※このコラムはVERY2025年10月号(2025年9月5日発売)に掲載されたものです。
部屋が散らかっているのを見ると、なんだかものすごく自分がダメな人間みたいな気がしませんか?私、それずっと感じてたんですよね。部屋が散らかっている=私がちゃんとできてない、私のせい…って。でもあるとき、とある片付けのプロの方に言われて、ハッとしたことがあって。「同じ散らかっている部屋を見ても、男の人は『散らかってるなー、掃除しなきゃ』って外側の問題として見る人が多いけど、女の人は『私ってダメ人間』って内面化する人が多い」って。それを聞いて共感して。確かに私、洗濯物がたたまれてなくて山になっているだけで、「なんで私って、これすらできないんだろう」って落ち込んじゃうんです。でも夫は「洗濯たまってるねー」で終わり(笑)。男女の傾向として、片付け=自己評価になっちゃうのって、やっぱりママが多い気がするんです。
しかもね、モノが多いと、ただ散らかってるだけじゃなくて、「この服は誰の?」「このプリント、捨てちゃダメなやつ?」といちいち判断が必要で、それでまた脳が消耗する。もう、ただモノがあるだけで、エネルギーが削られていくんです。「せっかく買ったし…」「子どもが使ったし…」「3人目が使うかも」と延々と考えてしまいます。
でも、最近ようやく気がつきました。家にもキャパがあるし、自分にもキャパがあるってこと。モノが溢れている=私の努力不足、じゃなくて、今の私にはちょっと多すぎなだけ。「私ってダメだな」と感じたら、それは片付けられない自分を責めるサインじゃなくて、「今ちょっと無理してるよ」って体や心が教えてくれているサインかもしれない。そう思えたら、だいぶラクになりました。今は「いかに自分が機嫌よくいられる量で暮らすか」に意識を向けています。服だって、棚にギュウギュウに入れず、スカスカくらいがちょうどいい。子どもも自分で選びやすいし、私も管理しやすい。そうやって、自分を責める思考から少しずつ自由になれたらいいなと心から思います。
家が整っていると、自分の気持ちも整う。それって、すごくシンプルなことなんだけど、実現するのが一番むずかしいんですよね。特に、子どもが小さいうちは、気づけばママ一人が片付け係になりがち。でもそれって本当は違うはず。だから最近は、みんなで暮らしを整える感覚を子どもたちにも育てたいなと思っているところ。うちでやってるのが、「よーいスタート!」の合図で音楽をかけて、曲が流れている間だけ家族全員でお片付けやお掃除をするっていうルール。

指示されてやるのではなく、自分で「何ができるかな?」を探して動く。もちろん、できない日もあるし、やる気が出ないときもあるので無理せずです。あと最近、「ビジュアル・ポリューション(視覚の公害)」という言葉を聞いて、すごく納得しました。看板、広告、通知、オモチャ、服…目に入る情報が多すぎて、脳が疲れてしまう。特に子どもがいると、部屋の中って本当に情報量の多い空間になってしまいがち。だからたとえば、オモチャを入れ替え制にする。半分は見えない場所にしまっておいて、しばらくしたらローテーションで交換。子どもは「久しぶり!」って新鮮な気持ちで遊んでくれるし、常に全部を目に入れておく必要もないから、親の片付けストレスも見た目ストレスも減る。でもそれもまあなかなかの手間ですし、私もまだまだだけど、「これは今の自分のキャパを超えてるな」と思ったときに、ちゃんと手放す勇気を持てたらいいなと思っています。それって、きっと料理や性教育と同じくらい大切な生きる力になるのかな、って。そして、これが読まれている頃、私はオーストラリアにいます。次回はオーストラリアでのこと、たっぷりお話ししますね!
◉SHELLY|シェリー
1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。9歳と7歳と3歳の娘の母。

スーツケースと段ボールのみでオーストラリアのパースへ。郵送では何も送らなかったので、これで生活を始めます。しっかしすごい荷物だったー!
撮影:須藤敬一 取材・文:有馬美穂 編集:中台麻理恵
*VERY2025年10月号「SHELLYのこれってママギャップ?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。









