5歳と1歳の2人の子どもを育てる滝川クリステルさん。日増しにおしゃべりになる息子さんに、毎日笑いが絶えないのだとか。愛犬との別れを救ってくれた息子さんの一言、そして夫婦ともに忙しい日々のなか、家族でどんな過ごし方をしているのかを聞きました。
「ママ、大丈夫だよ」愛犬の死後、息子の言葉が励みに
──下のお子さんが生まれて、お兄ちゃんが赤ちゃん返りするようなことはなかったのでしょうか。
まったくなかったです。親がびっくりするくらい妹のことを溺愛していて、本人も「妹が大好きすぎて困る」なんて言っています。「ママ、(妹が)こんなにかわいくなるなんて、僕思わなかったよ」と、娘が成長するにつれて愛情も増しているようです。娘の寝顔を見ながら、息子と「かわいいよね」と言い合っています。幼稚園のお迎えに娘を連れて行くと「僕の妹だよ」と見せびらかすこともあって、一体どういう心境なのかなって(笑)。そんな息子を見ているのが楽しいです。
──滝川さんには先日16歳で旅立った愛犬・アリスがいつもそばにいました。東日本大震災で被災した元保護犬で、滝川さんの結婚会見にも同席するほどの仲睦まじい様子がとても印象的でしたね。
息子はまだ5歳なので、アリスが亡くなったことは理解しても、それ以上深く考えることはまだ難しいかもしれません。でも私が落ち込んでいる様子を見て、「ママ、大丈夫だよ。アリスはお空にいるんだから」となぐさめてくれて。子どものそんな言葉に救われました。私がちょっとでもぼーっとしていると「ママ、今アリスのこと考えていたでしょ? 僕にはわかるんだよ」って……。見透かされていますよね。だから私もそこまで泣かずに済んでいます。子どもがいるだけで日常がめまぐるしく過ぎていくので、考える時間を与えられないのが逆によかったのかも。一人だったらなかなか立ち直れなかったかもしれないですね。
──息子さんはどんどんおしゃべりが達者になっているようですが、最近のエピソードがあれば教えてください。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り」ってあるじゃないですか? あれをやった後に、「天の神様の言う通り、あ、でもやっぱりこっち」って勝手に結果を変えちゃうんです。じゃあもうやる必要ないよねって、それを見るたびに笑ってしまいます。毎日本当にたくさん笑わせてくれるのですが、いろいろとありすぎて……ちゃんとメモを取っておけばよかった(笑)。
どんなに忙しくても、夫婦で必ず毎日子どもの話をします
──ご夫婦ともに、お忙しい日々をお過ごしのことと思います。お子さんのことなど、夫婦間の情報共有はどうされていますか?
最近はとくに多忙ですが、夫が早めに帰ってこられるときは、一緒にキッチンに立ったりお酒を飲んだりして話をすること多いです。忙しい日も寝る前など、一日のどこかで必ず子どもの話はします。夫も子どもたちがどんなことをしていたのか、気になるみたいで……。「今日はどんな様子だったの?」と聞いてきますね。子どもと会えないときはLINEしたり電話したり、情報交換はお互いマメにするほうです。
──育児の分担はどうされていますか?
分担というのとは違うかもしれませんが、夫は子どもと遊ぶのが得意なんです。私が娘を見ている間に、夫と息子とでサッカーや野球をやったり相撲を取ったりと、いつも楽しそうに遊んでいます。私が家事をしている間に子どもを見ていて、気がつくと公園に連れて行っていることも。
40代での子育ては私にとってはベストタイミングでした
──42歳で第一子を、46歳で第二子出産。お子さんが生まれる前と後とでは、滝川さん自身はどんな心境の変化があったのでしょうか。
これまでは仕事のためにもインプットを大切にしていましたが、今はそれが難しい状況です。育児をする日々は充実していて気持ちはとても満たされていますが、自分のための読書や情報収集の時間はなかなかとれません。これまでに比べて今の自分は空っぽだと思う瞬間もあります。でも、40代になってからこういう時間がやってきたことで「今、子育てができてよかった」と思えています。もともと好奇心が強いので、やりたいことは常にたくさんありました。私の場合、妊娠や出産の時期がもっと早かったら、「あれもこれもしたいのに……」とイライラしていたかもしれません。20代、30代といろいろな経験をした上で子育てがスタートしました。「人生のなかで、こんなふうに満たされた気持ちになる瞬間があるんだ。今まで知らなかったな」としみじみ実感しているところです。
PROFILE
滝川クリステルさん
1977年、フランス生まれ。青山学院大学文学部仏文学科卒。J-WAVE「SAÚDE! SAUDADE…」のパーソナリティーを務めるなど、メディアで幅広く活躍中。「一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル」を設立し、動物保護や生物多様性保全にも尽力。
『本当の赤ずきん──こどもは読んではいけません』
フィリップ・ジャルベール 著 滝川 クリステル 訳
光文社 1,980円(税込)
無邪気な赤ずきん、狡猾なオオカミ。滝川クリステルさん初の絵本翻訳が日常に潜む“危険”と“嘘”を浮かび上がらせる──
赤ずきんとオオカミ、それぞれの視点から同時並行で話が展開する新感覚絵本。「現代には狡猾で、大人でさえもなかなか気づけない闇があります。 毎日辛いニュースが流れる中、トラウマを抱かせず、シンプルに包み隠さず伝えるために、絵本は有効だと思います。 こどもたちは私たち大人が考える以上に、いろいろなことを知っています。大人が隠してばかりではだめ。 知らない人についていく危険、大人の甘い言葉を信じてしまう危険。 恐れず読み聞かせましょう、大事な宝物を守るために」(滝川クリステルさん)
取材・文/樋口可奈子 撮影/根本真裕美(光文社クリエイティブ) ヘア・メーク/野田智子 衣装協力/CELFORD