いろんな働き方が許容される令和の時代。信念を持って社会の役に立つために、そしてやりたいことを叶えるために働く場所を移る女性たち。今回は、宇宙とドローン業界で女性活躍に貢献する株式会社Kanatta・井口恵さんの転職ストーリーを伺いました。
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独立も副業もアリな時代、
信念を持って働くってカッコイイ!
ママたちの転職履歴書
(株)Kanatta
井口恵さん(37歳)
大学在学中に公認会計士試験に合格。KPMGあずさ監査法人、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン・ジャパンを経て現職。「コスモ女子」の人工衛星打ち上げ成功でForbes JAPAN WOMEN AWARD受賞。
CHRONOLOGY
・22歳
公認会計士試験合格、監査法人へ入所
公認会計士として国内上場企業や外資系グローバル企業の監査業務を担当
・26歳
LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン・ジャパン(株)に入社
ファイナンスアナリストとして勤務。LVMH全体の財務戦略や経営企画に従事
・29歳
LVMHを退社、(株)Kanattaを創業
女性のドローンパイロットのコミュニティである「ドローンジョプラス」、4年後には宇宙業界で仕事をしたい女性のためのコミュニティ「コスモ女子」を発足
・35歳
パートナーと事実婚へ
米国大使館主催のプログラムでアメリカ・シカゴでの女性起業家向け研修に参加した帰国後に妊娠し、パートナーとの話し合いの結果、事実婚を選択
・36歳
長女出産
・37歳
Forbes JAPAN WOMEN AWARDを受賞
コスモ女子が人工衛星の打ち上げに成功


シカゴでの女性起業家向けの研修や、会計士の同期、人工衛星打ち上げの様子など。「娘は36歳で出産。超近距離別居の事実婚で、助け合って子育てしています」
・ライフステージごとに付き合う人を意識的に変えた
・小さいときから最先端に触れる。それが子どもたちのキャリア選択を広げてくれるはず
・事実婚を選んだのは苗字を変えたくなかったから
女性活躍の場所は、自分で作り出す!
公認会計士になったのは、男女対等に働き、いずれ独立できるキャリアを築きたかったから。でも、監査法人入社初日から終電、2年目からは朝帰りという日々が続き、やりがいはあれど一生は続けられないな、と。実際、女性の管理職はほぼいませんでした。その後、定時上がりできる職場に転職するも、今度は逆に物足りなく。どんな会社でも、女性が上を目指すには見えないハードルがあると感じ、だったら起業して自分がトップに立とうと思ったんです。そして、どうせなら社会課題を解決し、これから成長する産業で女性が活躍できる道を切り開きたかった。ちょうどその頃、ドローン産業が海外で成長しているのを目の当たりにし、絶対日本でも伸びる!と確信。「ドローンジョプラス」というコミュニティを作り、女性パイロットの育成に着手。また、宇宙好きの友人と盛り上がったのをきっかけに「コスモ女子」を立ち上げ、人工衛星の打ち上げを目指すことに。
どちらも手探りでしたが、とにかく多様な考え方を学ぶために、たくさんの「経営者」の方にお会いしました。今は女性たちの宇宙業界への就職支援なども行っています。専門家をお呼びしての勉強会やミーティングを、コロナをきっかけにリモートに転じたことも、結果的に女性たちの働きやすさにつながったのではと思います。振り返ると、身近な友人がやりたいなら一緒にやってみようとか、目の前の人がより良いステージに行けるよう役に立ちたいというのが原動力。娘が生まれた今、今度は教育から変えていきたい。子ども向けにドローンの体験会や宇宙の実験教室を開いて、彼らのキャリア選択の幅を広げる手伝いができたらと思っています。
撮影/曽根将樹〈PEACE MONKEY〉 ヘア・メイク/Hitomi〈Chrysanthemum〉 取材・文/有馬美穂 編集/太田彩子
*VERY2025年2月号「ママたちの転職履歴書」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。