VERY July 2021

VERY

July 2021

2021年6月7日発売

780円(税込)

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中2で起業した大学生「起業の後押しは大好きな“ディズニー”」

 

中学2年で起業し、今年Forbes 30 UNDER 30 JAPAN ston特別賞にも選出された仁禮彩香さん。ママである私たちとしては、自分の夢を実現し、輝いている彼女がどのような幼少期を過ごしてきたのか?とても知りたいところです。

仁禮さんの原点である湘南インターナショナルスクールの魅力とともに、子ども時代のストーリーを仁禮さんご本人に語っていただきました。

前回は彼女の幼少期の豊かな教育体験から、子どもの頃から主体的に生きるたくさんの子育てのヒントを学びました。

今回は、仁禮さんの起業のきっかけとなったさまざまな出会い、そして教育事業に取り組んでいる仁禮さんから、これから未来へ羽ばたく子どもたちが「自分の人生を切り拓く力」を育むために、ママたちへ伝えたいメッセージをお届けします。

 

 

「彩香が幸せならお父さんは幸せ」と

父はいつも励ましてくれた

 

前回のインタビューでも登場した仁禮さんのお母さんは、仁禮さんの原点とも言える湘南インターナショナルスクール(以下SIS)を見つけ、娘を一人の人間として主体的に生きる道筋を作ってくれた方でした。では、お父さんはどのような方だったのでしょうか?

 

「父は優しくて “彩香が幸せならお父さんは幸せだよ”と言ってくれるような自然体な人です。育児に関しては母に委ねていて、介入しないスタンスでした。母は理にかなっていないことは、いい意味で厳しくとことん突き詰めて考えさせてくれますがそんな時に父が“ママちょっとこわいね”とさりげなく声をかけてくれたりする、そういうバランスの両親でした。自然体だけれど迷いがなく、“なるようになるよ”と励ましてくれるポジティブなタイプの人ですね」

 

 

自分らしく生きる

プロフェッショナルな大人との出会い

 

 

ご両親をはじめ「周りの人に恵まれて育った」と話す仁禮さん。特にSISの先生をはじめ出会ったたくさんのプロフェッショナルな大人との出会いが彼女のキャリアにも大きな影響を与えたそうです。

 

「SISではいろいろなプロフェッショナルの方を招いて授業を構築してくれていました。その方たちとの出会いが私の感性の部分に大きな影響を与えたと思っています。

 

例えば、サッカーの先生は、元Jリーガーの選手。アートはアーティストの人が、音楽はミュージシャンの人が教えてくれます。しかも元Jリーガーの先生は、当時靴を作って売っていたり。アートの先生が自分の個展を開いたらそこに遊びに行ったり。小学校の授業の中で、“世の中にはいろいろな生き方があるのだ”と体感できました。みんなが自分の人生を生きるということをしていて、いろんなアウトプットがある、ということを学んだのは私にとってすごく大きな経験でした」

 

 

いろいろな大人に会いたい!

という気持ちが起業へとつながった

 

「ところが、中学校に入ってみると、そういう大人にまったく会わなくなってしまいました。日本の子どもたちは学校に通っている一定の期間、先生という職業の大人としか会わなくなってしまいます。その時に私が感じたのは、“いろんな生き方をしていた大人たちはどこに行ったんだろう?”という疑問でした。学校で与えられた勉強をして、これを社会でどう生かすのか?というイメージも全然見えてこなくて“いろんな大人に会いたい!社会に触れたい!”という気持ちが湧き起こったのが起業するひとつのきっかけになりました」

 

 

大切なのは、いわゆる成功者よりも

自分の人生をワクワク生きる人に会うこと

 

「私が大切だと思っているのは、子どもたちを世の中で成功を収めている大人に合わせることではなく、自分の人生をワクワク楽しみながら生きている大人たちに触れてもらうことです。

 

これを読んでいるママたちの周りにも、いろいろな仕事をしている友達がいると思います。そういう友達に子どもと会ってもらったり、ママ自身が働いている自分を見せてあげるということも大事。お父さんの仕事場に連れて行ってあげるのもいいと思います。

 

身近にいる素敵な大人に、ぜひたくさん会わせてあげてほしいです。人はそれぞれ違うので、誰と接してもそれぞれ新しい発見があり、新しい学びがあるはずです。学びは身近なところにあふれています。人が自分と違う人に出会えるということは、自分がまだ見たことのない景色を見せてもらえるということ。その経験が大切な財産になります」

 

 

子どもの安心のためにも

大人は完璧じゃなくていい!

 

 

「今は、小学生から高校生までが参加するアカデミーをオンラインで開講していますが、特に大切にしているのは、子どもたちの心理的安全性です。子どもは緊張感のある場所で意見を聞かれても答えられません。安心して心を開ける関係性を築くために、定期的に1on1で雑談をして、心の状態を把握できるように努めています。アカデミーのことだけでなく、他のコミュニティで感じている問題など、全員がいる場で言いにくいことも聞くことができれば、いざ何か問題が起きた時もちゃんと話してくれるようになると思っています。

 

その時に、ポイントとなるのが、私たちが完璧でないことを伝えることです。実は、私はタイムマネジメントが苦手で、いつもオンラインのアカデミーでもみんなに”時間がきたら教えてね”と時間管理を彼らに任せています。

 

大人が弱いところや、できないことを見せていくことで、“完璧じゃなくていいんだ” “仁禮さんみたいに、できることとできないことがあってもいいんだ”と思えるので、子どもたちもできないことや、不安に感じていることを言いやすくなります。

 

お父さんやお母さん、先生も、子どもに完璧な姿を見せようとするのではなく、できないことや苦手なことを見せてあげてほしいです。そうすれば、子どもも安心して、自分のできないことや、苦手なことを伝えられますし、大人が苦手なことを理解して子どもが助けようとしてくれるということもあります。きっと、子どもといい関係性が築きやすくなると思います。

 

さらに、家族だけでなく、周りの友達との関係も完璧でなくていいというスタンスで付き合えると、子ども自身も、周りの人といい人間関係が築けるようになるはずです」

 

 

大好きなディズニーが

いつでも背中を押してくれた

 

子どもの頃からディズニーが大好きという仁禮さん。あるミッキーの言葉が彼女の転機となり、起業に導いてくれたといいます。

 

「ディズニーが本当に好きで、パークにもよく足を運んでいて、ディズニーのショーや作品の中のセリフやシーンに励まされ、助けられて生きてきました。

 

その中でも特に心に残っているのは、中学生の時に初めて見た『ファンタズミック!』というショーのセリフで、“君がどんなに強くても、これは僕の夢なんだ”という言葉。

 

これを聞いた時に、“私も、私の人生は自分で決められるんだ。どんなに周りの声や、常識、自分の中に自分を信じられない気持ちがあっても、私の夢だから決められるし変えられるんだ”と勇気づけられたんです。実際に、このショーを見た後に会社を起ち上げました」

 

 

親の余裕が子どもの余裕

ママは心のゆとりを大切にしてほしい

 

仁禮さんは教育事業に携わり、いろいろな家族に出会う中で、親の心の余裕の大切さに気が付いたといいます。

 

「親の余裕=子どもの余裕だと感じています。もちろん、遺伝子的な要因などもあり、すべてが親の影響だけで育つわけではないですが、家族は大きな外部要因です。親に余裕があると、子どもの感性が育ちやすいと思っています。

 

親に余裕がなくて周りに弱みを見せられないで生きていると、子どももそれを感知します。頭もいいし、お母さんが大好きだからこそ、お母さんになるべく迷惑をかけないようにしたいと思うと心を開きにくくなる。心を開く場所がなくて、学校で荒れてしまったりすることもあると、見ていて感じます。

 

お父さん、お母さんが心の余裕をもって、関わり合っている姿を見せることも子どもにいい影響を与えると思います。自分たちができること、できないことを話し合って理解し合い、補い合うという関係を築いてほしいです。

 

お母さんたちは責任感があって愛が深いからこそ、全部自分でやらなきゃと思って余裕がなくなってしまうこともあるかもしれません。でも、全部自分でやらなくても、助けてくれる人は周りにいるかもしれないし、すぐそばにいなければ、そういうコミュニティをネットで探して頼ることもできます。心のゆとりを作る工夫を自分のためにしてあげることが、一番身近にいる子どもをはじめ、そのまま周りに還っていくと思います。

 

 

英語は便利な表現方法のひとつ

長い目で習得していけばいい

 

 

インターナショナルスクールで幼稚園、小学校時代を過ごし、バイリンガルでもある仁禮さん。どのようにして英語を習得していったのでしょうか?

 

「幼稚園に入る前から英語のおもちゃを家で楽しんでやっていたものの、最初はいきなり英語の環境に入れられて何を言っているかわからないから毎日泣いていました。

 

SISには日本語を理解している先生と日本語がわからない外国人の先生がいて、日本語で話すと英語で返してくれて、外国人の先生にはがんばってボディランゲージで伝えることから始まりました。小学校は午前と午後で言語が分かれている環境でした。

 

英語が話せたほうが、自分が違う形で発信できたり、たくさんの人と繋がれたり、いろいろなことに役立ちます。受験のため、就職のためとかではなく、その子の人生を豊かにする表現方法として長い目で見て使えるようになってもらえたらいいな、というくらいの余裕がある気持ちで英語に触れさせてあげるといいと思います。

 

気を付けたいのが、なんで勉強しないの!というコミュニケーションが始まってしまい、英語が嫌いになってしまうこと。あくまで絵を描くという表現方法があるのと同じように、英語という新しい表現手法があるという感覚で捉えてほしいです。

 

確かに、早い時期に英語を体感するのはおすすめで、英語教育は小さい時のほうが習得が早いので3、4歳から英語に触れさせるのはいいと思います。ですが、英語学習は長い目で捉えてもいいと思うので、今すぐにアルファベットを書けないからとお子さんを怒らないでほしいです。

 

またSISでは英語と日本語を混ぜて話さないようにするというルールがありました。時間やシーンで区切って、言葉を切り替えていたからか、混乱はしませんでした。時間やシーンで区切ってあげるというのはおすすめかもしれません。私も、日常会話には困りませんが、ビジネス英語は勉強中です」

 

 

日本の子どもみんなが

人生を切り拓く力をもった未来へ!

 

 

現在は大学を休学して事業に注力している仁禮さんですが、将来は日本の子どもの誰もが人生を切り拓く力をもった未来へ向けて、教育事業を続けていきたいという想いがあるそうです。

 

「今は多くの人に届けられないけれど、モデルケースを作って社会のニーズを増やしていくタイミング。アカデミーも定員の3倍以上の申し込みがありました。今後は、私たちの教育方針である“自分を知る、自分自身のことを理解して表現できるようになる”というアウトプットが、今の教育ではなされていないので、日本の教育に浸透してほしいと願っています。

 

私たちが活動を続け、ニーズが高まってくれば、それがサービスとしてたくさんの人に届けられるようになります。最初は民間からですが、いずれ公教育にも自己認識、自己表現ができるプロセスが採用される未来を目指しています。今後私たち以外にもさまざまな方法で教育を彩り豊かなものにしてくれる人たちが出てきたらいいなと思います」

 

 

仁禮彩香(にれい・あやか)さん

1997生まれ。中学2年生で起業。現在は株式会社TimeLeapの代表取締役として教育事業を手がける。慶應義塾大学総合政策学部在学中。

TimeLeap(https://www.timeleap.today/

取材・文/加藤みれい

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