※このコラムはVERY2022年5月号(2022年4月7日発売)に掲載されたものです。
みなさんは、ウクライナの状況をお子さんにどんなふうに伝えていますか? 我が家は上の子が6歳なのですが、まだ伝えられていません。というのも、周囲に悲しんでいる子が1人でもいると自分も沈んでしまうような繊細さがある子だから、まだ早いのかもと思って…でも、そろそろ話してみようかなとも思案しているところです。子どもにとって重すぎる、悲しすぎる話題から守ることは大人の責任だと思う一方で、真実を伝えていくことも大切ですよね。どれくらい、いつから伝えるかは各家庭の問題ですが、単なる年齢ではなく子どもの状況や性格、知識に応じて伝えていきたいなと思っています。
私自身は日々ウクライナの情勢に胸を痛めて、日米問わずいろんなニュースをみています。日本の報道姿勢でときに残念に思うのは、あくまでも「遠い国の話」という仮定でコメントされる場合があること。日本人が死んでいなければいい問題ではなく、私たちと同じような子育て世代も避難を強いられ、命を落としている現実を、自分ごととして捉える感覚はとても大切だなと思います。日本がもし侵攻されるようなことがあったら…突き詰められますよね…。とりあえず今私たちができることは、独裁者に対してはっきりルール違反だよとそれぞれの方法で示していくことなのかなと思っています。また、これまで散々男女平等について話をしてきていますが、ウクライナでは18歳から60歳までの男性は出国を許されていません。ニュースでは家族のために戦うお父さんが登場したりするけれど、そういう人ばかりではないだろうし、男性だからという理由で死と隣り合わせにならなければいけない悲しさにも、気付かされました。
日本では、政治と宗教の話はママ友の間でもご法度というか、話すのは野暮だというような雰囲気があると思います。「ママ友の会話に、ウクライナの話題を持ち出すのはやめて」と言われた知り合いの話にびっくりしました。私は、ウクライナ攻撃について、みんなとも話したい。Twitterで一言つぶやくだけでもいい。ごく普通の私たちがつぶやくことも、私たちができる反戦だと思います。芸能人も政治的な話題には声を上げづらい風潮があるけど、変わっていけばいいな。
私は小1まで横須賀基地内の小学校に通っていたのですが(父はアメリカ海軍の軍人でした)、当時は湾岸戦争のさなか。ある日の授業で、水が入ったコップがみんなに配られました。先生がそれぞれに油を垂らして回り、「油だけをすくってごらん」とおっしゃったのですが、やってみると全然上手にすくえなくて。湾岸戦争によって引き起こされた原油汚染がいかに環境や人の営みに悪影響を及ぼすか教えてくれたあの授業を、いまだにはっきりと覚えています。アメリカではきっと今頃多くの子どもたちが、レモネードや手作りのクッキーを街角で売ったり、ホースとバケツを持って洗車したりしてお金を集めて、寄付活動をしているんだろうなと思います。日本では子どもが手軽にお金を稼げるような文化はないけど、親と一緒に使わなくなった本やおもちゃを売って売り上げを寄付しようとか、戦争に関しての絵本を読んだりとか(谷川俊太郎さんの『へいわとせんそう』がオススメです!)、親子で取り組んで意識を高められることはたくさんあると思う。あ、話していてこのくらいからなら娘もできるような気がしてきました。
ママ友にも、「ウクライナについて、どうやって子どもに伝えてる?」って、さも当然のように話しかけてみてほしい。話し合うこと、自分ごと化することは何よりも大切だし、世界を変える力になると思うんです。(3月3日取材)
◉SHELLY|シェリー
1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。6歳と4歳の娘の母。
姪っ子の誕生日に新大久保へ!平日の午前中は空いててオススメ。中学生の姪っ子は大喜びでした!
撮影/須藤敬一 取材・文/有馬美穂 デザイン/香取有美(MR_DESIGN) 編集/羽城麻子
*VERY2022年5月号「シェリーの「これってママギャップ?」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。