今年の春から全国の自治体において実施される「こども誰でも通園制度」。これまで〈育休中だと上の子を預けられない〉〈専業主婦だと保育園を利用できない〉といった声も少なくありませんでしたが、そんな時代が、変わろうとしています。本記事では2児のママで自身もお子さんを保育園に預けているVERYモデル 咲 和希さんと、3児のパパでもある京都大教授・柴田 悠さんが登場。「こども誰でも通園制度」をはじめ、妊娠期から相談できる支援、そして「一人で抱え込まない育児」の大切さについて語り合いました。

柴田 悠(はるか)さん
京都大学大学院教授。専門は社会学・家族政策。双子を含む3児の父でもあり、研究と実生活の両面から子育て支援や「受援力」の重要性を発信。

咲 和希さん
大阪府出身。2019年よりモデル活動を開始、2023年にVERY専属モデルに。保育園児の3歳と0歳の母。YouTubeチャンネルも好評。
産休・育休ママに聞く
週1でもあずけられたら?

2人目育休中/2歳と0歳の女の子ママ O・Sさん
「保育士資格や小型船舶など、ルーティン通いが必要な資格取得のためのスクール通いに充てるために使いたい。自己研鑽系は、小さな子どもが居るとつい諦めてしまうので…」

2人目育休中/3歳男の子、0歳女の子のママ K・Nさん
「同時に複数の施設に登録できるのであれば、本格的に保育園に通う前に、子どもと保育園の相性もわかってミスマッチが防げそう。復職前に、ぜひ利用してみたいです」
3人目育休中/5歳、3歳、0歳男の子のママ S・Kさん
「週末こそカオスなので、土日ではない平日に“自分だけの時間”を確保できるのは本当に助かる。保育園の先生や同年代の子と遊ぶのは、子どもにもいい刺激になると思うし、先生に些細な子育ての悩みも相談できそう」
[左]柴田悠先生(以下、柴田) [右]咲 和希さん(以下、咲)
咲
今、子どもたちは0歳と3歳。正直しんどい時期です(笑)。上の子は保育園に通っていますが、下の子はこの4月からなんです。今は近くに住んでいる母がヘルプで来てくれるのでとても助かっていますが、もし母がいなかったらどうなっていたんだろうと思うこともあります。シッターさんも探しているものの、子どもとの相性を見たり、面談をしたりと準備が必要で、費用も決して安くはありません。
柴田
お母さまが来てくれなかったら大変だった、という経験はありますか?
咲
実はこの前、撮影の前日に母がインフルエンザになってしまって。前日だったので預け先も見つからず、結局現場に子どもを連れて行きました。撮影自体は無事終わったのですが、やはり心身ともに疲弊してしまって。それ以来、いざという時の預け先を複数持っておいたほうがいいな、と思うように。でも前日だとやっぱり難しいですね。それに、特に子どもの体調不良はいつ起こるかわからないのが本当に大変です。
柴田
病児保育は地域差も大きいですよね。預けるために診断書が必要だったりして、すぐには預けられないケースもあります。我が家はいざという時は多少仕事の調整ができますが、それでも重要な会議が重なると、立ち行かない場合もあります。
咲
柴田先生はお子さんが3人いらっしゃるそうですが。病気の時は本当に大変ですね。
柴田
一人がインフルエンザになると、順番に倒れていくんですよね。以前、家族全員が次々に体調を崩して、1カ月くらい通常の生活が送れなかったこともありました。
「一人目が一番しんどい」は、データでも裏付けられている
柴田
「一人目が一番しんどい」という感覚は、データでも裏付けられています。実際に一人目のときが産後うつのリスクが高いのです。にもかからず、若い世代(20代や30代)でも4割は、“3歳になるまでは母親が子育てに専念しないと、子どもの成長に悪影響が出る“といういわゆる「3歳児神話」を信じているというデータがあります。それが年配(70代以上)だと8割とさらに高くなります。ただ、近年の研究では、「3歳児神話」は必ずしも正しくないこともわかってきました。全国調査に基づいた研究では、生後6カ月〜1歳の間に保育園に通い始めた子どもは、3歳時点でコミュニケーション力や社会性、問題解決力といった面で、発達が良くなる傾向があるとされています。
咲
子どもって、保育園で覚えてくることが本当にたくさん。自分だけでは教えきれないことを、日々サポートしてもらっています。保育園に預けることで、いろいろな力が伸びてくると聞くと、保育園に預けることに“罪悪感”を持っているパパママにとっては、少し安心材料にしてほしいデータですね。
親が楽になることが、子どもの育ちにつながる
咲
今回始まる「こども誰でも通園制度」は、保護者の就労状況にかかわらず利用できる、というのが大きいですよね。専業主婦の方も利用できると聞きました。
柴田
本当に大きな転換だと思います。数年前までは、日本の保育は働いている親のための「福祉」という意味合いがありました。それに対して今回の制度は「子どもの育ち」のための制度。親が働いているかどうかに関係なく、子どもは集団の中でしっかり育つという考え方に立っています。研究でも、通園によって子どもの発達が促されるだけでなく、親のストレスが軽減され、育児の幸福感が高まることが示されています。不適切な養育や虐待のリスクが下がることも分かっています。親に余裕が生まれることは、そのまま子どもにとっての安心につながります。
咲
週に1回、2時間でも利用出来たら、全然違うと思います。その時間があるだけで、また頑張れるなって思えるんですよね。
柴田
理想的にはもっと長く利用できるといい。でもまずは定期的に、理由を問われることなく利用できる仕組みができた、という点が大きいと思います。今回の制度では、地域にもよりますが月10時間まで利用できます。短い時間でも「無条件で定期的に利用できる」という選択肢ができたこと自体が、これまでなかった変化です。
「何かあったら連絡できる」と思えるだけで、安心感が違う
柴田
「こども誰でも通園制度」と並んで、こども家庭庁が取り組んでいるのが妊娠期から相談に応じる伴走型相談支援(妊婦等包括相談支援事業)です。妊娠期から産後にかけて専門職との面談をすることで安心して出産・子育ての準備ができます。併せて、妊婦のための支援給付によりお子さん一人につき5万円を2回、合計10万円の給付も受けられます。金銭的な支援はもちろん、「この人にいつでも相談できる」というつながりができることが大きいです。
咲
1人目の時とは違って、私も下の子を産んで、すでに2回、面談を受けました。自宅まで訪問してもらえて、困りごとを話すと、ポジティブな言葉をたくさんかけてもらえました。2人目だからそんなに悩みはないかな? と思っていましたが、実際お会いするとたくさんでてきて(笑)。相談員さんの名刺をいただいて、「何かあったら連絡できる」と思えただけで安心感が全然違いました。それに、プロはちょっとした言葉の変化も見逃さないんだな、と感じました。
柴田
まさにそこが大事なんです。必要に応じて、産後ケア事業や別の支援につないでもらうこともできます。孤立を防ぐためには、「困ってから助けを求める」のではなく、あらかじめ安心して相談できる人につながっておくことが重要なんです。
育児は「全部を背負わなくていい」というより「背負わないほうがいい」?
柴田
国内外の行動遺伝学の研究によれば、子どもの将来は親の関わりだけで決まるものではなく、むしろ遺伝や家庭外の環境の方が大きいことが分かっています。親の関わりが強く影響するのは、基本的な愛情関係に加えて家庭教育などの「何かをプラスする関わり」よりも、ネグレクトや虐待のような「マイナスの関わり」です。だから大事なのは「プラスを足す」ことよりも、「マイナスを作らない」こと。子どものためを思っての行動でも、本人が嫌がるなら虐待になってしまうことだってあります。一人で抱え込んでネグレクトや虐待をしてしまわないように、周囲の人々や支援制度に頼ることこそが、実はいちばん大事なんです。
咲
それは肩の荷が降ります。一人で抱え込まないことが大事なんですね。
柴田
頼ることは、親のためだけでなく、子どものためでもあるんです。「こども誰でも通園制度」や伴走型相談支援は、ようやくその考えを形にし始めた制度だと思います。ほかにも、産後ケア事業、一時預かり事業、泊まり出張などのときに頼れるショートステイも。さらに金銭的な支援では、両親共に育休取得した場合の手取り10割支給、2歳未満の時短勤務で給与が1割増しになる仕組みや、育休や時短勤務を支える同僚支援や代替要員確保に取り組んだ企業への助成金も整ってきました。児童手当も所得制限無しになりましたね。だんだんと、すべての子どもの育ちを社会全体で支える制度が近年増えてきていると思います。
咲
しっかり活用していきたいですね。育児は子どもも大人も「楽しい」が多いほうがいいと思うし、二人目で心の余裕が出てきたからこそ、今そう思っています。
柴田
我が家も、必死だった最初の双子育児を経て、3人目でやっと育児に慣れて「心の余裕」ができました。心に余裕ができれば、育児を楽しむことができますし、「マイナスの関わり」を予防することもできますね。だから、自分の“ゆとり”を持つために堂々と利用していいのだと思います。制度を利用している間は、昼寝をしてもいいし、ドラマを見てもいい。自分で自由に使って良いのです。親の心のゆとりが、結果的に子どもの育ちにつながるというのは真実。そのメッセージが、もっと広がってほしいです。
咲
「子育ては、ひとりで抱えなくていいんだ」と思える社会になっていってほしいと思います。
PR・お問合わせ先/こども家庭庁
咲さん/ジャケット¥24,200オールインワン¥22,000(ともにノーク)ピアス¥27,500(バウゴヘイアン)右手リング¥19,800(アグ)左手リング¥28,600(ノムグ)シューズ¥64,900(ネブローニ)チェア(大人用)各¥127,380~ (子供用)¥50,380(すべてフリッツ・ハンセン)
撮影/須藤敬一 スタイリング/山本有紀 ヘア・メーク/只友謙也〈Linx〉 取材・文/有馬美穂 編集/中台麻理恵
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