と、専業主婦にならざるを得ない状況もありましたよね。
ローサ 初めての母業、妻業のうえに言葉も通じなくて、前向きになれなくてすごく辛かったんです。まだ喋れない子どもに追い込まれて、友達はいない、社会との関わりもない、夫のヘルプも期待できなくて地獄でした。
ウェブ 私もよく号泣してた!
ローサ けど、あんな思いをするならシッターさんに預けて、もっとラクすれば良かったなって。専業主婦だから完璧に頑張らなきゃと思い込んでいました。
――来年、下の子の入学を控えて、考えていることはありますか?
ローサ まさにそのタイミングで。送迎もなくなり一区切りつく感覚があって、芸能事務所に入り直して本格的に復帰しようかすごく迷っています。
ウェブ 今はいろいろな働き方があるし、子どもの年齢によって働き方は変わるから、やりたいことを選んでコントロールできる環境づくりが大切だと思う。
――マイペースに働きたいからと、今は起業するママも多いですが、いざ何をしたらいいのかわからないという人もいて。
ウェブ 自分は何が得意か、何が好きか、じゃないかな。
ローサ やりたいことが漠然としていたり、一回休むと外に出るのが億劫な気持ち、すごくわかります。けど、たまにお仕事をすると精神状態も良くて、家事も楽しめるんですよね。
ウェブ 何をしたらいいかわからないなら、周りに聞くのもオススメ。セルフプロデュースポイントって自分より周りのほうがわかってくれてるから。そのためにもつねづね好きなことや得意なことは発信しておくといいかも。
お金を稼がなくても
立派な社会復帰になる
ウェブ あと、いつまで続くかわからないのって怖いから、専業主婦になるなら期間を決めるのもいいと思います。でも、社会との接点をゼロにはしないで。私も自宅で翻訳の仕事はしていました。
ローサ 私は静岡時代に少しでもパワーアップしようと、韓国語、英語、お料理、ピラティスを習っていたら結構忙しくて。
ウェブ それもいいと思う! お金を稼ぐことだけが復帰じゃないから、PTAや学童のボランティアなどもアリ。私も小学校の読み聞かせを7年間続けました。子どもも喜ぶし、人前に出るトレーニングにもなるから、子どもの教育現場は社会復帰の第一弾としておすすめ。最初から意気込まなくてもいいんじゃないかな。
――若くてキャリアがないことを引け目に感じることもない?
ウェブ 全然! 自分がやりたいタイミングに素直に動いたらいいと思う。あと、3〜4歳の小さい子も大変だけど、思春期の子どもはもっと大変だと実感していて(笑)。昔は体力を使ったけど、今度は精神力勝負。親としてそこに向き合う余裕は絶 対に持っておいてほしいから、復帰するならいかに心地よい環境で働けるかはすごく大事。その環境づくりは専業主婦の間に整えてほしい。資格も通信でいくらでも取れる時代だから。
ローサ 私は結婚して一旦お仕事を辞めたのが第二の人生で、そこで得たものも多いなと思っているんです。外国生活も静岡のママ友との出会いも全部財産。誰にもできないプライスレスな仕事をしたと思っています。けど、やっぱり働くことって自信にも繫がるから、今後は自分なりの一歩を踏み出したいなって。
ウェブ やりたいことがあるなら、どんなに小さな一歩でも踏み出してみて!
◉クリス–ウェブ 佳子さん
1978年生まれ。14歳と13歳の女の子ママ。専業主婦だった28歳の時に編集長にスカウトされVERYモデルに。ブログの高い文章力がきっかけとなり、ライター、ラジオDJ、翻訳家など多彩な顔を持つ。
◉加藤ローサさん
1985年生まれ。7歳と5歳の男の子ママ。高校1年でモデルデビュー後、ドラマやテレビで活躍、26歳で結婚。その後、育児に専念するため専業主婦に。夫はサッカー選手の松井大輔さん。
撮影/杉本大希〈zecca〉 ヘア・メーク/川村友子(ウェブさん)、菊池かずみ(加藤さん) スタイリング/石関靖子 取材・文/宇野安紀子 編集/鈴木恵子
*VERY2019年8月号「私たち、今は専業主婦です♡ 第2弾 20代は子育てに精一杯だったけど、これから新しいこと始めるのだってありじゃない? 30歳から、新しい私になれる!」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。