「親に、こんなときに保育園に預けるの?と言われた」「同僚の無神経な言葉にイライラ」「みんなが自粛中に仕事に行く罪悪感」。いろいろな価値観がいつも以上に交錯し、人付き合いに悩むことも多い今の時期、心のモヤモヤの対処には「受け流し力」が必要でした。今回は、育休復帰とコロナ自粛が重なったママの悩みをご紹介します。
A.Hさん(37歳)の場合
Q. 育休復帰とコロナ自粛期間がかぶった。
「育休延長して自粛してください」と保育園からは言われたが、一方職場からは「これ以上延長するなら育休給付金は出せない」と。結局お金の問題で緊急事態宣言解除後にすぐ復帰した。職場の人が「こんな大変なときによく復帰したね」とあたたかく迎えてくれたのは良かったけれど…。
A. 今の時期の職場復帰には感染の心配など不安な気持ちとともに、緊急事態のなかで、社会のシステムや法的整理が間に合わず、不公平感や疎外感を感じることもあるでしょう。このようなとき、特に自分の目の前のことしか見えなくなり不安が高まりがちです。例えば、少し視野を広げて、自分の一歩先の人生のことを考える機会だととらえてみてはどうでしょうか。それでもやはりこの仕事を続けたいのか、今後違うキャリアを考えたほうがいいのか、改めて考えるきっかけにもなるはず。東日本大震災の時、小学校教師をしていた私は、仕事上、当日病児保育に預けていた娘をすぐに迎えに行けませんでした。そのときの心の葛藤がきっかけで、心理職という違った立場で学校や教育に携わるキャリアを再選択したという経験があります。
アドバイスをくれたのは…
●岩谷由起先生
早稲田大学教育・総合科学学術院助手。公認心理師、学校心理士。同大学大学院在学中に本田恵子教授の元でアンガーマネージメント理論に基づいたカウンセリングを学び、スクールカウンセラーとして教育現場に関わる。
撮影/古本麻由未 取材・文/髙田翔子 構成/湯本紘子
*VERY2020年10月号「ママになったら『受け流し力』。」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。