プロゴルファーで現在は芸能活動や講演など幅広い分野で活躍する東尾理子さんも、30代での第一子の出産後は自分の時間がないことに悩んだといいます。3人のお子さんの子育てや結婚についてお話をしていただくなかで、なんと夫の石田純一さんも飛び入り参加。結婚15年目のお二人に「結局、結婚って何でしょうか?」と突撃インタビューしました!
こちらの記事も読まれています
30代は結婚、不妊治療、育児の激動期でした
──VERY読者の多くは30代前後、その当時の理子さんはどんなふうに過ごしていましたか?
大学への留学とゴルフのツアー生活で10年ほどアメリカで暮らした後帰国し、34歳のときに今の夫と結婚。2年くらい不妊治療をして子供を授かったので、ちょうど母親としての第一歩を踏み出したころでした。今では育児中心の生活に慣れっこでそのなかで楽しみが見いだせるようになってしまいましたが、はじめての出産の直後は「なんで私だけ自分の時間がなくなっちゃうんだろう」と感じることも多かったです。30代は自分一人の生活から、結婚を経て子育て中心にシフトした時期と言えます。
子育ては大変だったけれど、やっぱり子どもってかわいくて、もう一人欲しいという気持ちが強くなってその後2人目、3人目を産みました。私は一人っ子なのですが、家の中に3人いるとそれはもう騒がしくて(笑)。結婚後の生活がこれほど賑やかになるとはさすがに想像していませんでした。
30代で不妊治療を経験。妊娠、性についてのイベントなど啓発活動にも力を入れています
──とくに乳幼児の育児中は毎日の生活に精一杯で、自分の時間のなさや余裕のなさに悩んでいる人も少なくないと思います。
今思えば「この時にこうしておけばよかった」と考えることや後悔は私にもたくさんありますが、結局その時々の自分が一番だと思って進んだ道だと思うので、その時々の選択には自信を持ってほしいです。たとえ失敗や試行錯誤を繰り返していたとしても、昔の自分を肯定できるといいなと思っています。
同じ空間に家族がいるだけで安心できる
──2009年に石田純一さんと結婚した際は、大きな話題になりました。時は流れ、今年で結婚15年目! 理子さんにとって「結婚」とはどんなものでしょうか?
改めて考えるとなんだろう。私にとっての結婚って……。今ちょうど隣に夫がいますので、聞いてみましょうか?
──VERY読者のなかには「結婚生活に悩みがある」「育児を経て、新婚当初のようなラブラブ夫婦ではなくなってしまった」という人も多いんです。石田さんはそんな相談を受けたらどう受け止められますか?
石田 結婚……なんだろうね。突然聞かれてもスッとは出てこないけれど。恋愛はやっぱり、夢であり幻想で楽園だと思うんです。自分たちなりの経験で言うと。
理子 自分たちって(笑)。私も勝手に一緒にされているけれど自分なりの考えでしょ?
石田 でも、出会ったばかりのころは新鮮で、二人の関係に「楽園」としての楽しさはあったでしょ?
理子 そりゃあ、まあ、そのころはね(笑)。
夫婦で生前葬イベントに参加。石田さんの「遺影」を前に
石田 結婚生活に抱く夢って結局、現実の暮らしそのものではなくて単なる憧れや幻想であることが多いと思うんです。その上で僕にとって結婚生活は孤独を感じる暇もないほどにぎやかなもの。結婚して家族と一緒にいても孤独を感じる人もいるかもしれないけれど、僕はやはり一人でいるときに「寂しいな」と感じることが多いです。同じ空間に妻や子どもたちなど家族が一緒にいるだけでどんなに騒がしくてもホッとします。今は息子が野球をやっている姿を見ているだけでも楽しいんです。
息子の理汰郎くんが所属する野球チームが全国大会で入賞! 家族で応援しました
石田 「結婚とは何か」という質問ですが、結婚とはこういうものだという用意された答えはないと思っていて。釣りが好きな人は、「魚が欲しいなら魚屋で買ったほうが早いじゃないか」と言われてもピンとこなくて、釣りがしたいからするんですよね。答えや正解を求めて結婚するのではなくて、自分なりに何を取りに行くか。それをわかりやすい言葉で幸せ、連帯、絆、という人もいるでしょう。うちの場合、絆というよりは馬の手綱みたいなものかもしれないですが (笑)。
理子 どっちにしてもその綱は相当長いよね(笑)。絆でも手綱でも、どっちでもいいけれど、びよーんとゴム状によく伸びる綱が夫についているイメージが私の結婚生活に近いかも。
娘の七五三には家族が集合。東尾パパもうれしそうです
「結婚の価値」は自分たちで発見するもの
理子 ところで大丈夫ですか? 結婚について聞く相手がこの人って。そもそも前提が間違っているかもしれませんからね。「がまんのなかに」なんて言いつつ、結婚生活でこの人ががまんしているところはほとんど見たことがないような気がするけれど(笑)。
石田 結婚したその先に何か理想的なものが待ち受けているというのは、夢や幻想でしかないというのが、僕の実感です。結婚ってどういうものか、誰もが納得する答えがあらかじめ用意されているのではなくて、結局は結婚の価値や理由を自分たちで作っていくもの、探しにいくものだと思うしかないんじゃないかな。僕自身は何度か結婚を経験しました。自分勝手な言い分かもしれないけれど、何にもとらわれず、完全に自分の人生を自由にできる状態なら幸福かというとそうでもなく、かえって生活に味気がない気がする。他人同士が一緒になる結婚生活には制約も多くあるけれど「制限された自由」であるからこそそこに幸せや価値を見出せるという考え方もあると思っています。
PROFILE
東尾理子(ひがしお・りこ)さん
1975年生まれ。福岡県出身。元プロ野球選手の東尾修氏の長女。8歳からゴルフを始め、99年にプロテストに合格、プロゴルファーとなる。2009年に俳優・石田純一氏と結婚。現在三児の母。試合の解説やテレビ番組出演など、多方面で活躍中。
石田純一(いしだ・じゅんいち)さん
1954年生まれ。東京都出身。1979年、ドラマ『あめりか物語』でデビュー。1980年代から90年代にかけてドラマ『抱きしめたい! 』や『君の瞳に恋してる! 』など数多くの話題作に出演し、トレンディ俳優として一世を風靡する。以後、バラエティ、映画、舞台、ニュースキャスターなど幅広い分野で活躍。趣味はゴルフ。特技は英会話。
構成・文/樋口可奈子