<VERYママ旅新連載> 脳医学者 瀧先生に聞きました!
『旅が子どもにもたらすもの』
第三回「子連れ旅行 楽しみ方と好奇心の伸ばし方」
多くのママたちが行きたくても行きにくかった子連れ旅。
昨年、とある取材で出会った脳医学者の瀧 靖之先生にふとVERYママ旅プロジェクトの話をしたところ「子どもの頃にどんどん旅行に行った方がいいんですよ」という一言が。
脳科学的に見た、旅と子どもについてのお話をもっと詳しく聞きたいと思ったことがこの連載をするきっかけになりました。
旅が子どもにもたらすものの大きさを、全3回に分けてお伝えしたいと思っています。
三回目の今回は、「子連れ旅行 楽しみ方と好奇心の伸ばし方」です。
お話をお伺いしたのは
瀧 靖之教授
東北大学加齢医学研究所 教授・医師・医学博士。一児の父。脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人に上る。
最新の脳研究とご自身の子育て経験を踏まえた「科学的子育て法」に基づく、著書『「賢い子」に育てる究極のコツ』は10万部を超えるベストセラー。
VERYママ旅 Q.1
「どんな旅を子どもにさせればいいですか?」
瀧先生 A. 1
「旅先では、ママが楽しむこと、ママがリラックスできる旅がいちばんです。」
子どもよりもまずは自分が楽しむことを優先してください!
小さな子どもを旅に連れ出すことで罪悪感を持たれる人がいるかもしれません。
もしくは子どもが何かを学んだり、成長できる旅にしなければ……と
旅に行くことに対して、正統的な理由を求めたい人もいらっしゃいますよね。
でもそんなことは考えなく大丈夫。子どもよりもまずは自分が楽しむことを優先してください。
子どもは大人の行動を真似る習性があります。大人の行動を真似て、色々なことを学んでいきます。
ですから、ママが楽しんでいる姿をたくさん見せてあげてください。
楽しい時間の共有です。ママが楽しんでいる姿を見れば、子どもも楽しいのです。
その経験により、子どもも楽しむことを覚えていきます。
ママの笑顔が嫌いな子どもはいません。
そして非日常の旅は、常に緊張感を伴いますので、ママ自身ができる限りリラックスできるよう努めること、それも大切です。
不便さこそ、子どもを成長させてくれます。
旅では、今まで見たことのないものを見たり、海外旅行だったら異国の地でタクシーに乗ったり、早起きをさせられたり、入国審査で長時間並ばされたりなど、子どもにとって何もかも初めてで、楽しさだけではなく、迷惑でうれしくない行動を強いらされることもしばしば。
でもその不便さこそ、子どもを成長させるのです。
不便さから言うと、キャンプなどの経験もいいでしょう。
都会の、便利で甘やかされた日常だけしか知らない子どもだと、世界が狭くなり、いざという時に畏れが生まれ、尻込みしてしまいます。
不便さと我慢を覚えることにより、人間としての幅が広がります。
ただ旅の移動中など、窮屈さと退屈で騒ぎ出すこと子どもも多いでしょう。
それをあやしたり、抱っこしたり、それは親にとっての試練。
でも、そんな困難をひとつひとつ乗り越えることで、家族の繋がりが深くなります。
また親が違う言葉でコミュニケーションを取っている姿を見て、尊敬したり、常に海外にいることを意識したりします。
それもとっても重要な経験です。
語学を生きた言葉として認識できる瞬間です。
そんな経験が、この後の学校生活で英語を授業で習うときに、大きな影響を与えます。
構えずに、生きた言葉として英語を受け入れられるようになるのです。
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VERYママ旅 Q.2
「旅の感動は、子どもの成長にどんな影響を与えますか?」
瀧先生 A. 2
「脳を活性化させる“好奇心”を伸ばすのに役立ちます。
圧倒される感動を子どもの頃からたくさん経験させてあげてください。」
旅で得た感動は、もっと知りたい・感じたいという
様々な好奇心を与えて、伸ばしてくれます。
大人は、綺麗な風景を見たときや、海外旅行先で日本よりも貧しい風景を見たりした時、大きく感情が揺さぶられますよね。
それは子どもも同じで、子どもにとってはそれはもっと大きな感動・ショックを与えているかもしれません。
そんな圧倒される感動を子どもの頃からたくさん経験させてあげることはとても大切です。
旅で得た感動は、様々な好奇心を与えて、伸ばしてくれます。
それについてもっと知りたい、もっと感じたいという前向きな感情です。
好奇心は、脳を活性化させ、何歳になっても脳を成長させるので、子どもだけじゃなく、大人にとっても大切なこと。
旅は「世界を広げる」ことだけでも充分オススメですが、脳科学的に見ても本当にいいことづくめなのです。
本来、人は変化を求める生き物です。
旅に出て、非日常を楽しみ、そこで初めて出会う人や風景から様々なことを吸収していきます。
いつも生活をしている心地よい世界にいるだけでは、人は成長できません。
いつもと違う行動をすることで世界が広がり、色々な見方も変わってきます。
つまり人間としての幅が広がります。
大人でも、自分の世界から一歩外に踏み出すことで、その世界がいかに小さいかということを思い知るはずです。
一歩を踏み出すことへの畏れを感じる人も多いでしょう。
子どもの頃から、旅に行き慣れていると、その畏れを取り払うことができるのです。
そんな経験を子どもの頃からしていると、この先の人生にとってかなり違いが生まれます。
例えば、自分の生きる世界が狭いからこそ、いじめなどが生まれるのです。
不均一なものを見つけ、それをいじめる……
海外旅行に行くと、色々な人種がいて、不均一だらけなことに気づくはずです。
そんな経験も今後の学校生活を過ごす上で大切な経験となります。
一人一人が、自分が生きている世界の小ささを知ることで、いじめのない世の中になるのではないかと思います。
たくさんの旅行で得た様々な経験が勉強への興味に変化をもたらします。
学校での勉強も、事前に知っていると知らないとでは、興味の持ち方、取り組み方が変わってきます。
例えば、行ったことのある場所の歴史や地理、語学などは、前向きな興味となって、授業を受ける際も、すっと違和感なく吸収しやすくなります。
本当に旅が子どもに与える影響は計り知れません。
ママが行きたいタイミングでいいですし、ママが楽しめる旅こそが子どもにとってもプラスになることを忘れないでください。
可能な限り、どんどん旅に出てください。
取材・文/沼田 珠実(VERYママ旅プロジェクト)