VERY July 2021

VERY

July 2021

2021年6月7日発売

780円(税込)

Premium VERY

CONNECT WITH VERY

オンライン授業、ゲームや動画視聴に注意!「子どもの耳」守っていますか?

新型コロナウイルスの影響で外に出られないぶん、子どもたちがオンライン授業を受けたり、動画、ゲームなどに触れる時間が増えてきたという声を耳にします。そんなとき、目を守るためにブルーライトカット眼鏡をかけたり、テレビやパソコンを見る際に適度な距離を保つよう、子どもたちに促すママは少なからずいると思います。一方で、耳(聴こえ)のことはさほど気にしていないママも多いのではないでしょうか?そこで、小児難聴のスペシャリストである、にしじま耳鼻咽喉科の医師・西嶋隆先生にお話を伺いました。

 

臨時休校でオンライン授業や、外出自粛でゲームなどをする時間がどうしても増えています。親が注意すべきことはありますか?

 

「パソコン、スマートフォンでゲームをしたり、動画を見る際に、イヤホンやヘッドホンを使用することは、なるべく避けてほしいと考えています。イヤホンやヘッドホンを使用すると、耳が閉鎖された状態で音刺激にさらされることになり、そのため内耳(音を空気の振動から電気信号へと変換する器官)の疲労につながります。また、ヘッドホンやイヤホンで長時間大きな音を聴き続けると、徐々に音響性難聴(ヘッドホン・イヤホン難聴)になる可能性もあります」

 

音響性難聴(ヘッドホン・イヤホン難聴)とは?

 

「音響性難聴(ヘッドホン・イヤホン難聴)は、長時間大きな音を聴き続けることで、音を伝える役割をしている内耳の細胞が、徐々に壊れて起こる難聴です。ゆっくりと進行し、少しずつ耳の聴こえが悪くなるため、急に聴こえが悪くなる突発性難聴とは性質が異なり、なかなか自覚しづらい難聴です。長年の積み重ねで、気づいたときには重症化してしまっている…ということが多く、聴力は一度低下したまま時間が経過してしまうと、そこから治療しても回復が難しくなります。2015年のWHOの報告では、世界中の若い世代(12〜35歳)のうち、約11億人もの人が音響性難聴のリスクにさらされていると言われています。

また、音響性難聴だけでなく、小さい頃からイヤホン・ヘッドホンで音を聴く習慣があると、加齢による聴力の低下が早まる可能性があります。60代で起こる聴力の低下が、40代よりも早く始まってしまうなんてことも危惧されています。さらに近年では、聴力低下が認知症を引き起こす遠因になることも指摘されています。なので、将来を見据え、小さい頃から、耳(聴こえ)を守ってあげることがとても大切になります」

 

イヤホン・ヘッドホンは使用しない方がいいのでしょうか?

 

「少なくとも、小学校を卒業する年齢までは、なるべくヘッドホン・イヤホンの使用は控えるのがベストです。特に、小さな子どもは、耳の違和感を自分で感じ取ったり、感じたとしても伝えられないことがあるだけでなく、自覚的な聴力検査は4歳くらいからしかできないため、事前に守ってあげることがとても重要だと思います。

どうしても使用しないといけない場合は、音漏れしていないか等、大人の注意が届く範囲で使用するようにしてください。また、子どもの様子を見ながら、隣で話しかけた声が聞こえる音量を目安にしてください。

もし、“聴こえにくい”“耳がボーッとする”などの違和感を子どもが2日連続で訴えたら、できるだけ早く、遅くとも1週間以内に病院に行くことが大切です。それは大人も同様です」

 

イヤホン・ヘッドホンを使用する場合に、音の大きさ以外で気をつけることはありますか?

 

「どうしても使用しないといけない状況の場合は、『1日の使用時間を短時間に抑えること』『20~30分に一度は5分以上耳を休めること(連続装用を控える)』、を守ってあげてください。

また、音量を上げずに済むよう、周囲の騒音を低減できるノイズキャンセリング機能がある、性能の良いイヤホン、ヘッドホンを選ぶのもおすすめです」

 

イヤホン・ヘッドホンを使用しない場合の音の大きさは?

 

「基本的には、30dB以内が望ましいと思っています。具体的に言うと、パソコンやスマートフォンで見聴きしながらでも、近くの人と会話ができるくらいの音の大きさです」

にしじま耳鼻咽喉科
西嶋 隆 院長
順天堂大学医学部医学科卒業。順天堂大学付属順天堂病院等の勤務を経て、平成22年に、にしじま耳鼻咽喉科を開院。専門分野は聴覚で、小児難聴のスペシャリスト。

取材・文/高丘美沙紀

この記事もおすすめ

FEATURE