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内村航平さん「子どもの頃はクラブでも下手なほうでした」

逆上がりや、でんぐりがえしができるようになるには、親が手出しをしてできることではなく、子どもにとっては初めて自分と向き合い、歩き始めの第一歩と同じように自分で克服しないと達成できないことのように思います。「体操との出会いが子どもたちにもたらすものとは?」世界のトップに立つ内村航平選手に聞きました。

Special interview

流行りの自己肯定感って
どうやって高めてあげたらいいの?

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僕の場合、〝好き〟が
〝得意〟になっていった

子どもの頃はクラブでも下手なほうでした

両親の運営する体操クラブで3歳から体操を始めましたが、2歳下の妹が体操をするようになってからは、妹のほうが断然上手でした。子どもの頃、僕はクラブの生徒の中でも上達する速度が遅く、〝蹴上がり〞という動きをやり始めた時も、皆がどんどんできるようになった姿を横目に、ひたすら試行錯誤しながら、一人黙々と練習をやり続けていました。なので、初めてできた時の達成感は今でも鮮明な記憶として残っています。「できたー!!」と体育館中に声が響き渡るくらいの大声で皆に伝えまわっていた自分の姿を覚えています。

体操って自分で考えて、
自分でできるようになるしかない

できるようになってからは一度も失敗しなかったことも当時の自信に

できなかった時、どうしてできないのか、をひたすら考え、何度も繰り返すうちに失敗しない何かを自分なりに体得できていたんだと思います。〝蹴上がり〞が一番遅かった自分がチャンピオンになっているので、人生って面白いなって思います。

鉄棒はできなくて当たり前。
日常やっていないことをやるわけなので

努力する時間が長ければ長いほど、達成した時の達成感は大きい。
大人になってもその時の達成感は、きっと覚えていると思うんです

体操全般そうなんですが、逆上がりって普段絶対しない動きですよね。だからできなくて当たり前だと思います。G(重力)に逆らった動きなので。達成させることに親がムキになるのではなく、自分で努力して自分で乗り越えるプロセスを応援してあげる気持ちが子どもの踏ん張りにもつながるのではないかと思います。逆上がりの練習に、子どもと一緒に公園に行ったとしたら、できるようになることを目的にするのではなく、その場を楽しむことに徹した方が、子どもが鉄棒を好きなままでいられるし、続けられる。鉄棒などはYouTubeなどでも、やり方のコツの情報がたくさん紹介されてますが、その通りやってできるようになる子どもはそういないと思います。体操って、算数のように公式があるわけでもなく、やり方が無数にあるのでやり方の正解がないんです。自分に向いているやり方を反復しながら見つけ出すという地道な作業の繰り返しですが、正解がない分、自分に向いているやり方がなかったとしたら自分で編み出しちゃってもいいのが体操の良さ。一見地味ですが、そこが体操の面白いところだとも思っています。目標に向かって達成していく体操のプロセスって、人生においても大事なことだと思うんです。そのプロセスを幼い頃から体感しやすいことも体操なのではないかとも思います。

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好きなことであれば、少々上手くいかなくても頑張れるし、
次はこれ、その次はこれ、というように子どもって好きなことには貪欲ですよね

僕の長女は逆上がりが全然できなくて(笑)、教えてできるようになっても、後日やってみるとできない。残念ながら、どうも本人は好きではないらしいんです。でも、長女はその反面、恐竜が大好きで、毎日恐竜の図鑑を見ては目をキラキラさせて話しだす。恐竜の名前は100個とか200個とか言える。僕にとっての体操は彼女にとっては恐竜なのかもしれません。その好きな分野での経験を、人生を歩んで行く中で変換できればいいですよね。ただ、変換の仕方は大人が導いてあげないとわからないと思うので、それを教えてあげることも親の役目ではないかとも思っています。

好きなことを嫌いにさせないよう
続けさせてあげることも大切だと思います。

得意じゃないからという理由で諦める親御さんもいらっしゃいますが、それでも子どもが好きだったら、そのまま続けさせてあげればよいのだと思います。いつか〝好き〞が〝得意〞なことに変わる可能性を大いに秘めているんだから。

Special interview

「自己肯定感を高めるのに向いていると思うのは
自分と向きあって得た達成感が
子供の自信に通じるから」

内村航平さんの手

体操を見て、カッコイイ!
ああなりたい!と思われるように
僕たちががんばらなきゃなと思います

親が何か運動に挑戦させたいと思った時、
体操を選んでくれる子どもたちが一人でも増えてくれたら嬉しいです

子どもって跳んだり回ったりすることが好きですよね。学校でも体育の授業があるし、みんな子どもの頃に一度は体操に触れている。でも、体操には器具が必要なので、内容のレベルが上がれば上がるほど、サッカーや野球のようなスポーツほど気軽にやることができないし、競技を見られる環境も限られていることは、これからの僕たちの課題です。どこかに行く時、ほんとは技をやりながら進んだほうが速いんじゃないかなって思うことがあります(笑)。横断歩道で万が一車が突進してきた時、よけ方を頭のなかでシミュレーションしてみたり。実際やったことはありませんが。仮面ライダーを見て、子どもたちからカッコイイと思われるのと同じように、体操を見て、カッコイイ!ああなりたい!と思われるように僕たちががんばらなきゃなって思っています。

Profile 内村 航平

うちむら こうへい 1989年生まれ。32歳。オリンピック3大会(2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロ)に出場し、個人総合2連覇を含む7つのメダル(金メダル3、銀メダル4)を獲得。また、世界体操競技選手権でも個人総合での世界最多の6連覇を含む21個のメダル(金メダル10、銀メダル6、銅メダル5)を獲得している。国内大会ではNHK杯個人総合10連覇、全日本選手権個人総合でも10連覇を達成。プライベートでは8歳、5歳の女児の父。

ニット¥23,100 Tシャツ¥9,680(ともにスローン)ほかはスタイリスト私物

撮影/竹内裕二(BALLPARK) スタイリング/櫻井賢之 取材・文/鍋嶋まどか デザイン/大塚將生〈marron’s inc.〉 編集/藤田摩吏子

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