ワンオペ育児が話題になる一方で、まだ男性の5%しか体験していない育休。『男コピーライター、育休をとる。』は、電通のコピーライター・魚返洋平氏が、育児休業中に経験したさまざまな出来事を語った体験記。フリーランスではなく、会社員として雇用される立場の男性として、「親しい人に話すように、育児と向き合ったときの気分を素直に伝えてみたかった」と魚返氏。「会社とは180度違う大変さ」に気がついた男性が、妻と“共育て”をする日々について綴られた、興味深い一冊になっています。
魚返氏の奥様も別の業界で働く会社員。38歳のとき第一子の出産にともない育休を取り、そこに半年間だけ魚返氏が合流する形で、二人三脚の育休生活がスタートします。育休を申し出た上司にすすめられ、「ウェブ電通報」で育休コラムの連載を始めると各方面で話題に。2017年7月から2018年9月にわたる計10回分の連載を再編集し、『男コピーライター、育休をとる。』が刊行されました。エンドレスな育児の過酷さに直面して、「き、きつすぎる!無理だ無理。これは破綻する」と弱音を吐いたり、我が子につきっきりだからこそ立ち会える黄金の瞬間に感動したり、「育児は休日がなく平日が7日」と悟り、母親の孤独、焦燥を理解していく様子など、共感できるエピソードがいっぱい。第30希望まで記入欄がある入園申込書に驚く保活体験記や、サラリーマンならではの切実な減収問題、育休明けの時短勤務の現実など、リアルなガイドブックとしての読み応えもたっぷりです。
魚返氏は、男性にとっての育児休業を、研修や現場実習のようにとらえ、“育児インターン”と名付けたそう。男性が抱える育休への疑問や不安に応える書『男コピーライター、育休をとる。』は、パパへのプレゼントはもちろん、ママにとっても、男性目線で書かれた切り口が新鮮に感じられるはず。夫婦が共に会社を休み子育てに向き合った新しい家族像を、これからも続く子育ての参考にしてみてくださいね。
■大和書房 03-3203-4511