自らも小学6年生の娘を持つ「いちママ」として、子育てで起こる問題やその対処法、さまざまな試みをSNSで発信し、チームVERY内でも「ささる」と話題の存在、あぴママさん。「正解はない」と頭ではわかっていても、「頑張らなきゃ」と右往左往してしまうVERY世代のママたちに、心が軽くなるアドバイスをもらいました。
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あぴママさん
大学卒業後、メーカーで通訳や海外営業など総合職として勤務。現在は独立し、事業経営する傍ら、ブログ「あぴママびより」にて発信も行う。Instagram@dayswithapi
「理想を追っていた初期の子育て」を経て
今のスタンスにたどり着くまで。
「放任主義」がもたらした
〝キラキラの笑顔〟
──今は育児に関して「放任主義」を自認されているあぴママさんですが、以前は違ったそうですね。
私自身は、ルールだらけで、時に厳しい体罰もある家庭環境で育ちました。いわゆるずっと「いい子」で、親の望む部活をし、特段無理もせず「いい大学」にも入り。子どもの頃の私は、その生い立ちを特に「生きづらい」と思っていなかったんですね。だから同じプロセスを、全く疑問に思わず娘にも押し付けていました。今どきは当たり前と言われるかもしれませんが、5歳くらいまでは市販のおやつは食べさせない、動画の視聴時間は1時間、知育教室のドリルなどもきっちり毎日やらせていました。
──どうして方向転換を?
ある時、義理の両親に2週間あぴちゃんを預ける機会があって。「甘やかされて帰ってくるんだろうな」「また生活習慣を戻すの大変だな」なんて思っていたんですが、久々に帰ってきた時の娘がとても「可愛かった」んです。それは久しぶりに会えたという感慨からではなく、「私、愛されてる!」っていう内面の喜びが笑顔に溢れていて、とても幸せそうで。それを見て、「あ、自分ちょっとまずいかも」と、思ったんです。義理の妹からも「あぴちゃんに厳しすぎる」と言われていたし、これは、超・放任家庭で育った夫側のスタンスに転向すべきだと感じました。
──パートナーは真逆の家庭環境だったんですね。
そうなんです。夫の家庭は、徹底した個人主義。何かを禁止されたり制限をされることもなく、本当にのびのびと育ったようです。家族がお互いに干渉しない。決して無関心なわけではなく、距離感が絶妙で。私、そんな夫のことが大好きなんですね。親は子どもを導く必要がありますから、個人主義はなかなか両立しない。だから実践には苦労していますが、今は彼女の自由を尊重できていると思います。
──今のあぴちゃんはどう育っていると感じますか?
「大好き」という信頼の目で私を見る娘を見ていると、ざっくりした結論では、大きく間違えてはいないな、と思っています。自由を尊重するデメリットもお伝えしておくとすれば、例えばゲームをやめなくてイライラさせられたり、漢字の習得が遅れてリカバリーが大変だったり、虫歯の進行が早くて気を揉むこと、かな…。それなりにあります。
強みがあれば学歴は不要。
偏れば偏るほどいい
──ご自身のように「いい大学に」とは思いませんか?
スキル一本で歩いてきた自分の経験や周囲のキャリアを見ていると、結論「学歴いらん」なんです。本人と話し合いをしましたが、中学受験の予定もありません。例えば東大生とは究極のバランス型人材で、もともとその傾向にあったからこそ導かれるように勉強して東大を目指す。勉強に向かないなら、必要最低限以上に無理をして勉強はしなくてもいいのではと。〝お上品〟な発想ではないですが、偏れば偏るほどいい、娘も何かを尖らせて社会で武器にしてほしい。でも基本的には、娘に「こうなってほしい」という概念はないんです。「だってもう決まってるでしょ、あぴちゃんでしょ」って。
──生まれたように育つと。あぴちゃんは女の子ですが、ジェンダーギャップについて伝えていることはありますか?
わが家は男女を分ける感覚がなく、家計も家事育児も半々。娘にはそれが自然なので、社会に出たらギャップに苦しむと思いました。なので折に触れて、「見て。偉いと言われている人はほとんど男性だよね。あぴちゃんは女性だから、将来、不利な扱いを受けることがあるかもしれない。だから、自分が戦える分野を見極めて」と発破をかけています。男の子ならしていないでしょうね。
──子どもたちが、いずれ自分で気づく時が来る。作品中にあった「ただただ隣を歩かせてもらおう」という言葉も沁みました。
育児では究極、ただ隣にいて、感じて、善悪を問わず、ジャッジせず、ただ目に入れるだけでいい、と思っています。「この人はおそらくすべてを理解して、自分を受け入れてくれるだろうな…」という温かな愛の心地よさは、人間はみな求めているはずだから、子どもにとってもそうでありたい。社会のルールを教えるのは親の役割ですから相反することもありますが、目指すことはできるし、目指していることは子どもにも伝わると思っています。
私がグッときた
あぴママさんの言葉たち
チームVERYもあぴママさんのInstagramをフォロー中。特に印象的だった投稿をピックアップしてもらいました。
取材・文/有馬美穂 編集/西脇治子
*VERY2023年2月号「読むだけで救われるあぴママさんの人生哲学」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。