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青木裕子さん・アナウンサー時代に出会った「人生のお守りになる本」

VERYモデル・青木裕子さんによる読書エッセイ。最終回の今月は局アナ時代に共演者に教わったという特別な一冊を紹介します。「読む人の人生のお守りになるかもしれない」と感じる理由は? 息子さんたちのおすすめ本も教えていただきました!

今月の一冊

 「本を読む時間がない!」局アナ時代に出会った思い出の本

 

本があれば、誰かとつながることができる

 

本を読んでいる時間は、私にとってかけがえのない「自分だけの時間」です。ページを開けば、日常から少し離れて、物語や言葉の世界に没頭できます。電車での移動中に、就寝前の少しの時間に、読書を楽しむ時間を大切にしています。読書を楽しむくらいの余裕を持ち続けられる生活というのは私にとってありたい自分であるバロメーターです。もしかしたら、若いころに、本を読む時間など取れないほど忙しく働いた時期があるからそう思うのかもしれません。また、読書は誰かとつながる体験でもあると思います。本の向こうには作者がいて、その言葉を受け取ることは、一種のコミュニケーションともいえるからです。さらに、本をきっかけに人と人がつながることもあります。誰かにすすめてもらった本を読むときや、自分のために誰かが選んでくれた一冊を手にするとき──そこには特別なコミュニケーションが生まれます。思えば、息子たちが幼いころの読み聞かせも、私が彼らのことを考えて本を選ぶところから始まる、とてもあたたかい時間でした。

 

アナウンサー時代に教えてもらった「特別な一冊」

 

私にとって人とのつながりを感じる特別な一冊と言えば、カート・ヴォネガットの『国のない男』が挙げられます。テレビ局のアナウンサーとして、それこそ読書どころではなくなるほど忙しく働いていたころ、尊敬する共演者の方がすすめてくださった本です。ヴォネガットは、戦争体験を背景に社会の不条理や人間の愚かさを描いたアメリカ文学の巨匠であり、『スローターハウス5』などの代表作でも知られています。『国のない男』は晩年に書かれた随筆集で、政治や環境問題から日常の小さな出来事に至るまで、ユーモアと皮肉を交えて語られます。その文章は、ウィットに富んでいて、にやりと笑ってしまいます。人間の滑稽さや愚かさ、社会の不条理や理不尽を鋭く指摘しつつ、決して、悲観的にならないのは、全編を通して感じられる人間への愛ゆえだと感じます。個人的にはヴォネガットの主張の正しさや凡庸性よりも、そのユーモアと愛を忘れない姿勢によって成立する、不思議とあたたかい読後感を味わってもらいたいと思います。

撮影/川﨑一貴〈ajoite〉
多忙を言い訳に読書からも離れ、多くの悩みを抱え厭世的になっていた当時の私も読み終えた後、不思議とあたたかい気持ちを受け取っていたのでした。この本のあたたかさは、多くの人にとって人生のお守りになるかもしれないと思います。

〈幸せな時には、幸せなんだなと気づいてほしい。叫ぶなり、つぶやくなり、考えるなりしてほしい。「これが幸せでなきゃ、一体何が幸せだっていうんだ」と。〉この本の中で一番気に入っている一節です。この本に出会えて、そして、今こうして、この本について書くことができるなんて、私はなんて幸せなのだろうと感じます。

この連載を通して、何冊かの本をご紹介しました。もしも連載が、皆さんの読書のきっかけになれたなら、私がそうして皆さんと「つながる」コミュニケーションができたなら、そんなにも嬉しいことはないと思っています。

国のない男』カート・ヴォネガット・著、 金原瑞人・訳(中公文庫)

村上春樹をはじめ多くの作家に影響を与えた、戦後アメリカを代表する作家・ヴォネガット。その遺作となったエッセイ集を待望の文庫化。

 

「息子のおすすめ本」を読むのも楽しいです

 

本は親子間のコミュニケーションツールにもなると感じます。子どもたちが小さいころは、書店で、「懐かしい!」と感じる絵本を見つけては、読み聞かせしました。読み継がれる絵本の存在は、脈々と続くヒトの歴史を感じさせて、子育て中の孤独な気持ちが救われるようでした。最近では、息子たちと“一緒に楽しむ”読書にも魅力を感じています。親だから、年長者だからといって、いつも私が“おすすめをする”立場なのではなく、子どもからすすめられた本を読んでみるとか、共有できる本を見つけるとか。例えば『パーシー・ジャクソン』シリーズは最近長男にすすめられて一緒に楽しんでいる本です。『ハリー・ポッター』、『ダレン・シャン』など冒険シリーズものが好きな長男にはぴったりの作品で、読みごたえもあり、児童文学ではありますが、大人でも十分楽しめます。ちなみに、ギリシャ神話を元としたストーリーは長男の家庭教師の先生曰く「絶対に知っておいた方がいい話」とのこと。親としての(読書が知の扉になってほしいという)下心も満たされるシリーズです(笑)。次男が書店で手に取った『きまぐれロボット』は、私も大好きな星 新一のショートショート。「どの話が好き?」と会話がはずみます。

 

子どもたちの本のセレクトに驚いて…

 

シリーズものにハマる長男と、短編集をサクッと楽しむ次男。たまたまではありますが、2人の性格も出ているような気がして、また読書って面白いなあと感じました。そうそう、『パーシー・ジャクソン』シリーズの翻訳者・金原瑞人さんは、『国のない男』の翻訳者でもあります。「意外なつながりを見つけたわ!」と思って本棚を眺めてみたら、私が夏休みに長男におすすめしたヤングアダルト作品『キングと兄ちゃんのトンボ』(作品社)の選者も金原瑞人さんでした。そんなつながりもまた面白いですよね。

『きまぐれロボット』星 新一・著(KADOKAWA/角川文庫)

お金持ちのエヌ氏は、博士が自慢するロボットを買い入れた。オールマイティだが、時々あばれたり逃げたりする。ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は……。傑作ショートショート。

 

『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃 1-上』リック・リオーダン・著、 金原 瑞人 ・訳(静山社ペガサス文庫) 

パーシー・ジャクソンは、12歳の夏休みに突然、ギリシャ神話の神々と人間の母親との間に生まれた「ハーフ」であることを告げられ、ミノタウロスなどの怪物に襲われる。ギリシャ神話の神々や怪物たちは不死の存在で、現在もアメリカ合衆国で暮らしているというのだ。人気シリーズ第一作。

 

最近の青木さんは?

パーマをかけました! ヘア・メークの塩澤さんとなんだか似ている?ような(笑)。

とーっても久しぶりにテレビの収録に参加しました。

「絶対面白いから!」と、子どもたちを誘って、世界陸上に2回足を運びました。親子ですっかりはまり、閉幕してからはややロスに。

日本科学未来館のドームシアターが好きです。宇宙の壮大さを思うと涙が……。この日は次男と行きました。

我が家にレミパンが!(左) 早速、水餃子たっぷりすぎのスープを作りました。活用するのが楽しみ。

VERYでも紹介されていた、「デザインあ」展。大満足でした。VERYを参考にお出かけすることが意外とあります。次は韓国旅行かなあ。

青木裕子さん
VERYモデル。小学生2人の男の子の母。「本は紙で読む派」で、忙しい日々のなか自宅やお子さんの学校近くの書店に立ち寄るのが楽しみだとか。

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