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「子どもがかわいそう」に振り回されちゃうのはなぜ?|SHELLYのこれってママギャップ?

 

目下の子育ての悩みといえば、子ども同士のケンカにどこまで介入するか問題。4歳と2歳、仲はいいけどケンカが激しいんです。暴力はダメと教えたいけど、手を出すたびに私が口出ししていたら毎回止めないといけなくなる。この年齢でそんなに言わなきゃいけないのかなと、毎回自問自答しています。私も三姉妹の末っ子ですが、それこそ大人になった今もケンカの傷痕が残っているくらい激しくケンカしていました(笑)。親に「ケンカはやめなさい!」と怒られても、「うちら姉妹の話だから親は関係なくない?」と思っていた記憶があって。姉妹とても仲がよかったし今もいいし、大人が口出すのはナンセンスだなあって。あと、下が赤ちゃんだからといって上にたくさん我慢させるのも違うなと。一生2歳上だから、ずっと我慢することになる。そのバランスは難しいですよね。

 

上の子は、嚙み癖に悩んでいたのも噓のようにしっかりしてきました。いろんな人に面倒を見てもらえたおかげかなと。私と1対1だったらもっと思い悩んでいたかもしれない。ばあば、幼稚園など、それぞれにルールや社会があって、それでバランスがよくなってきている気がします。よく娘に「ばあばはお菓子を買ってくれるのに」と言われるのですが、「それはばあばと一緒のときに言って」と返します。本当は、ばあば買わないでよとも思うのですが、自分ひとりで子どものことを全部管理することはできないので。アレルギーなどでない限り、普段あげないようなお菓子を食べたり、見せたくない動画を見ていても、ごちゃごちゃ言って関係が悪くなるよりは、子どもを見てくれる人に任せたい。家にいる時間が一番長いから、そこで規律やマナーを教えていけばいいのかなと思っています。思っているより子どもはしっかりしていて、大人を試しているんですよね(笑)。

 

「お母さんと一緒にいることが一番幸せ」「もう預けているの?」。耳に入ってきますよね。お母さんはずっと子どもといたいものなんだ、そうじゃない自分は変なんだ……そういう刷り込みのせいで早く仕事復帰したい、大人と会話したいと思う自分を責めたり、お母さんとしてダメなんだと思ったりしてしまう。でも実際には、海外では働いている家庭の子どものほうが将来の年収が高いとか、いい影響があるというデータもあります(*記事下に注釈あり)。

最初親戚にしか預けていなかった娘を、2歳過ぎてから週に数回か保育園に預けだしたのですが、本当にいろんなことを学んできてくれました。仕事じゃない時間はずっと一緒にいないといけないと思っていたけど、子どもも子どもの世界に入れたらすごく成長を感じたんです。もっと早く預けたらよかったと本当に思いました。と、1人目でそう痛感していたのに、2人目でいざ保育園に入れるとなると、「上の子は2歳3カ月だったのに、この子まだ2歳になってないのにいいのかなあ」とまた思う(苦笑)。

 

でもそのタイミングで、90歳を過ぎた保育士さん、大川繁子さんの記事を読みました。3歳まで一緒にいたほうがいいという3歳児神話を見事に喝破してくれていて。子どもは1歳くらいから子どもの社会にいたほうが成長するし、その場でしか学べない社交性やルールもいっぱいあると、真っ向から言ってくれていて。ありがとう、このタイミングで聞けてよかったと思いましたね。

 

預けたらやっぱり楽しそうだし、丁寧にプロの方が見てくれてわいわい学んで、帰ってきた私は何も考えずにただ子どもと遊べる。自分が勝手に思い描いていた母親像が育児の邪魔をしているひとつの例だなと思いました。ママたちも、雑音を耳に入れないトレーニングが必要ですよね。芸能人としては、コメント欄を見ないなど対処ができているのに(笑)、母親としては全然できていなかった。みんながいる場では、「夜ご飯冷凍だっていいんですよ!」とか言っても、家に帰ったら「ごめん、今日はちょっとコレで!」って、バジルのパスタをチンしたりしている。子どもたちはバジルのパスタが大好きで大喜びするんです。なのに、ごめんと思っちゃう。

 

「手作りの料理で育てるべき」「野菜はオーガニックを買うべき」。その向こうにある、子どもがかわいそうという恐ろしい言葉に惑わされてしまう。離婚したの?子どもがかわいそう、とか。自分の目で見て、子どもたちは生き生きして丈夫に育っているし、何にも生活に不満がないのに。外国人ママのお弁当を見ると、チーズとクラッカーだけとか、ご飯にふりかけとか、そんなんでいいの!?というオンパレード。日本はこうでなきゃという圧がやっぱりすごいんだと思いました。結婚してから、女の私にだけ「料理してる? 」と聞かれ続けたのも納得いきません(笑)。元夫は一度も聞かれたことがないらしいですから。料理をちゃんとしないと結婚しちゃいけないの?と思って、あえて「してません」と答えてましたね(笑)。惣菜屋さんとかおばあちゃん食堂が街にたくさんできたらいいのになぁ。ママたちは、思っているよりもっともっと、楽をしていいと思うんです。

 

*ハーバード・ビジネス・スクールが、29カ国10万人の母親に調査した結果、働く母親の子どもは専業主婦の子どもより高い学歴と報酬を得る可能性が高いとし、子に精神的悪影響は観察されなかったとした。

◉SHELLY|シェリー
1984 年生まれ、神奈川県出身。14 歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。4歳と2歳の娘の母。

撮影:須藤敬一 取材文:有馬美穂 編集:羽城麻子
*VERY2020年4月号「シェリーのこれってママギャップ? Vol.4」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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