現在、品川にあるキヤノンギャラリー Sにて、写真展「PARA ATHLETE 〜パラアスリートたちの息づかいと、パラスポーツの興奮〜」が開催されています。※7月17日(水)まで
会場内には、蜷川実花さんが監修されているグラフィックマガジン「GO Journal」の写真が大きく展示されているほか、過去のパラリンピックの報道写真、IPC(国際パラリンピック委員会)とWOWOWの共同プロジェクト「WHO I AM」を上映するミニシアター、また、競技用のボールなどが展示されており、見て・触れて楽しめる内容となっています。前回、ノーバリアゲームズを取材して、パラリンピック競技に興味をもった新人ライター木村が、来年の開催に向けて予習するべく、写真展へ行ってきました。
吸い込まれそうな程に美しい 蜷川実花さんが捉えたパラアスリートの世界
蜷川さんの写真といえば、やはりキレイな色使いが特徴ですよね。
こちらの写真も、プールの水色に映える、赤とピンクのドレス。一ノ瀬さんの表情と相まって、アスリートだということを忘れてしまうほど美しかったです。ほかにもパラアスリートの写真が展示されており、その迫力と美しさは圧巻だったので、ご覧になりたい方はぜひ、足を運んでみてください。
2020年パラリンピック種目を一挙紹介!
2020年8月25日に開会する東京2020パラリンピック競技大会。行われる競技は、アーチェリー・陸上競技・バドミントン・ボッチャ・カヌー・自転車・馬術・5人制サッカー・ゴールボール・柔道・パワーリフティング・ボート・射撃・シッティングバレーボール・水泳・卓球・テコンドー・トライアスロン・車いすバスケットボール・車いすフェンシング・車いすラグビー・車いすテニスの全22競技。それらを、写真と解説付きで紹介されているコーナーもあり、こんなに多くの競技があることを知らなかったので驚きました。同時に「どんな風に戦うんだろう?」そんな興味が湧いてきて、来年の開幕がますます楽しみになりました。
実際に見て・聴いて・触れて、感じてみよう!
会場内には、競技用のボールや選手が着用する義足も展示してあり、実際に触ってみることが出来ました。ボールの中には、鈴や金属の粒が入っており、揺らすと音が。しかも、競技で使うボールによって音色が違うんです!選手たちは、そのボールが発する音や仲間や相手の声、気配などから情報を得て戦うそう。また、実際に触ってみて分かったのですが、目を開けたまま持つのと、閉じて持つのでは、感覚が全く違う…!普段、目から得る情報にいかに助けられているのかを身をもって感じるとともに、スポーツのシーン以外においても、障がいを持つ方の立場になって考える良いきっかけになりそうだと思いました。
ぜひ、お子さんと一緒に 知らない世界を覗いてみよう。
「リバースエデュケーション」という言葉をご存知ですか?直訳すると「逆教育」「逆習」。言葉として聞く機会は少ないですが、毎日の生活の中で子供から得るものがあると実感しているお母さんは多いと思います。私もその一人。毎日お喋り好きな娘二人からの「なんで?」からたくさんの気付きや発見を得ています。それこそが「リバースエデュケーション」です。「足のない人はどうやって車いすに乗るの?」「目が開いていても見えない人もいるの?」「ボールから音がするのはわかったけど、ゴールは?どうして目が見えないのにどこがゴールってわかるの?」と、今回のイベントの写真を見た娘たちから質問攻め。大人が疑問に思わないこと、勝手に“こうかな?”なんて思い込んでいることを子供は真っすぐに不思議に思う。これを機に障がいについて一緒に考えることで、私自身も新たに知ることがありました。
写真だけでなく、映像も楽しめる! 「WHO I AM」ミニシアター
会場内の一角にはミニシアターもあり、「WHO I AM」という世界のパラアスリート選手たちに迫ったドキュメンタリーが上映されています。恥ずかしながら、パラアスリートは水泳の木村敬一さんしか知らなかった私ですが、普段の生活や、練習風景、家族や周りの人とのかかわりが丁寧に描かれ、アスリートとしてのパラリンピック、メダルへの熱い想いにどの回も選手それぞれのストーリーがあり見入ってしまいます。競技のルールや面白さはもちろんのこと、来年活躍するであろう選手たちのことを深く知ることもできるので、これから観戦する競技を決める前に見るのもオススメです。
写真展「PARA ATHLETE」 「かっこよすぎる!」の一言に尽きます。
パラリンピック関連の取材は2回目でしたが、取材ごとに自分の世界観が少しずつ広がる気がしてとても楽しいです。共通して感じるのは、パラリンピック・パラスポーツとして括られているから障がい者スポーツと認識していますが、障がいの有無を超えてただ単純にかっこいい!!取材時に説明をしてくださった日本財団パラリンピックサポートセンターの方の「“かっこいい”“すごい”最初はそんな感情からでいい。興味を持ってもらって、理解してもらって、いつかダイバーシティ&インクルージョンが叶う世界になったら」という言葉は本当にその通りで、知れば知るほど、障がい者の方を特別視してしまっていた自分を恥ずかしく思い、子どもたちには小さい頃から大きな世界観を持って育って欲しいと願うばかりです。日常の中で出会う機会がなかなかないのが現状なので、このようなイベントはとてもありがたく思いました。余談ですが、品川駅から屋根ありの道を進むと会場に行けることもうれしかったです。もうすぐ夏休み。お子様の自由研究に悩んでいたお母さんにもオススメです。
写真展「PARA ATHLETE 〜パラアスリートたちの息づかいと、パラスポーツの興奮〜」
キヤノンギャラリー S 東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー 1F
https://cweb.canon.jp/gallery/schedule/shinagawa.html
2019年7月17日(水)まで開催中(日・祝休館)
入場無料
撮影/大場千里 取材・文/木村幼奈