’90〜’00年代を席巻した“ギャルブーム”。ここ数年、平成回帰なファッションが流行したり、朝ドラの主人公としてもギャルが登場したり…。今回は、そんなギャル時代のマインドを久保友香さんが解説してくれます。
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あの頃のギャルマインドは永遠!
(左)Tシャツ¥18,700(セント ジョンズ サード クラブ/アマン)スカート¥53,900(マディソンブルー)デニムジャケット¥16,500(リーバイス/ジャーナル スタンダード レリューム ルミネ新宿店)キャップ¥6,600(デウス エクス マキナ/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム)バングル¥63,800〈オーヴィルツィニー×ビームス ボーイ〉リング¥24,200〈サンシャイン リーブス×ビームス ボーイ〉(ともにビームス 銀座)バッグ¥53,900(カミング オブ エイジ/RHC ロンハーマン)ブーツ¥29,990(ザラ)(右)シアーTシャツ¥9,680(ビームス ボーイ/ビームス 銀座)中に着たインナー¥9,900(アストラット/アストラット 新宿店)スカート¥24,200(ネイル/エストネーション グランフロント大阪店)サングラス¥45,100(アイヴァン/アイヴァン 東京ギャラリー)バングル¥704,000(ビジュードエム/ビジュードエム六本木ヒルズ)バッグ¥45,500(サイモン ミラー/エッセンス)ブーツ¥21,780(プーペ/アースマーケティング)
“理由がないと繋がりづらい”そんな今だから惹かれる
明快なビジュアルコミュニケーション
’90〜’00年代のギャル文化が再び脚光を浴びるようになった背景には、’18年に休刊していたギャル雑誌『egg』が復刊し、元祖ギャルのJr.世代を中心に盛り上がりを見せたなどの契機もありますが、改めてギャルの生き様やマインドが現代のコミュニケーション課題に刺さったという側面もあるのではと考えています。コロナ禍を経てコミュニケーションの主戦場が完全にSNSへと変化した令和。「推し活」や「〇〇ヲタ」という言葉に象徴されるように、趣味や好きなものが同じ人同士が「#」繫がれたり、SNSアルゴリズムで出会いやすくなるなど、コミュニケーションが深く狭い方へと傾倒していきました。それは言い換えると、コミュニティーが分断され、共通項という必然性を持たないコミュニケーションが生まれづらくなったということ。SNS上では「インフルエンサー」という存在が多数生まれた一方、誰もがそんな強いアイデンティティーやオタクとして没入できる趣味を持つわけではなく、マスである人々がそうしたコミュニケーションに閉塞感を抱いたのではと思います。
平成の一時代を築いた当時のギャルたちのコミュニケーションはいたってシンプル。渋谷の路上という誰もがアクセスできる開かれた場で、好きな格好を貫き、堂々とアイデンティティーを世間に提示していた。特別何をするわけではなくとも、「ガングロ」「メッシュ」「ルーズソックス」などを記号としたビジュアルコミュニケーションでその輪を広げることができました。このギャルの強さとオープンな対人関係が、現代のSNSコミュニケーションに疲弊し、繫がりを広げたいと心の奥底では願っている人々の気持ちを摑んでいるのではないかと思います。またSNS上でヘタな発言をしたら叩かれかねない現代社会で、周囲の目を気にせず自分の意見をはっきり言うギャルの姿にも憧れを抱いているのかもしれません。私は、ギャルマインドは武士道と匹敵する日本が世界に誇るべき精神だと思っていて(笑)、きっとこの先も時代とともにギャル文化は再編集され、人々のマインドの支えになったり生活を彩っていくのではと思っています。
あの頃の懐かしアイテムたち




解説:久保友香さん
メディア環境学者。1978年生まれ。画像処理の研究をきっかけに女性がネット上で顔を加工する「盛り」文化に関心を抱く。最新の著書にはギャル文化の研究をまとめた『ガングロ族の最期』(イースト・プレス)がある。
イラスト:懐かしみのエニ子さん
「平成愛好家」を名乗り、ファッションアイテムからコスメ、食品まで当時のカルチャーを忠実に捉えたイラストをSNSで発信、「エモさしかない!!」と全平成育ち世代を悶絶させる。@enico.jp
撮影/川﨑一貴〈ajoite〉 ヘア・メイク/シバタロウ、谷口結奈〈ともにP-cott〉 スタイリング/石関靖子 モデル/近藤千尋、宮城舞 取材・文/桃井真由 編集/引田沙羅
*VERY2025年4月号「あの頃のギャルマインドは永遠!」より。
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