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【鬼・ヤマンバ・おばけ】効きすぎ〝怖がらせ育児〟OKとNG

「あ!鬼が見てる!」「早く寝ないとヤマンバが来るよ!」は、ちっとも言うことを聞かない子供に効果てきめん!の必勝フレーズ。でも、本気で怖がる我が子の姿を見ると、ちょっとやりすぎ?と自己嫌悪に陥ることも…。ついやっちゃう、子育て場面での〝怖がらせ〟について専門家に聞きました。最後には読者ママたちからのQ&Aもあるので要チェックです!

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怖がらせるだけ、はNG。
心の安全基地をきちんと
作ってあげて

世の中に怖いことが
あると知ることも
子供の自立には必要です

 23歳の子供の発達課題は、守られている、愛されているという安心感を持つこと。〝ありのままの自分を守ってくれる存在=大人がいる〞ことを実感できる「心の安全基地作り」がもっとも大切です。それがしっかりできている子供は、徐々に親から離れて外の世界に出ていき、自立・成長していけるんです。ただ可愛がるだけでは安全基地は作られません。〝世の中には怖いことがある〞と知ることも、心の安全基地作りには重要。だから鬼やおばけの存在は、時には有効でもあります。

ママと鬼の結託はNG!
あくまでも子供側に
立って、話すことが大切

 いつまでも寝ない子供にイライラして、「早く寝ないと鬼が来るよ!」と言うのはよくあるシチュエーションかもしれません。ゆったり絵本を一緒に読んで、さあ静かに眠りましょうというのは理想ですが、現実には難しいこと。でも、親が怒りに任せて鬼を呼ぶと言うのは、子供からすると崖っぷちに立たされるほどの恐怖です。
子育てで鬼やおばけを持ち出す際、大人が子供をしっかり守ってあげるという前提が大切。だから、「鬼にあげちゃうよ」なんて言うのはもってのほか。恐ろしい鬼がママと結託することで、子供は安全基地を失ってしまいます。それは本末転倒。「本当はいい子だよね? 疲れちゃったかな? 怖い鬼が見てるよ、ママと一緒にお片付けしよう」というように、鬼と結託せず、必ず子供側に立つようにしましょう。

鬼に頼ってしまうのは
上手に怒っていない
ことが原因かも

 昔のゆったりとした育児と比べて、今のお母さんは何百倍も大変だと思います。毎日仕事、家事、子育てと目の前のやるべきことに追われて、待つことができない。早く、早くと追い立てられる中で、余裕があれば時間をかけて子供と向き合うことができるけれど、それがままならない。目の前の問題を消化できればいいというのが現状で、つい鬼やおばけに頼ってしまう気持ちもわかります。ただ、海外と比べて日本の親はおしなべて優しい。怒る=鬼を呼ぶという発想になってしまうのは、きちんと怒れないということとも関係しているような気がします。
上手に怒るには、許せないという気持ちをちゃんと伝えなければいけません。大事なのは、「感情を込めて怒る」こと。心を込めて、怖い顔をして、真剣な声で、〝悲しい〞と伝えることで初めて、子供の心に響くのです。たまに、感情に任せていつまでも責め続けたり、過去の失敗を掘り返したり、他の子と比べたりして怒る人がいますが、それは間違った怒り方で、子供にはちっとも伝わらないはずです。「感情を込めて怒る」のと、「感情的に怒る」のは似て非なるものです。

ママがいちばん優しくて
同時にいちばん怖い存在
になるのが理想です

 本来、子供にとって、いちばん怖いのは鬼でもヤマンバでもなくて、親であるべき。〝パパとママがいちばん大好きな存在であると同時にいちばん怖いもの〞であるべきです。「いつも優しいママやパパが怒ると鬼より怖い、ママがこんなに怒るなんて、いけないことなんだ」と子供が感じられることが大事です。
寝ない子供にイライラする時期も今だけ。自分からすっと部屋に入って寝る時期が近いうちにやってきます。鬼に頼る前に、子育てをやや長いスパンで見る視点を持つようにしましょう。

いくら効果抜群でも、毎日のように怯えさせて従わせるのはしつけを鬼に頼りすぎ。本来、言うことを聞かせる責任は親にあるもの。 子供に正しいことをさせる、しつけをするのは親の役目のはずです。ただ、それと同時に、毎日鬼を呼んでしまうほど追い詰められているママもかわいそう。余裕がなく、つい使ってしまう気持ちもわかりますが、鬼を持ち出すのは多くて隔週くらいにしましょう。
子供の発育に伴って、おばけや鬼など、怖いものに対する認識も次第に変化して いきます。3、4歳くらいになると、抽象的なものも理解できるように。そして、5歳になると、「そんなのいないもん」と、あっさり返されてしまうこともあります。怖がらせることが親への不信感につながり、逆効果になることも。安易に 怖いものに頼って押さえつけようとせず、子供の意見に耳を傾けて話し合う姿勢を持ちましょう。
これには反対です。そもそも、地獄絵図は人を騙したり悪いことをしてきた人間が拷問にあい、苦しんでいる様子、大人の修羅場を絵にしたもの。人生がなんたるかもまだわからない子供の時期に見せることは生きる希望を失うことにつながります。大人が想像で考えた懲罰のシーンを見せて怖がらせることは教育的に何の意味もないはずです。
絵本の世界、ファンタジーの世界でカエルになっちゃうお話をするのはアリですが、ママが怒って子供に「カエルになりなさい!」 という言い方をしてしまうのはNG。幼い子供はそれが架空だとわからないのでリアルに感じてしまいます。ただただ怖い思いをさせるだけでしつけの効果は望めません。
これは本当に使いようです。「鬼から電話がかかってきちゃった!どうする? 怖い、怖い!」というように、鬼から勝手にかかってきてしまったという設定がポイント。 一緒に怖がるスタンスで上手に使いましょう。ママが鬼を呼んできて、鬼と一緒に子供を懲らしめる、というのは絶対にやめましょう。親としての存在意義を自ら捨てているのと同じです。
これは絶対ダメ! 子供にとったら鬼やおばけ以上に恐ろしいことで、心の安全基地が崩壊してしまいます。置き換えてみてください。 例えば、夫が「君はぼくの言うとおりにしないから、〇〇さんの夫になるよ」と言ったらどうでしょう。 あまりに理不尽で“ありえない!”と怒る人がほとんどではないでしょうか。大人は、ありえない!で終わりますが、幼い子供からすると、あまりにショックな事実です。心の安全基地を壊すような怖がらせは絶対にいけません。

教えてくださった方

◉大日向雅美先生
恵泉女学園大学学長
NPO法人あいぽーとステーション代表理事

40年余り母親の育児ストレスや育児不安の研究に取り組み、母の気持ちに優しく寄り添う。社会や地域で子育てを支えるNPO活動にも力を注ぐ。

イラスト/鈴木裕之 取材・文/北山えいみ デザイン/大塚將生 編集/翁長瑠璃子

VERY 2018年9月号「効果ありすぎて毎日やっちゃう 鬼、ヤマンバ、おばけ…怖がらせ育児って大丈夫?」より。

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