ーー今の生活、何がストレスって、ママは自分の時間がまったくないこと! 常に子どもを見ながら、3食作り、掃除・洗濯、仕事、お風呂に寝かしつけ……気づけば本日も終了。そんななか「ひとり時間」を確保するにはどうすれば? 40年以上、母親の育児ストレスの研究に取り組んできた大日向雅美先生に聞きました。
決める時間は3つ!
親子で1日の計画を画用紙に書こう
育児と家事と仕事が、家の中でいっぺんに降りかかってくる今、ママが一人になる時間を作るのはなかなか難しいですよね。1日に何度も「ちょっと待ってね」「ママー!ママー!」、というのが現実ではないでしょうか。
そこで、子どもが3歳以上ならぜひ試してほしいのが少しでも自分の時間を作るために、試してほしいのが、子どもを巻き込んで「1日の計画を画用紙に書く」こと。家族みんなが家にいる今だから、大まかな一日の流れを親子で相談しながら作りましょう。
何も細かくスケジュールを立てる必要はありません。3つだけでも十分!
たとえば、①起きる時間、②ご飯の時間、③ママがお仕事を頑張る時間(=ママのひとり時間)といった感じ。 たとえばママのひとり時間に、子供がすることも計画に入れてもいいかもしれません(例:子どもはDVDを見る時間etc..)。
それを大きな紙に書きましょう。模造紙がおすすめですが、画用紙など、ある程度大きさがあって、家族みんながパッと目に入るサイズであれば大丈夫。
3歳以上のお子さんなら、ぜひ試してみましょう。
子どもを巻き込み「見える化」することが大切! 計画はざっくりでOK
大事なのは、子どもを計画に引き込むこと、参画させることです。大人の都合で「今は待ってて」「今は〇〇しなさい」と一方的に言われても子どもは突然に感じますし、反抗しがち。
でも相談した上でやるべき時間を決めると、自分もパパとママと一緒、一人前に扱われたと感じて素直に実行してくれます。
“ママの邪魔されたくない時間”は堂々と宣言してOK!
たとえば絶対に仕事をしなくてはいけない時、溜まった家事を片付けたい時、「この時間は、ママは絶対に邪魔されたくない時間なの」と毅然に子どもに宣言していいんです。
子どもも親の都合があることはわかっています。子どものことがとっても大事であること、でもこの時間は協力してほしいという気持ちを、同時に伝えましょう。
子どもの耐久時間はだいたい30分なのでそこをうまく利用して。「ママがお仕事する今から30分は、好きなTV見てOKだよ。終わったら一緒に〇〇して遊ぼう!」と言ったメリハリのつけ方は、子どもにもわかりやすくて効果的です。
子どもに生活リズムが身につけば、ママのひとり時間もできやすくなる!
1日の最後に、親子で今日の計画が守れたか、一緒に振り返りましょう。◎、△くらいのゆるい判定で大丈夫。大事なのは、子どもに生活のリズムを意識させていくことですから。
立てた計画を完璧に実行しなきゃ!とプレッシャーに思う必要なありません。もし食事なのに子どもがおもちゃを片づけないなら、今日は散らかってても食べちゃえばいい。寝ない子どもにイライラするなら、今夜はもう一緒に寝ちゃえばいい。言うことを聞かなければ「早く、早く!」の気持ちを捨てて、子どもに付き合ってあげる。
そう割り切ってきもちをラクにしたほうが、結果的に効率が上がることも多いです。
その日、子どもを、きつく叱って自己嫌悪になっていたら「明日、ママは怒るのを3回にします!」と目標宣言をするのも楽しいと思います。子どもに「このお部屋に工作は散らかさない」と目標を一つ決めさせるのもいいですね。
そうして家族全体の生活リズムが整っていくと、すきま時間が自然と生まれます。たとえ10分でも、コーヒーをゆっくり飲む時間が取れれば満たされますよね。ママに余裕が出れば、子どもにも落ち着きが生まれて、家族それぞれがいい時間を持てるようなサイクルができていくでしょう。
取材・文/北山えいみ
大日向雅美先生プロフィール
恵泉女学園大学学長。専門は発達心理学(親子関係・家族問題)。 40年余り、母親の「育児ストレス」や「育児不安」の研究に取り組む。2004年より、NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事、子育てひろば「あいぽーと」施設長を務め、社会や地域の皆で子育てと家族を支える活動にも力を注いでいる。