企画の発端は、「最近、胸を張って『夫が好き』と言えないんです」というひとりの読者の声。そこでVERYのインスタでアンケートを実施したところ、一日で330件もの回答が。今回ほんの一部ですが掲載。いっぽうで夫側の意見も知りたいと杉浦太陽さんに、また産婦人科医の宋美玄先生に医学的な観点からのご意見もうかがいました。
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産前はあんなに仲良しだったのに
「『夫が好き』って胸を張れない」、
読者の叫び
好きだと言えますが、イライラをぶつけすぎて以前ほど夫から好かれてないなと感じます。正直2人目に向けて関係を戻したいし、イライラしない方法を知りたいし、可愛くなりたい!(A.Fさん/子ども0歳8カ月)
日中ほとんど話せないので、夜だけでも一緒の部屋で寝て夫婦時間でもと思いつつ、いざ寝るとなると子どもと寝たほうが幸せと思ってしまう。嫌です。好きになりたい。こんなモヤモヤした気持ち嫌です。(M.Yさん/子ども4歳、2歳)
パートナーのことはずっと好きでいたいと思う気持ちがあり、好きではないという思いが辛く、離婚を考え、旦那にも正直に伝えたところ、自分のせいだから、また好きになってもらえるように頑張るから、もう少しチャンスが欲しいと言われ、今は様子をみているところです。(T.Sさん/子ども5歳、2歳)
夫が大好きで結婚したし、子どもが産まれたことも幸せ。でも…。以前の私に戻れたらと日々思います。何より夫が私に優しいので、私が悪いのかと罪悪感でいっぱいです。(A.Kさん44歳/子ども5歳)
本当は好きだと思いたいし、表現もしたい。何故なら、それが理想の夫婦像だからなのと、そっちのほうがポジティブでいられるから。でも現実は朝のおはようさえ言いたくない。(K.Kさん/子ども5歳、2歳)
家事育児の押し付けに加え、平日働いている私に土日に義理実家に行くことも求められ辛い。土日は平日のご飯ストック作ったりゆっくりしたいのに。あと、私は産休育休とってキャリア中断したのに、夫は何もしてない。私がキャリアを積みたくても過去の遅れを取り戻したいのに夫のサポートは特になし。自分だけマイペース。好きじゃない感情は変えられない。誰にも迷惑かけてないし、良いと思う。(K.Sさん/子ども8歳、5歳)
家族になり親として気持ちが変化していくのは仕方がないと思うが、女性としてスキンシップを求められると辛い。もう私は家族としての感覚しかないのでそのような欲がわかないので。(A.Mさん/子ども8歳、4歳)
息子の夜泣き量に比例して、夫の嫌なところが目に付くようになる。子どもが生まれても飲み会は多く自由に暮らしている夫に子どものことを言われると、何もやってないのに言わないで、という気持ちになる。インスタなどでは「協力的な夫像」が目立つため勝手に期待している自分がおり、不満に感じる。もとに戻りたいが、夫にあまり触れなくなってきており、戻り方がわからなくなっている。(Y.Tさん/子ども0歳)
杉浦太陽さんに夫側の意見を聞きました
「好き」の気持ちってよみがえりますか?
「昔みたいに仲良くしたい」。
勇気を出して自分から言いました
一人目の出産後すぐの時期は僕も独身のノリが消えておらず、友人を自宅に呼んで飲み会をしていたことも。今思えば当然ですが当時は喧嘩が絶えませんでした。ある日、妻の仕事復帰の練習も兼ねて、僕が休みの日に1日家事・育児をしたのですがワンオペで子どもを見るのが想像以上にしんどくて。「これは大変だ」と妻の負担が減るよう家庭環境の改善を決意。妻の実家近くに引っ越しをし、仕事以外の時間をすべて家庭に費やすようにシフトしました。僕にとって一番ストレスを感じるのは妻がイライラしていることなので、妻の話にもっと耳を傾け、頼まれたことは3秒以内に動いたりと“妻ファースト”を徹底。とにかく「早く帰ってきてほしい!」と必要とされる存在でいたかった。
それでも夫婦の溝をもっとも感じていた結婚3年目のころ、サプライズで旅行へ。その旅行がきっかけでぐっと距離が縮まりました。あとは、「昔みたいに仲良くしたい、スキンシップもしたい。どう思ってる?」と勇気を出して言いました。今は育児家事で精いっぱいだし急に言われても…と、はじめは妻も及び腰でしたが、そのひと言も大きな要因だったと思います。結局2人でいても、話の内容は子どものこと。それでも独身時代の懐かしい気持ちを思い出せるから、2人だけの時間は絶対に必要です。以前妻に「一緒にいてときめきはないけれど、一番素を見せられる人」と言われて嬉しかったことがあります。夫側の僕も昔の恋愛感情とは違い、今は「妻の存在自体が好き」。家事育児がひと息ついたとき、お互いに「…好き?」と冗談ぽく確認し合うんです。その好き、はきっと昔の恋愛感情とは違って、頼りにしてるとか色々な感情が入っているんですが。ありきたりですが、小さなことでもやっぱり素直に言葉にして伝えることが大事だと思います。
タレント、4児のパパ 杉浦太陽さん
俳優・タレント。2007年に元『モーニング娘。』の辻希美さんと結婚し、現在は1女3男の父。家族との日々を自然体で綴るYouTube チャンネルが大人気。
産婦人科医の宋美玄先生に聞きました
この現象、ホルモンバランスのせいですか?
残念ながらホルモンは関係なし。
VERY読者は我慢しすぎ、自己完結はやめましょう
妊娠中は通常の200倍もの女性ホルモンが出ていますが、出産後はほぼ0になります。女性ホルモンが減少することで感度も下がるし、そんなときに夫が夜の生活を求めてくるのだとしたら、ちょっと待ってと言いたい。産後の妻のつらさを夫も認識してほしいですね。産後にママの性欲が低下するのは必然的な現象ですが、いっぽうで“好き”と言う愛情面の気持ちは、実はホルモンバランスとは全く関係がなく別物です。これは産婦人科医というより個人的な意見ですが、患者さんたちの話をうかがっていても、どれだけ夫が当事者意識を持って育児に参加するか、産後の体を労ってくれるかが鍵なのでは。
夫も育児・家事に参加しないと令和の時代は厳しいですよね。この数十年で社会のあるべき夫婦像はガラッと変わりました。いくら収入があっても、事情がある場合は別として、子どものことを全て妻に任せている夫との間は、溝が生まれてしまうこともあるのではないでしょうか。VERY読者のみなさんは、もう十分に頑張っています。自分のメンタルは自分でケアして夫や家族の前ではニコニコしていよう、なんて無理が過ぎます。夫がもう大好きではないという罪悪感で、自分が変わろうとしすぎなくても大丈夫。産前のように夫が好きではないという状態は、もはや“普通”であるとも言えます。より仲睦まじい将来を目指すのであれば、自己完結せずに納得がいくまで夫婦で話し合ってください。
産婦人科医、性科学者 宋美玄さん
産婦人科医、医学博士。丸の内の森レディースクリニック院長。セックスや性教育に関する著書も多数。プライベートでは12歳の娘と 8歳の息子のママ。
取材・文/川原江里菜 編集/中台麻理恵
*VERY2024年12月号「なぜだろう?「夫が好き」って胸を張れない」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。