【犬山紙子 緊急連載 】
コロナ禍中日記 3歳児とともに Vol.7
5月10日 母の日
母の日。
まだ自分がそこに当てはまるという実感がなく、「お母さんに肩たたき券をあげる日」というイメージのまま更新されていないなあと思いながら、実家の母と、夫の母とフェイスタイムで通話。
実家の母は寝たきりで、気管切開しているため話すこともできない。こちらから一方的に話しかける形だけど、ニコッと笑ってくれるので胸いっぱいになる。母はすぐに目を閉じたので、その後フェイスタイムでは孫たちが「どうぶつの森」をやっている姿がずっと流れていた。
夫のお母さんは、いつも猫を見せてくれるので、娘も嬉しそうだ。得意げに自分が書いたおじいちゃん、おばあちゃんを見せていた。夫のお母さんは娘に対してネガティブなことを全く言わない人でそれに救われてきたことも多々。
いつかこうやって私も大人になった娘と母の日に電話したりするんだろうか、と思っていたら娘が選んだというお花を夫と娘が渡してくれた。こういうのを繰り返して何年か後に「自分は母である」という実感がわくのかもしれない。し、一生わかないのかもしれない。
夕方からは保育園のお友達たちとオンライン通話。3歳同士会話がちっとも噛み合っていないけど楽しそうだ。会話が噛み合ってないのに楽しそうって最強だよね。誰かがトランポリンを飛びだすと娘も飛び出したり。
保育園が休みになって1ヵ月ほど。我が家のようにずっと子どもと一緒の家もあれば、仕事の都合で保育園に預けている母親もいる。今でも開いている保育園に移った子どもの母親もいる。コロナ禍の母の日は「正直母の日どころじゃねえ」って人が多いんじゃないかな。そんな人にこそ花がたくさん贈られてほしい。
———ご主人と3歳の娘さんとの「おこもり」な日常、子育てや仕事の悩み、みんなにシェアしたいこと……を犬山さんが「ほぼ(隔)日」でアップ!
美しい‥‥‥犬山さんが。(編集)
◉犬山紙子
エッセイスト。1981年、大阪府生まれ。14年、ベーシストの劔樹人氏と結婚。17年、女児誕生。著書多数。『スッキリ』等、テレビのコメンテーターとしても活躍中。最新刊は『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』(扶桑社新書)
写真・イラスト・文/犬山紙子 編集/フォレスト・ガンプJr.