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今、ファッション業界で起きている“サステナブル旋風”とは?WWD JAPAN.com村上要さん×クリス-ウェブ 佳子さん対談

環境保全と対極にあると思われてきたファッション産業ですが、ここ数年サステナ問題への取り組みは押しも押されもせぬ一大ムーブメントに。業界の最先端で今起きていることについて、VERYモデルのクリス-ウェブ 佳子さんがWWD JAPAN.comの村上要編集長に伺いました。

ようやくファッション界にも
根付いたサスティナ意識

村上 要さん(以下村上) ファッション界はサステナへの取り組みがダントツで遅かった業界。例えば建築業界なんかの人と話すと、 「ʼ90年代からやってることだから、今聞くと逆に新鮮」なんて言われてしまうんだけど(笑)、去年くらいから大きなムーブメントになっていますね。むしろ今は取り組んでいないとバッシングされてしまうほど。

クリス‐ウェブ 佳子さん(以下佳子) 〝サステナブル〞が一過性のブームのようになるのは危険だけど、世の中全体の意識が変わっ てきているのは感じますよね。

村上 ブームが過熱して、今や国内外どのアパレル企業もサステナブル一辺倒。でもエコ素材を使っても売れないブランドを作ったらゴミが増えるだけだし…作る方も買う方も「そもそもサステナって何?」と考え直すことが大事だなと。


ファストファッション=悪、

とは一概に言えない!

佳子 サステナブルの話題になると、ファストファッションの存在も物議を醸しますよね。ひとつの転機になったのは、ʼ13年バングラデシュの縫製工場の崩落事故。大量生産、大量消費の裏には劣悪な労働環境があると知られ…。

村上 ファストファッションが日本上陸した当時は、「この値段でこんなトレンドものが買えるからワンシーズンで使い捨てても大丈夫」という価値観が広がったけど、ここ数年は「こんな値段で店頭に並ぶなんて、どこかで誰かが犠牲を強いられているに違いない。安いからって使い捨てるなんて…」という認識が生まれましたよね。

佳子 オーガニックな素材も同じで、なぜそれが優れているかというと、たくさんの生産業者の方たちが農薬で健康を害している現実があるから。地球環境以前に、人の命に関わる問題なんですよね。ただファストファッションは世界中の人にファッションとの接点を与える共通言語でもあるし、H&M のように環境問題にずっと前から取り組んでいる企業も多い。だから「ファストファッション=悪」とも一概に言えないと思っています。安いから取っかえ引っかえでなく、そもそもものを大切にするという姿勢が重要。私はH&Mで買ったのもすごく大切に着ます。

村上 買う側の意識ですよね。最近は店舗でのリサイクル活動も活発になっていて、「安かったし着ないからゴミ箱に捨てる」じゃなくなったのは大きいなと。

佳子 無駄なものを買わず、良いものを買って長く着るという提案はVERYも最近よく打ち出しています。高価なバッグを買って娘に受け継ぐというのもVERYらしいサステナビリティのひとつですよね。

村上 そう、昔から当たり前にあった価値観なんですよね。大量消費時代でそれが軽視されてきたけど、再び存在感を増している。僕自身も、使う金額は変わらないけど(笑)、買う服の量は減り、良いもの長く使えるものを選ぶようになりました。今、男女ともにオーダースーツがすごく伸びているのは、そういう概念が浸透しているせいかも。

佳子 あ、私もオーダースーツ作りました!

◉クリス-ウェブ 佳子さん:モデル業の他、ラジオパーソナリティやコラムニストとしてマルチに活躍。14歳、13歳の女の子のママ。チームVERY内ではいち早く環境問題へ関心を寄せる。ワンピース¥78,000(テン/ブランドニュース) ピアス¥280,000 バングル¥66,000 チェーンブレスレット¥168,000 リング¥75,000(すべてGIGI/ホワイトオフィス)

普遍的なものを長く着る、は
ハイブランドの世界でも浸透

村上 ハイブランドも、年2回のコレクションで毎回革新的に新しいものを作ろうとする時代ではなくなっています。例えば3.1フィリップ リムは「最新作は定番の新バージョン」という姿勢をはっきり打ち出しているし、普遍性が高く幅広いシーンで使える、いわば着回せるものを増やして、それを長く着てもらおうという意識が業界全体で高まってる。ブランドによってはスタッフが「先シーズンの〇〇に合います」なんて提案をしてくれたり。あとトッズのシンプルでクリーンなシャツや、プラダのキッドモヘアのジャケットもずっと着られるなと思わせてくれた。

佳子 だけど一方で、定番ばかりだと「服が売れなくなる」という見方もありますよね…。

村上 ビジネスの在り方が変わらないとですよね。車もシェアが当たり前になるなか、服はまだ買ってもらう前提のビジネス。今のビジネスサイクルに則って、今のマインドで生きていると、どんどん売れなくなってどうしようと焦るでしょう。売るだけがすべてではないと、業界全体で発想を転換しなくちゃ。例えば「貸す」「作り直す」「継ぎ足す」…そんな商売が浸透すれば、長く着られる洋服の比重が高くなっても、まだこの業界は生き残れるはず。例えばマルニは過去の生地を再利用したドレスも話題に。またバーバリーは、ザ・リアルリアルという古着屋と業務提携し、バーバリーの古着を売りたい、買いたいという人を取り込もうとしていたり、フランスのジュエラーも遠くない将来、ジュエリーの下取り事業をスタート予定。王者LVMHグル ープからも、自社で買い取り事業を始めるべきだという声が聞こえてきます

◉村上 要さん:WWD JAPAN.com編集長。静岡新聞の記者を経て渡米し、ニューヨークのF.I.T.で学ぶ。帰国後INFASパブリケーションズに入社、2017年より現職。

高い技術が可能にする
再生可能素材がたくさん

村上 ゼニアは回収したウールを分解してまた一から糸を作る技術があって、完全リサイクルの存在から生まれた服が少なくありません。シャネルもパイナップルからレザーにそっくりなマテリアルを開発して話題になったし、プラダもアイコンであるナイロンを、リサイクル素材にシフトしている。最近だとザ・ノース・フェイスも石油に依存しない持続可能な新しい繊維、人工たんぱく質由来の繊維から作ったブルゾンを発表しています。これは山形に拠点を置く会社の素材。日本のサステナブルな素材は国内外ですごく評価されています。

佳子 高い技術力で実現できることは多いですよね。

自分ごと化して、
続けていける習慣を見つけて

村上 徐々に広まっているシェアワードローブもサステナブルに繋がると思います。

佳子 洋服もどんどんユニセックスになって、その究極の形がイギリスのアジェンダだと思います。ロンドンのデパートなんですが、メンズとレディスで分かれていなくて、男女共同のフロア仕様。ダイバーシティでサステナブルなものを揃えていました。日本でも渋谷パルコのグッチがそんな感じだったな。私も娘2人が中学生になって、シェア前提で服を買うことが本当に増えて、靴以外はすでに全部共有しているかも! 子どもって親の買い方を見ていると思うので、お手本になる自分でいたいです。

村上 そうですね、サステナブルに関しては若いコほど危機感を持って取り組んでいると感じています。彼らに話を聞くと、バッグのストラップを付け替えて長く楽しむのもサステナブルですよねと。アクションの仕方はたくさんあって、人それぞれでいいと思うんです。逆にサステナが逆らえないルールや、プレッシャーになってはいけないなと。

佳子 自分なりの方法を見つけられればいいですよね。例えば今はエコレザーが全盛だけど、作る過程で環境汚染が生じたり、土に還らない素材であることは事実。だから私は「バイプロダクト」と言って食肉の副産物として出るレザーを使ったブランドを愛用しています。

村上 自分ごと化して、生活の中で続けられることを見つけることが大事だと思います。VERY読者の方々は子育て世代だから、特に子どもの将来を考えて自分ごと化しやすいと思うし、サステナ(=持続可能)の文字通り、続けられないと意味がないですからね。

撮影/杉本大希〈Zecca〉 ヘア・メーク/森野友香子〈Perle Management〉 スタイリング/石関靖子 取材・文/有馬美穂 編集/引田沙羅

*VERY2020年2月号「WWD JAPAN.com村上 要さん×クリス-ウェブ 佳子さん対談 『いま、ファッション業界で起きているサスティナ旋風』」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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