「薬膳」と聞くと、すり鉢で生薬をすったものがスパイスとなるようなちょっと薬っぽい料理だと思っている方もいますよね。
実はそれ、違うんです。「薬膳」とは中医学に基づいて、その時の季節や食べる人に合わせて献立された料理のこと。普段手にするような食材がさまざまに効能を持っていて、「食材選び」がその時ケアしたい目的に合っているかどうか、というのがポイントなんです。
妊活、妊娠、産後、普段の疲れなど……、30代の女性の体は悩みがいっぱい。それをフォローする「薬膳」レシピを毎週1つずつお届けします。
教えてくれるのは、齋藤菜々子先生。SHIORIさんのもとで修業を積む傍らで、国際中医薬膳師の資格を取得したそう。
今週から3週は夏休みも終わって疲れている主婦の方々に、夏の疲労回復レシピをご紹介します。
夏の疲労回復、ポイントは3つ!
・気を補う …夏の疲労の原因は、たくさんの「気」(エネルギーのようなもの)が失われることです。気は普段体の中に充満し、さまざまな機能の原動力となっています。しかし夏は他の季節と大きく違い「発汗」の多い時期。多くの汗が失われることにより、同時に汗に乗っていた「気」も体の外へ出て行ってしまうのです。運動のあとだけでなく、サウナや半身浴など座っているだけなのになんだかぐったりと感じるのも、中医学だとこれが理由。本来はだたの「液体」である汗が体のいたるところで働いているのも、「気」が動かしているものと考えられています。
・体液を補う …たくさんの汗をかくと体の内部は乾燥気味に。秋に向けて中から潤いを補給します。
・熱をのぞく …水分の少ない体はそれだけでほてりがちに。夏は熱がこもりやすいので、熱を冷ますような食べ物も取り入れます。普段より冷え性の人はここは気にしなくてOK。
ということで、今週は気を補う鶏肉、体液を作り熱を取るトマトときゅうりを使った子どもも喜ぶから揚げレシピです。
ざくざく衣の鶏から揚げ トマトの甘酢ソース
【ざくざく衣の鶏から揚げ】
◉材料(2~3人分)
鶏もも肉…1枚(約250g)
〈A〉 酒…大さじ2 しょうゆ…小さじ2 おろししょうが…大さじ1 おろしにんにく…ひとかけ分
〈B〉 薄力粉…大さじ3 水…大さじ2
片栗粉…適量
サニーレタス…あれば
サラダ油…適量
【トマトの甘酢ソース】
◉材料
トマト…1個
きゅうり…1/2本
玉ねぎ…1/8個
〈C〉酢…大さじ1+1/2 オリーブ油・しょうゆ…各大さじ1 砂糖…小さじ2
◉つくり方
【トマトの甘酢ソースを作る】
- トマトは1.5センチ角に切る。きゅうりは縦半分に切ってスプーンで種をくり抜き、さらに縦半分に切り、5ミリ幅に切る。玉ねぎは細かめのみじん切りにする。野菜はボウルに合わせておく。
- 〈C〉を合わせてよく混ぜる。1.にかけて混ぜ合わせる。 10分以上置く。
【鶏から揚げを作る】
- 鶏もも肉は余分な脂身を切り落とし、フォークで数か所穴を開け、一口大に切る。〈A〉とともにポリ袋に入れよく揉み、15分置く。
- ボウルに〈B〉を合わせる。バットに片栗粉を多めに敷く。1.を〈B〉→片栗粉の順に衣付けする。(Bはまんべんなく薄め、片栗粉はしっかり多めがポイント)
- フライパンにサラダ油を3センチほど入れ温める。中温の油で2分、裏返してさらに2分揚げる。仕上げに火を強火にし、1分半裏返しながら揚げる。衣が固くなったら、揚げ網を敷いたバットにとり油を切る。皿に水気をきったサニーレタスを敷き、から揚げを盛る。食べるときにトマトの甘酢ソースをかける。
つくり方のポイント
・鶏もも肉はフォークで穴を開けることで下味がしみやすく。〈A〉を揉みこむことでジューシーに。
・揚げてる間は衣が取れないように触りすぎない。(中温の油:170度。菜箸をいれると先から小さな気泡があがる程度)
・最後の強火がカリカリに仕上げるコツ
・揚げすぎはパサつく原因に。でも半生じゃないかも心配。そんなときは箸で持ち上げたときに肉からジリジリと振動が伝われば火が通っているのでOK。
・トマトの甘酢ソースはアレンジ自在!「+ごま油、白ごま」で中華風、「+乾燥バジル」でイタリアン風、少しだけ水を入れてのばしたら素麺のつけダレにも。
今週のキー食材をおさらい
◆鶏肉…気を補う、おなかを温める
◆トマト…体液を作る、熱をとる
◆きゅうり…体液を作る、熱をとる