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【ほぼ塾なしで開成合格】現役高校生ぎん太さんの「おうち勉強法」

塾にほとんど行かない。なるべくお金をかけない。楽しく学ぶ「おうち勉強法」で開成中学に合格したぎん太さん。母親と一緒に取り組んだ独自の「勉強法」を公開し話題を集めています。「子どもが勉強したくなる方法とは?」「中学受験に塾は必要?」など、ぎん太さんとお母さんに話を聞きました。

*VERY2022年9月号「とにかく明るい開成受験」より。

Profile
ぎん太さん
開成高校在学中の現役高校生。家庭での学習法や塾にほとんど行かずに中学受験した経験を公開し話題に。現在、講談社withclassにて「賢さ控えめ開成ボーイ ぎん太の家族とおうち勉強法」連載中。https://withonline.jp/parenting/kaiseiboy_ginta 他、ブログ「ぎん太の家族と、お金をかけない勉強法と開成生活」も。https://kspengin.hatenablog.com

僕が子どものころにしていたこと

──暗記科目は親子で歌って覚えたり、お風呂の中で実験したり。ぎん太さん親子の勉強法には子どもが楽しく学べる工夫がいっぱいです。
ぎん太 僕は幼いころから頭が良いわけでも何でもソツなくこなすタイプでもありませんでした。元気でいてくれればそれだけでいい。でも、小学校の勉強でつまずいてつらい思いをすることがないように、と母が家で教えてくれたことがきっかけで学ぶことが楽しくなりました。
 やる気が起きず勉強ができないことを、子どもの責任だという考え方もありますが、やる気を出させるのも親の役目の一つだと思うんです。子どもたちは空手を習っていましたが、なぜ今これをやるのか、練習するとどんな良いことがあるのか話してから稽古に入るとそれだけで子どもたちの目つきが全然違うんです。それは勉強も同じで、学ぶ目的や手段を伝える必要があります。子どもが少しでもできるようになったら「すごい、かっこいい」とたくさんほめてあげていました。
ぎん太 1年生の時から、漢字が少し読めただけで、もう天才かっていうくらい、やたらほめられたことを覚えてます。
 子どもって、困っている人を助けるヒーローものが大好きですよね。幼稚園ではお手伝いや当番を頼むと率先してやりたがる子が多いです。見返りがなくても誰かの役に立ちたいとか、喜ばれたいという気持ちはもともと持っているよう。そういう気持ちを伸ばしていくことがやる気にもつながると思って声をかけるようにしていました。

両親はごくフツーの人です

はじめて受けた模試で偏差値は40台……。でもいざ勉強を始めてみたら楽しくて、漢検や英検にもチャレンジするようになり成績が伸びていきました。
塾に行かずに受験したというと「親がすごい人なの?」「家庭教師や個別指導にお金をかけたの?」と聞かれることもありますが、僕はごく普通の家庭に育ちました。父親は会社員で母親は専業主婦。親が高学歴とか、もともと教育関係者だったというわけではありません。

受験直前まで習い事をやめなかった理由

──中学年、高学年になると習い事をやめて塾に専念する子も増える印象です。
ぎん太 空手とピアノと水泳は6年生まで続けました。空手とピアノは3カ月休んで、水泳は年明けの1月まで行ったのかな。「勉強だけやっても、途中で集中力が切れてだんだんつらくなってくるから、息抜きは絶対必要」と母親から言われていたので、じゃあ別に続けていても大丈夫なんだな、と。どうしてもストレスがたまりやすい時期ですが、習い事で心を癒してまた勉強するようなやり方で気分転換していました。
 特に体を動かす習い事は絶対にやめないほうがいいと考えていました。認知症対策としてウォーキングがいいとか、指先を動かすのがいいとよく言いますよね。これはお年寄りに限ったことではないと思います。特に指先を動かすピアノや、足裏に力を入れて踏ん張る空手は、続けたほうがいいと信じていました。運動=脳を動かすことだと思っていたので習い事を受験のために全部やめて、その時間を勉強に捧げるというのはちょっと考えられなかったです。

──周囲と比べて不安になるようなことはありませんでしたか?

 一番近くで成長を見てきた私から見て、子どもがいちばん頭が働く環境を与えようと思いました。受験前の時期に体調を崩したら大変なので体力も大事だし、直前になってあともう1問頑張ろう、と他のことを犠牲にして詰め込んだところで誤差の範囲かなと。どうしてもこの学校にしか行きたくないという志望校があれば考え方も違っていたかもしれないですが、我が家の場合は受験した中でどこかに受かればいいと考えていたので……。

塾に行くメリットとデメリット

──ぎん太さんはほとんど塾に行かずに中学受験をしたといいます。どんなスタイルで勉強したのでしょう。塾に行ったほうがいいこと、逆に行かなくてもいいと思うことはありますか?
ぎん太 小4、小5ぐらいまでは家庭学習中心で何も支障はなかったんです。チャレンジの中学受験講座と四谷大塚の「予習シリーズ」のテキストを使って自分で勉強していました。分からない問題が出てきたら解説を見て解いていたのですが、算数の過去問の分からないところを教えてもらうために志望校別講座の算数単科を3~4カ月受講しました。塾に行って良かったことは、やはり分からない問題を先生に質問できることですね。全教科塾通いして常にライバルがいるような環境ではなかったけれど、模試を受けることでモチベーションを保っていました。
小学校までは、「勉強って楽しい」と思えていましたが、中学以降は例えば英単語の暗記とか、「つまらないな、自分で勉強するだけではモチベーションが下がるな」と思う科目も出てきて、一部の教科は自分から通いたいと言って塾に入らせてもらいました。中学受験で同じことが言えるか分からないですが、勉強を半強制的にできる場所としては活用できているのかなと思います。

暮らしの中での学び

母は暮らしの中で色々なことを教えてくれました。算数の九九は歌にのせて覚えたし、お風呂のお湯を使って遊びながら実験することもしょっちゅう。そうやって日常の中で覚えたことが後々になって役に立っていると感じます。

「繰り返し学習」だけでは強くなれない

──私の子どもは小2なのですが、漢字の書き取りや算数ドリルのようなコツコツやる問題を嫌がります。どうしたらやる気になるのでしょうか……。
 ぎん太の場合も宿題のドリルのような単純作業が嫌だったんだと思います。計算ミスしないで問題を解くには集中力が大切です。計算をただひたすら繰り返しやらせることではなかなか力がつかないのではないかと考えていました。すでに絶対できる問題を何度もやるのは、単なる作業になってしまうので時間の無駄ではないかと思うんです。空手も自分よりちょっと強い相手と組手をすることで強くなるんです。自分が一発で倒せるような相手とばかり戦っても、ただちょっと体力がつくぐらいで、今以上に強くはならないんですよね。
勉強も、今はすらすら解けない少し難しい問題をやっていくことで力がつくはず。塾は多くが集団授業なので、簡単な問題の解説を聞かされたり、逆に授業が分からないのにどんどん前に進んでしまうときもあると思います。集団授業で「分かりません。もう1回説明してください」と言うのは難しそうです。個別指導や家庭教師という選択もありますが、なかなかここならば通わせたいと思えるところには出会えませんでした。それも家庭学習中心でいこうと判断した理由の一つです。

塾を費用対効果で考えてみると

──人と違う方法を選ぶとこれでいいのかと、焦ってしまう人も多いと思いますが……。
 塾では志望校別対策をしっかりやりますが「あの学校ではこういう問題が出る」と分析して予想することは大切だけど、「基礎をしっかり固めて地力を上げる」ということを意識して勉強しました。塾では、高学年になればなるほど、算数レベルアップ講座とか志望校別対策とかオプション講座の案内がたくさん来るんですよね。これを取らないと合格できないのではないか、他の子もみんな受けている、と思うと不安になってしまうので、本当に必要なのかどうか判断するのは簡単ではありません。そうやって塾が提供するサービスとこちらが支払う料金が見合っていないなと思ったことも「なるべく塾に行かない受験」をしたきっかけです。
決定的だったのが、当時実際の授業を見学させてくれない塾がほとんどだったこと。高い買物なのに商品を見ずに選ぶというのはちょっとあり得ないと思いました。受験ではやはり多くの子どもが自分の今の偏差値より高いところを目標にします。スポーツでも勉強でもより高い目標を目指してほしい、と私も考えてしまいますが、実際に志望校に入った子が全員幸せかどうかといえばそうじゃないですよね。志望校を選ぶときも、自分の偏差値でギリギリ入れた上位校よりも、ちょうど中間くらいの学校を選んだほうが中高6年間楽しく過ごせる可能性が高いかもしれない。入学してからのことを考えると、実力より上の学校に滑り込ませようという考えにはならなかったです。

中学受験に塾は必要?

友人たちの中には受験のために習い事をやめたり、睡眠時間が足りずに授業中に眠そうにしている子も多かったです。母の友人は、子どもの塾代がかかるので仕事が休みの日にバイトすると言っていたそう。時間やお金をそんなにかけないで楽しく勉強する方法があればいいのに、と思ったことは、のちに勉強法を公開するきっかけになりました。

『偏差値40台から開成合格!
自ら学ぶ子に育つ! おうち遊び勉強法』

(ぎん太著/講談社//1540円)
「共働きwith」の人気連載を書籍化! 現役高校生がマンガと文章で綴ったデビュー作! 親の学歴も、経済力も関係ない! 本当に楽しくてためになる勉強とは? 子どもの目線で描かれた唯一無二の本!

取材・文/髙田翔子 マンガ/講談社共働きwith「賢さ控えめ開成ボーイ ぎん太の家族とおうち勉強法」より転載 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2022年9月号「とにかく明るい開成受験」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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