家事育児は〝手伝う〟から〝シェアする〟時代に。頑張るパパの悩みに応える連載の第10回。RYUCHELL(りゅうちぇる)さんの愛ある叱咤激励と、ジェンダー論のプロ・東大人気No.1講義の瀬地山 角先生の分析を、ぜひ夫婦でシェアしてみてください。
今月の悩めるパパ ⑩
戸田聡太郎さん(仮)/37歳。娘3歳。大手食品メーカーに勤務し、趣味はお酒と食べ歩き。コロナ以降は自宅で理想のハイボールを作ることが楽しみ。1歳年上の妻とは職場結婚。
2人目問題で悩んでいます。僕は娘にきょうだいを作ってあげたいですが、妻は望んでいないようです。ひとりっ子であることを、妻がいつか後悔しないか不安です
「娘3歳、妻は38歳。妻は同じ会社の他部署でフルタイム勤務です。年齢的にも2人目をそろそろと思うのですが、妻は望んでいません。仕事と育児の両立が大変なのと、一番は娘がママを取られたくなくて「赤ちゃんいらない!」と言っているのが大きいようです。子どもの気持ちはコロコロ変わりますし、私自身は3人きょうだいなので2人は欲しいと漠然と考えていました。育児には積極的に関わっているつもりで、朝の登園、週末の習い事の送迎と買い出し、娘と2人で過ごす時間も作っています。今後ももっと頑張るつもりですが、それでも妻はYESと言いません。いつか後悔しないかと悩んでいます。」
ジェンダー論のプロ・瀬地山さん
から悩めるパパへのアドバイス
妻が夫の家事育児参加に
納得していない可能性が。
もっと協力すると証明を
妻が第二子を望んでいて、夫が望まないケースももちろんあります。ただ、第一子の時に夫の育児参加が活発だった層とそうでない層とで、第二子の出生率に大きな差が出ることが厚労省の調査で明らかになっています。この夫婦のケースも、妻が夫の家事育児への協力をあまり信用できていない可能性がありますね。夫はやっているつもりでも妻としては不充分だと感じているのでは? 朝の登園、週末の買い出しや習い事の送迎、娘とのお出かけをしているようですが、個人的には共働きでこの程度で許されるのかと大変驚きました。何もやっていないに等しい状態です。残りの負担をすべて妻が担っているのなら、もう一度こんなことをやるのは嫌だと思っている可能性があります。2人目を強く望むなら、夫にとってはそこが相談のポイントではないかと思います。現状、両立が大変なのは理解していても、その大変さをまったくシェアしていません。まずは家事育児のタスクをすべて書き出し、平等にシェアするように話し合うべき。週3回、夕食を作るくらいのことはする。妻が気兼ねなく残業できる日を設けてください。急には無理なら最低限、毎日の朝食を準備する。これなら明日からでも始められるはずです。ここまで自分が担うからと約束して実行する。できることを証明してから、自分の意見を主張しましょう。
瀬地山 角先生
東京大学大学院総合文化研究所教授。専門はジェンダー論で、東大での人気講義No.1と評判。2児の父として10年間保育園の送迎をし、現在も普段の夕食作りを担当。近著に『炎上CMでよみとくジェンダー論』(光文社)。
撮影/杉本大希 ヘア・メーク/megu スタイリング/曽我一平 取材・文/宇野安紀子 イラスト/N.Ryosuke 編集/井上智明
*VERY2022年7月号「りゅうちぇるの「パパの子育て悩み相談室」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。