
小児皮膚疾患の中でも最も患者数の多いアトピー性皮膚炎。実は、1歳~9歳という年齢がいちばん多く、「もしかして……」と思っているママたちも多いのではないでしょうか。塗り薬のイメージが強い治療ですが、最近はいろいろな選択肢が増えてきました。大切な毎日を笑顔で過ごすためにも、早めに適切な治療をスタートさせたい!
治療選択肢が増えた!
「アトピー性皮膚炎の今って?」
\お話を伺ったのは…/

向久保 寿恵先生
パンジー皮膚科クリニック院長。優しく温かな雰囲気の中で、小さなお子さんから大人の方まで幅広い年代やライフスタイルに合わせた治療とアドバイスを行う。大学生と中学生の子を持つママでもある。
\VERYモデルが聞きました/

咲 和希さん
VERYモデル。2歳女の子ママでもあり、現在第2子妊娠中。VERYきっての美肌の持ち主だからこそ子どもへの肌ケア意識も高く、情報収集にも余念がない。
咲さん
改めて、アトピー性皮膚炎について教えてください。
向久保先生
(以下、先生)
(以下、先生)
アトピー性皮膚炎は、痒みを伴う湿疹が良くなったり、悪くなったりを繰り返す皮膚の病気です。大きく3つの原因があると言われています。まずは肌のバリア機能が低下して、外からの刺激が肌の内部に入ってしまうんです。そこに、免疫の異常が重なって、刺激に対する過剰な炎症がおこる。さらに強い痒みが出てしまう。この3つがグルグル回って悪さをしているんです。
咲さん
1回なったら治療に時間がかかるし、ひたすら塗り薬を塗るというイメージです。
先生
炎症をコントロールしていくために大切なことは、薬物療法、スキンケア、悪化因子の除去という3本柱です。中でも近年、薬物療法が大きく変化してきました。基本治療はステロイドなどの塗り薬という土台は変わりませんが、塗り薬で治療しても改善されない方向けに「分子標的薬」という薬が新たに加わりました。ここ数年で登場した、この分子標的薬は、“ガラケーからスマホに変わった”と言えるほどの治療法の進化と言えます。

「うちの子の肌不調は
アトピーなの?」
CHECK LIST
保湿しても1日に何度も肌を掻いている
痒みを伴う湿疹を繰り返している
痒みで目が覚めたり、肌着やパジャマに血がついている
遊んでいるときに痒みで集中できない
家族にアトピー性皮膚炎やほかのアレルギー疾患の人がいる
アトピー性皮膚炎、子どものうちから
高い治療ゴールを目指すべき3つの理由

❶ほかのアレルギー疾患の予防のためにも肌をよい状態に保つ
咲さん
薬物療法とスキンケアはわかるのですが、悪化因子の除去というのは?
先生
それは環境を整えることです。アトピー性皮膚炎のお子さんのために、治療とスキンケアを頑張っても、お部屋に埃や動物の毛がたくさんあったり、保護者の方がおつまみで食べているピーナッツのかけらが残っていたり……。どれもアレルギーの要因となることがあります。それらがバリア機能の低下した肌から入り込むと、アトピー性皮膚炎を悪化させたり、他のアレルギーを併発したりすることがあります。お掃除をこまめに行い、アレルギーを起こす可能性があるものはなるべく取り除くことや、アトピー性皮膚炎や乳児期に湿疹が見つかったらすぐに治療して肌のバリア機能を高めてあげることなどが重要です。
❷アトピー性皮膚炎による睡眠不足や行動制限
これらの影響が積み重なることがある
咲さん
実際に痒みによってどんなことが起こりえるのですか?
先生
海外では、アトピー性皮膚炎のお子さんの約7割に睡眠障害があるというデータ(※1)も出ています。睡眠障害は成長発達にも関係があります(※2)し、日中のイライラや集中力の低下につながります。これらの積み重ねがその後に影響することもあると言われています。症状を改善することで心身の負担を軽くするだけでなく、大事な人生の選択を自分らしくできるようにしてあげたいですよね。
※1、J Allergy Clin Immunol Pract. 2021; 9: 3120-3129.e3.
※2、Sleep Med. 2015; 16(10): 1281-1286.
※2、Sleep Med. 2015; 16(10): 1281-1286.
❸治療において小さな成功体験を得られる
咲さん
治療のゴールが見えないのもなかなか辛いですね。
先生
そうなんです。アトピー性皮膚炎は、塗り薬で治りきらないで症状がぶり返すこともあります。それが、ありのままの自分を受け入れる自己肯定感や“私はできる”という自己効力感にも関わってくるんです。どんなお子さんでも、他者と比べ始める10歳頃から自己肯定感が下がり始めますが、その時期に“治療をやってもダメだった”という小さな失敗体験を繰り返すと、「どうせ何をやってもダメなんだ」という思考回路になり、「周りの人はうまくいっているのに、自分だけうまくいかない」と感じることがあります。これはご本人だけでなく、ご家族にもあてはまります。だからこそ、アトピー性皮膚炎の治療においても、小さな成功体験を積み重ねて欲しいと思っています。
治療選択肢が増えて、
「つるつるもちもち肌」を目指せるように!

咲さん
最後に、ママたちにアドバイスをお願いします。
先生
生後2、3カ月の赤ちゃんを抱っこすると顔を擦りつけてきたり、モゾモゾしたり。これは赤ちゃんからの「痒い!」のサインかもしれません。小学生で肌がごわごわしていたり、色素沈着が見られたりしたらアトピー性皮膚炎かもしれません。新しい治療選択肢が増えた今、アトピー性皮膚炎は治療でより高いゴールを目指せるようになりました。肌のバリア機能が改善されれば「つるつる肌」になりますし、内部の炎症が治まれば「もちもち肌」を目指せるようになりますよ。

塗り薬
アトピー性皮膚炎の治療の土台となるのが塗り薬。ステロイド外用薬のほか、非ステロイド系抗炎症外用薬があります。同時に保湿剤を処方されることも。

注射薬・飲み薬
従来の治療で効果が認められない場合、次の一手として分子標的薬(注射薬や飲み薬)が用いられるように。
ひと昔前と違って、今やアトピー性皮膚炎は適切な治療をすればコントロールできる病気ですし、つるつるもちもちの肌が目指せる時代。少しでも気になったら、まずは皮膚科医に相談してみてください。
提供(PR)・お問合わせ先/サノフィ
https://www.allergy-i.jp/
MAT-JP-2505112-1.0-09/2025
撮影/木村敦〈ajoite〉 モデル/咲 和希 取材・文/矢﨑 彩