<VERYママ旅新連載> 脳医学者 瀧先生に聞きました!
『旅が子どもにもたらすもの』
第一回「子連れ旅行 子どもにとって旅がオススメな理由」
多くのママたちが行きたくても行きにくかった子連れ旅。
昨年、とある取材で出会った脳医学者の瀧 靖之先生に、ふとVERYママ旅プロジェクトの話をしたところ「子どもの頃にどんどん旅行に行った方がいいんですよ」という一言が。
脳科学的に見た、旅と子どもについてのお話をもっと詳しく聞きたいと思ったことがこの連載をするきっかけになりました。
旅が子どもにもたらすものの大きさを、全3回に分けてお伝えしたいと思っています。
第一回目は「子連れ旅行 子どもにとって旅がオススメな理由」です。
お話を伺ったのは
瀧 靖之教授
東北大学加齢医学研究所 教授・医師・医学博士。一児の父。脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人に上る。
最新の脳研究とご自身の子育て経験を踏まえた「科学的子育て法」に基づく、著書『「賢い子」に育てる究極のコツ』は10万部を超えるベストセラー。
VERYママ旅 Q.1
「旅は子どものためになりますか?」
瀧先生 A. 1
「はい、プラスの要素しかありません。脳科学的見地から見ても、幼少期の旅は絶対オススメです!」
旅行は、大人にとっても子どもにとっても
世の中の広がりを知るためにとても有効なんです!
子どもにもそれぞれの生活スタイルから生まれた自分の世界があるのですが行動範囲が狭いとそれだけ小さな世界になっていきます。
引っ込み思案のお子さんだとさらに世界は小さくなり、自分の世界以外に対する畏れが大きくなります。
私自身もそうでした。私は北海道出身なのですが、北海道はとても居心地がいいので、本州にすら行くことをためらっていたほど。
北海道から見たら東京も海外のようなものでした。
本州や東京にも畏れを抱いていたのです。
それも関係してか初海外も30歳を過ぎてから。
今でこそ学会で海外によく行くようになりましたが、もっと若い頃から海外に慣れ親しんでおけばよかったと強く感じます。
それもあり、息子は小さな頃から、学会に同行させており、彼が4歳の頃、飛行機で数時間もかけて、キューバに連れて行ったこともあります。
畏れをなくすには、親しみを深めることが何よりも大切です。国内でも海外でも、いつもとは違う、非日常の旅をして行動範囲を広げることで世の中の広がりを知り、小さなころから自分の世界以外に「慣れ親しむこと」それを繰り返すことで自分の自信へとつながり、恐怖心がなくなるのです。
英語など語学への取り組み方も
幼少期の海外旅行の経験の有無によって変化します。
英語などの語学も「慣れ親しむこと」が大切です。
旅先で英語を生きた言葉として身を以て知ると、授業で接する英語に畏れを抱くことも少なくなりますし、「試験のために覚える」勉学としての語学よりもよっぽど前向きな興味へと変わります。
異文化と接することも大きな経験となります。
日本とは全く違う生活スタイルなどを子どもの頃に体感しておくことで
子どもはしなやかにそれを受け止めていきます。
子どもの頃から全く海外に触れなかった人と、子どもの頃から海外によく行っていた人だと大人になってからの行動力にも差を生みます。
小さな頃に受けたカルチャーショックは、いい意味でこの先の人生に大きな影響を与えてくれるのです。
================================================
VERYママ旅 Q. 2
「乳幼児期の旅の経験は、子どもの記憶に残りますか?」
瀧先生 A. 2
「0、1、2歳の記憶は脳に定着しにくいと言われていますが、乳幼児の旅も充分意味があります」
写真を見せたり思い出話を繰り返すことで
子どもにとって大きな自信へと繋がります。
一般的に、記憶が残るのは、3、4歳からと言われています。
でもそれ以前に行った旅の写真を、大きくなってから見せたり、想い出話を話して聞かせることで、それは大きなプラスとなります。
こんなに小さいときにこんな経験をしたのだという気持ちは、子どもにとって大きな自信となるからです。
ですから、記憶の残らない時期に旅なんて……と思わなくて良いので
ママが行きたいと思ったら、ぜひ旅に行ってください。
小さな頃から世界の広がりを知ることは大変重要で、旅を繰り返すことにより、違う世界への親しみが湧き、畏れを抱かないようになります。
畏れを感じなくなると、大人になってからかなり有利。
様々な体験を通して、子どもは想像以上のことを吸収していきますので
成長していく過程で、きっとたくさんのプラスが得られるはずです。
子どもの選択肢を増やすためには幼少期から旅はもちろん、
色々な経験をさせることが大切です。
音楽を例に挙げてみましょう。
小さな頃から家にクラシックが流れていた家庭と、そうでなかった家庭とでは音楽に対する興味も変わります。
あまり親しんでこなかった人が、大人になってから、クラシックの演奏会に呼ばれたら、畏れにも似た抵抗感を感じてしまうかもしれません。
畏れを取りさらうためには、何事も親しみを深めることが大切です。
小さな頃は広く浅くでもいいのです。
子どもの頃から世界の広がりを知ると、興味の幅が広がり、何をするにも選択肢が増えます。
子どもによって何がきかっけで、何に興味を抱くのかはわからないので、色々なところに旅に行ったり、旅に限らず、色々な経験をさせることこそが重要です。
それが、大人になってからの人生にたくさんの可能性と大きな喜びをもたらしてくれるのです。
瀧先生のお話を受けて……
「子連れ旅は面倒臭い」
「プールと公園さえあれば楽しい子どもたちを海外に連れて行くのは親のエゴかもしれない」
「0、1、2、歳の子どもを連れて行っても、疲れるだけだし、子どもの記憶にも残らなさそうだから意味がない? 」
「3、4歳のやんちゃ盛りは、旅の移動中に騒いで大変!?」と
いくら旅好きで、旅に慣れ親しんだ人にとっても、ハードルの高い子連れ旅行。
でも子どもの頃の旅行が、世の中の広がりを知るためには大切で、
例え記憶の残らない時期の旅行でも、その先の人生にとって、旅の経験がもたらす影響の大きさは計り知れないことがわかりました。
旅は好きだけれど、子連れだと不安と思っていた人、
ぜひ今年こそ、ママ旅デビューしてみませんか?
VERYママ旅プロジェクト
VERYママ旅は、今年もたくさんのツアーを企画中です。
詳しくはこちらから >>>
取材・文/沼田 珠実(VERYママ旅プロジェクト)