サマーキャンプを検討中だけど、今のトレンドは?初めは親子一緒がいいの?と悩むママのために、原田夏希さんが留学に詳しいお二人へインタビュー。今回は選択肢が増えた今だから気になる「サマーキャンプ」事情伺いました。
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\ 原田夏希さんがインタビュー /
英語サマキャンの現在地
❝母国語は大事にしたいものの、
子どもの興味があるならトライすべきですか?❞
原田夏希さん
’19年のハワイ生活の影響で1人目の子は英語環境に抵抗なし。英語慣れの重要性は目の当たりにしているものの、サマーキャンプは未経験。
佐久間麗安さん
子ども一人一人に寄り添った子育て、留学、海外移住などのリアルな体験情報を届ける「Bright Choice」を運営。14歳、12歳のママ。
■Bright Choice
グローバル社会の中で子どもがいかに自分の個性を見つけるか? 様々な記事から視野を広げ、行動のきっかけをくれるwebメディア。有名人ファミリーのインタビューやコラム、会員限定のイベントも。https://brightchoice.jp/
真鍋将晃さん
8カ国12都市に直営オフィスを構え、多くのサマーキャンプや留学情報を取り扱うエージェント「留学ワールド」代表。14歳、11歳のパパ。
ズバリ、英語サマーキャンプで
得られるものって?
原田:母国語が第一と思って早期英語は考えてこなかったのですが、子ども自身に興味があるならどんどん世界を見せないともったいないという気持ちにここ数年で変わってきました。
佐久間:サマキャンの第一のメリットは語学上達以外のところ。私自身、スタンフォードのキャンプに息子と行けたことは、14年間子育てをしている中で息子へ与えられた一番のギフトだと思っています。理不尽なことに対応する力、何があってもがんばる姿勢や、日本だけが世界ではないという実感が身についたのではと。
真鍋:一番は人間力ですね。8歳以上は単独で参加する子も多くなりますが、1、2週間会わないうちに別人のように成長することもあります。最初はホームシックになって泣いていても2日くらいで大抵は慣れ、コミュニケーション能力も上がり、英語力にももちろんいい影響はあります。小学校で英語が始まった時にちょっとでもわかっていると、得意だと認識できて勉強するきっかけになります。
未就学~低学年の子に
おすすめの形態は?
原田:我が家には7、5、3歳の子どもがいますが、低年齢でも行けるところはありますか? できれば英語以外のプラスアルファもあればうれしいのですが。
真鍋:ニュージーランドの小学校体験はイチ押し。NZは5歳になると小学校に通うというシステムで、1月から12月まで順次1年生が入ってきます。その中に留学生として最短で2週間から入れる学校もあります。5歳なら追いかけっこやボディランゲージでなんとなく会話できてしまうのでこれくらいから始めるのもおすすめ。我が家はこのNZの公立小への短期留学前に、フィリピンでのキャンプに2回行かせたものの、それまで英語は流暢ではありませんでした。小さければ小さいほど抵抗感なく入っていけます。子どもにもよりますが、最初は親が一緒のほうがスムーズかも。
佐久間:ハワイには旅行がてら挑戦できる、ローカルな人気プログラムが多数あります。アカデミックなものから自然体験、クリエイティブ系まで、3~5歳くらいから通えるものも。ハワイはアジア系のミックスの子が多いので馴染みやすいですね。8、9歳からは通学ではなく宿泊型にチャレンジするのも◎。そこでホームシックを乗り越えると得られるものも多いと感じます。手近なところでは白馬や妙高、ニセコなどの国内の英語ネイチャーキャンプもファーストステップとしておすすめ。日本にもこんなに素晴らしい自然豊かなところがあるよと英語で表現できたり日本を知る貴重な体験に。沖縄インターナショナルスクールのサマーキャンプも、親も旅がてら行けるので人気です。
気になる費用って…?
真鍋:為替も影響しますが、滞在費含め1週間で20万円くらいから(航空券含めず)。夏は高めで、母子で行くと1.5倍になります。アジア圏は安く、アメリカとイギリスは高めでアイビーリーグのサマーキャンプは50万〜60万から。
佐久間:アメリカは今、学費インフレが国内でも起きているので要注意です。
真鍋:またマレーシアはビザが取りやすいこともあり長期留学プログラムが多く、いっぽうで短期はフィリピンが多いですね。
佐久間:マレーシアではイギリスの名門ボーディングスクールのエプソム・カレッジ・イン・マレーシアがサマーキャンプも行っていて、イギリス本国より安かったり。カナダ、オーストラリアも他通貨と比べて円安の影響が限定的で狙い目です。
真鍋:フィリピンは年々成熟し、現在行われているプログラムは内容が充実していると感じます。
親自身の語学力も心配…
エージェントに頼るべき?
真鍋:実際個人で問い合わせても返事がこない、エージェントを通してしか申し込みを受け付けないところはあります。トラブルがあった時に間に入ってもらえるのも利点なので、初心者ほどエージェントは活用したほうが安心です。
佐久間:そうですね。エプソム・カレッジ・イン・マレーシアなど日本人スタッフがいるところだと直接申し込みしやすいです。基本的に宿泊型は子ども一人ひとりに対するケアが手厚いところも多いので、親が英語のやり取りに苦がなければ直接でもいいですよ。
真鍋:カード保険に頼らず保険に加入するのはエージェントありなしにかかわらず必須。怪我や病気はサマキャンでは10人に1人くらい見聞きします。安心のためにもぜひ。
今のキャンプ先のトレンドは?
真鍋:為替の点からカナダ、オーストラリア、フィリピン、マレーシア、タイは日本人向けのプログラムが充実していますね。シンガポールは英語よりプラスアルファでSTEAM教育などを目的として初心者以外の需要があります。
原田:インター生など留学経験のある方に特に人気の場所はあるんでしょうか?
佐久間:物価は高いですがイギリスはやはり定評があります。多様性、歴史、文化にも多く触れられ、アカデミック・アクティビティも多彩で日本人がほとんどいないチャレンジングな環境があるので。
真鍋:ステップバイステップで、最初は国内や時差の少ない地域、慣れてきたらアジア以外の地域…がおすすめです。と言いつつ、フィリピンは今マンツーマンの授業を含めたプログラムが充実しているので、2〜3週間でも伸びる可能性が高いと感じています。
事前準備は?今年はまだ間に合う?
真鍋:初心者クラスもあるのでいきなり入れても大丈夫だと思いますよ。事前準備より、帰国後にオンライン英会話をやってみるなど行った後のケアのほうが重要かと。
佐久間:自己紹介の表現は英語でできるとコミュニケーションのきっかけになり、自分が何者であるか、ということもおのずと理解できるのでとてもいいですよ。あとは細かいですがトイレに行きたいというフレーズも(笑)。日本と違い、周りをあまり気にせず言いたいことは言いなさい、と伝えられたらよりいいですね。
原田:今のお話、すごく興味が湧きました。行くべきタイミングについてアドバイスはありますか? また、今からでも今年の夏に間に合うのでしょうか?
真鍋:まだまだ今からでも間に合いますよ。できるだけ早めに行って海外や英語環境を好きになってもらうのがおすすめ。英語を「ただ好き」になるだけでも人生が豊かになるはず。ホームシックになったり、不慣れな環境で英語嫌いになってしまうのではと親は不安になるものですが、うちの子も未だにホームシックにしょっちゅうなっています。全員が全員「楽しかった!」となるわけではないし、失敗も経験だと親も余裕をもって対応すればいいのでは。
佐久間:親自身も成長できると実感します。私も親子サマキャンを経て息子が長期留学した先でママ友ができ、連絡を頻繁に取っています。子育て中はこうしなきゃと視野が狭くなりがちですが、外の世界を見て感じられることは大人も大いにありますよ。
原田:冒頭に佐久間さんが「子どもへの一番のギフトだと思っている」とおっしゃっていましたが、親子ともに素敵な体験になるかもしれないですね。
撮影/須藤敬一(原田さん) 取材・文/有馬美穂 編集/中台麻理恵
*VERY2025年4月号「みんなのサマーキャンプ事情が気になる」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品の販売が終了している場合ございます。