青山祐子さん「”Persuasive letters” 求められる交渉力」
香港のインターナショナルスクールに通う子供達の学校では、学んだ成果を発表するStudent-Led Conferencesが行われました。50分間、自分が学習したことを親にプレゼンします。
人に教えるためには、自分がよく理解していないとできないので、学習にはとても効果的です。シャイだと思っていた娘が5歳の頃、自分が学んだことを一つ一つ自信を持ってプレゼンできたのに感動したのを覚えています。
日本の小学3年生に相当する長男は、どんなことができるようになったか自己評価を加えながら、各科目をipadを使って紹介しました。
Readingでは読んだ記事に対する自分の意見を加え、Social Studiesでは”Changemaker”となった人物の活躍を模型にして発表。息子はマザーテレサを表現しました。
驚いたのは、作文です。
説得力のある文書をどう書くか、親に指導するという内容でした。
誰に、どんな問題を訴えるか。
理由と、事象を3つあげ、表に整理して文書を作成します。
突然の指示に困った私は、長男へ、怒りをうまくコントロールして成功へつなげてという手紙を。
夫は貧しい人に希望をとビルゲイツへ手紙を。
長男から、具体的に指導を受けながら、要素をまとめます。
長男の手紙は、香港政府へ、増えすぎるゴミがいかに地球を破壊し、温暖化を引き起こしているか、具体的な数字や事象を加えながら、わかりやすくまとめ訴えていました。
例年の面談では、子供の成長を微笑ましく見守っていていればよかったのですが、今回は、”長男先生”による特別講義の課題に取り組むことに。子供の手前、親のプライドとして途中で挫折するわけにもいかず、ネイティブではない英語でなんとか書き上げました。
長男先生の授業を受けると、学校で学び、取り組んできたことを実体験できとても興味深かったです。
親が息子に論破されてしまう日は、そう遠くないかもしれないという危機感も覚えました(汗)。
さて、香港では、3月中旬に新型コロナが私たち外国人が多く住む地域へ広がり、緊張が走りました。
感染者の出た地域は次々に封鎖され、白い防護服を着た係員が大挙し、住民全員を夜通し検査します。
感染者は病院へ、感染者と接触があった人は赤ちゃんも含め、テストが陰性でも政府指定の施設で2週間隔離へ。
学校の先生がコロナに感染すると、クラスの子供達全員が隔離施設へ送られることに。
長女の担任も濃厚接触者とみなされ、隔離センターへ送られました。
検査は陰性で大事に至りませんでしたが、もし先生がコロナ陽性だったら、娘は二週間隔離センター行きだったのかもと思うと怖くなります。
香港の1日の新規感染者が10人を切った今、
感染の心配より、濃厚接触者に指定され、隔離センターへ送られるのではという不安が大きくなっています。
小さな子供にも容赦ない対策に、各国領事館や、企業のトップ、弁護士が香港政府、教育省に猛抗議。その結果、感染者が出た学校によっては、マスクの徹底と、ソーシャルディスタンスを維持していたなどの理由で、児童の隔離センター行きが取り消されたり、ホテルでの隔離へ変更されたりしました。
政府をどれだけ説得できるかで結果が大きく違っているのです。
未曾有の事態に、政府が新たな対策を模索する流動的な今、まさに子供達が学んでいる交渉力が大きな鍵を握っていると実感します。
そんな中、コロナワクチンの接種が、外国人を含め30歳以上の香港住民に始まりました。
ワクチンが、コロナの脅威から抜け出す光となりますよう願っています。