
読書家として知られるVERYモデルの青木裕子さんが、ママに響くオススメのミステリーを厳選。子育ての合間に“非日常へいざなう”3冊を楽しんでみませんか。
子育て中こそ、一瞬で非日常に
いざなってくれる最高のエンタメ!
VERY秋のミステリー同好会
❝VERYモデル一(いち)の読書家❞
青木裕子さん
ジャンル問わずの読書家、書店にも足繋く通う。VERY web連載『ふむふむ、本棚』でも多くのおすすめ本を紹介中。母目線も交えつつ、ハマッたミステリーを教えてくれました。
未必のマクベス

後味の悪さは嫌、でもワクワクは
譲れないママに贈るミステリー
分厚い本は手に取るのを躊躇してしまいがちなのですが、著者22年ぶりの長編という背景に、あるいは「マクベス」というタイトルに、書店でどうにも惹きつけられてしまった一冊です。読み始めたら、めくるめくドラマのような展開に、目が離せなくなりました。没入感がたまらなく、本から顔を上げるたび「私、今どこにいるんだっけ?」と感じてしまったくらい。人生の酸いも甘いもそれなりに経験してきた大人だからこそ、楽しめる作品だと思います。
『未必のマクベス』
早瀬 耕(ハヤカワ文庫)
出張帰りのマカオにて、娼婦から不思議な予言を受けた主人公・中井。やがて彼は香港の子会社の社長に就任し…犯罪小説でもあり恋愛小説でもある、味わい深い一冊。
中央線小説傑作選

オムニバスは、子育て中の読書の味方だと思っています。中央線沿線を舞台にした作品を集めたこの本の中では、ミステリーはアクセント使いといった感じ。太宰治の人間の愚かさを突き付ける皮肉めいた展開も、松本清張の社会のおぞましさを感じさせる緻密な描写も、オムニバスの一遍。だから重い気持ちになりすぎず、さらっと楽しめます。それでいてしっかり名作ミステリーを読んだという満足感が得られる、お得感のある一冊だと思います。
『中央線小説傑作選』
太宰治、松本清張ほか(中公文庫)
中央線沿線を舞台に、内田百閒、太宰、松本清張ら多彩な作家による私小説からミステリまで11編を収録。一編、一編、濃厚な映画を一本見終えたような充実感。
放課後ミステリクラブ

読書が苦手な我が家の次男と一緒に選んだ一冊。帯に「親子で楽しめる本格ミステリ」とあったので、次男が寝ている間に私も読み進めてみました。子どもが読みやすい設定や言葉遣いになっているものの、大人も面白さを感じられる作品です。考察し合う楽しさもミステリーの醍醐味。「どちらが犯人をあてられるか」なんて言いあいながら、次男もあっという間に読破できました。親子で楽しむコツは、親が先にネタバレしないことです(笑)。
『放課後ミステリクラブ』
知念実希人(ライツ社)
ベストセラー作家による子ども向けミステリー。学校で起こる不思議な事件に挑む小学生探偵たちの活躍は本格的。殺人事件は起こらず、トリック満載で親子で楽しめる。
撮影/坂田幸一 取材・文/樋口可奈子 編集/中台麻理恵
*VERY2025年10月号「秋のミステリー同好会」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品は販売終了している場合がございます。