’90〜’00年代を席巻した“ギャルブーム”。そのギャル全盛時代を描く漫画「GALS!」の作者・藤井みほなさんが、『ギャルマインド』がママの心に刺さる理由をエールたっぷりに考察してくれました。
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ポジティブで、違いも受け入れる懐の深さ。
“いつも心にギャルを宿すこと”が
子育て期やこんな時代を、生き抜くカギ。
どうして子育て中の今、
あの頃の“ギャルマインド”が心に刺さるの⁇
かつての「GALS!」読者たちがまさにVERY世代となり育児に奮闘中の今、ファンレターで子育ての悩みをもらったり、「ママになって『GALS!』を改めて読み返したら元気が出た!」という嬉しい声をもらう機会が増えました。ここ数年、社会的にもギャルの存在、特にそのマインドに注目が集まっているのを感じますが、子育て中のママにもまた、ギャルマインドが刺さっているのかもしれませんね。長年、ギャルのキャラクターを描いてきた私が思うその特長は、「強さ」「優しさ」、そして「柔軟性」の3つ。「強さ」は、周囲の目を気にすることなく自分の好きを貫き、自分を幸せにできるブレない自分軸。「優しさ」は仲間思いで義理人情に厚く、家族や友だちを大切にする価値観。そして「柔軟性」は、どんな逆境にもめげず、「何とかなるっしょ!」「頑張ってる自分、超偉い!」と、何事もポジティブに転換できるしなやかな心の持ちようです。自分と違う相手を否定するのではなく、受け入れて楽しむという姿勢もまた、柔軟性や度量の深さ=優しさの表れだと思います。
見た目がギャルじゃなくたって、ギャルマインドを持つことはできる。ママだって、おじさんだって、心にギャルを宿すべき!って思います。お手紙をくれる子育て中のママには、夫に対して「何を言ってもわかってもらえない」と諦めて心を閉ざしてしまう人もまだまだ多い印象を受けます。でもこういうとき、ギャルならきっとコミュニケーションを諦めない。ギャルのメンタリティをよく表していると思う言葉の一つに、「うちら」という一人称があるのですが、まさに私/あなたと切り離すのでなく、大切な家族や仲間と本音でぶつかり、手を取り合って前に進んでいくチームと捉える概念が、子育てにおいてもすごく役に立つ気がするんです。子育ては思い通りにはいかないことだらけだし、今の時代はSNSでキラキラした他人と自分を比べて落ち込むことだって多いですよね。でもしんどいな〜と思ったら、ぜひ心に宿した寿蘭ちゃんのようなギャルを呼び起こして!と言いたい。「私、頑張ってる」「超イケてる!」って自分を沢山褒めて愛してあげてほしいです。ママが自分を大好きだったら、自分自身はもちろん、家族も幸せ。そもそも大変な時期っていつまでも続かないし、いつか振り返ったとき、大変だったけどキラキラしてたな〜と思える日が来るから。ママたち、今日もお疲れさま!大丈夫。超頑張ってるし、超偉い!最高だよ!って伝えたいですね。
「GALS!」作者
藤井みほなさん
少女漫画雑誌「りぼん」(集英社)で’99年より連載開始した「GALS!」は当時小中学生から絶大な人気を誇り、その後’20年に発売された続編も話題に。自身も子育て経験を持つママである。
『GALS!』©藤井みほな/集英社
「GALS!」1〜10巻(集英社刊)※デジタル版のみ
渋谷最強のカリスマギャル女子高生・寿蘭を中心に、ギャルの友情と恋愛を当時の社会問題を交えながら熱くコミカルに描いたストーリー。登場人物のファッションや、熱いギャルマインドに憧れる女子が続出し、当時の女子小中学生のバイブルに。〈GALS!!1〜5巻〉(集英社刊)寿蘭と仲間たちの高校卒業後を描いた続編。
取材・文/桃井真由 編集/引田沙羅
*VERY2025年4月号「あの頃のギャルマインドは永遠!」より。
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