2023.08.31

俳優・小野ゆり子さん「家族全員が無理しないゆるやかな時間軸で暮らしたい」

母になり生活リズムや優先順位が変わっても、変わらず大切にしている好きなことについて伺うインタビュー連載「オトナになっても好きなこと」。ビールを飲みながら料理する時間を楽しみに仕事も子育ても頑張れると話してくれた、俳優の小野ゆり子さん。ウェブでは、ご夫婦のお話や好きな料理について伺います。

“○○の時間”は、毎日ちょっとずつ違ってもいい

——お子さんが1歳を迎える前にお芝居に復帰されましたが、仕事と育児の両立は大変ではなかったですか？
私自身は特別大変とは思わなかったのですが……夫や親、仕事関係の方々、保育園、友人たち、そしてシッターさん……などなど周りのみんなの協力があったので、リスタートできたと思っています。それがなければ、“大変”の前にそもそも仕事復帰はできなかったです。

——気持ち的な部分では、子育てと仕事の両方があって良かったとおっしゃっていましたね。
はい！物理的に手が回らなかったり、気持ちが追いつかなかったり、どうにもならないことはありますが、二つあることで潔く諦められるようになりました。つい考えすぎてしまう性格なので、気持ちが分散されたことで楽になって。料理も一品を時間かけて手間暇かけて頑張って作るよりも、二品同時にパパッと作った方が意外とうまくいくことってありませんか？　私の中ではそれと似ていて、過保護に一生懸命手をかけすぎるよりも、大体の方がうまくいくのかもしれないなって思っています。

——休日の過ごし方や毎日のルーティンなど、ご家族で決めていることはありますか？
ルール……我が家はルールがまったくないかも！(笑) でも家族みんなが休みの日には、3人で遊んで3人でご飯を食べるのが日常です。どこかへ行こう、一緒に過ごそう、くらいのゆるい気持ちで。毎日のルーティンも、きっちりとした時間はあえて決めていません。夜6、7時くらいから夕飯を食べ始めて、ゆっくり1時間ほど家族で食卓を囲み、お風呂に入って大体9時くらいには「寝るよー！絵本どれにするー？」と、ベッドに入る。時間の逆算をし始めると自分の首を絞めかねないと気づいてからは、毎日ちょっとずつ違ってもいいから、家族全員が無理していない緩やかな時間で過ごしたいなと思っているんです。

——旦那さんと二人で過ごす時間はありますか？
すごく話をする夫婦だと思います。子どものことや他愛もないことで一番にLINEをするし、仕事で悩んだときに相談するのも夫ですね。晩酌しながらや朝起きてから話すことが多いです。子どもが寝たあとにゆっくり話せたらいいんですけど、最近は私が一緒に寝落ちしてしまって。観たいドラマもたくさんあるのに……！その分、朝早起きをして観るのですが。

——朝に！それはお勉強も兼ねて？
勉強もあるけれど、ただただドラマを観るのが好きなんです。海外ドラマも好きですが、日本のドラマが昔から大好き。ハマっているドラマがある時は朝5時に起きて、家族が起きてくるまでの時間に録画した作品や配信をひたすら観ています(笑)。最近の作品では『ブラッシュアップライフ』が素晴らしかったです。続きが観たい作品があれば、暑くても寒くてもベッドから起き上がれますね。

料理はここまでシンプルでいいのだと救われた気分

——料理好きな小野さん。正直サボりたいなあと思う日はありますか？
もちろん、あります。お惣菜にも頼りますし、子どもと二人の日はパパッとパスタだけで済ませてしまう日も。でも、昔から手を抜くのが苦手な私に、夫が「今日は外食にする？」と言ってくれることもあるのですが、「うーん、作ろうかな」と思ってしまうくらいには料理なら頑張れちゃいますね。お供のビールもありますし。洗濯物なら、“今日はいいや、明日にしよう”って見なかったことにできるのですが(笑)。でももちろん「外食したーい！」と即答する日も沢山あります！

——献立を考えるのが苦手というママたちの声をよく聞くのですが、小野さんはどうやって献立を決めていますか？
高山なおみさんや飯島奈美さんの料理が好きで、よく参考にしています。そこから野菜を足してみようかな、お肉を変えてみようかなと自分なりにアレンジしてみたり。高山さんの「れんこんのじりじり焼き」には驚きました。れんこんをじりじりするとこんなに美味しいの⁉って。以来、ブロッコリーやいんげんなど、季節の野菜をじりじり焼いて、塩、こしょう、醤油で味つけするだけのシンプルな料理をよく作ります。心の満足度が高いし、家族にも好評です。

——キッチンにはお気に入りのカウンターチェアを置いているそうですね。小野さんにとってキッチンはどんな場所ですか？
ノックなしに入ってきてOKな自分の部屋、ですね。部員一人の部室みたいな感覚もあります。読みかけの本やペンも置いてあるし、子どもの連絡帳を見るのも、メールの返信も、台本を読むのも大体キッチン。家の中で一番好きな場所です。

——お気に入りのキッチングッズを教えてください。
飯島奈美さん×ほぼ日のエコバッグです。大容量で、いろんなサイズのポケットがついているのが最高。子どもを乗せて自転車に乗っているときに、「今買った飴ちょうだい！」と急に言われることがあるのですが、バッグの奥底に飴が転がってしまって“どこいった⁉”と焦ることがない。小さなストレスがなくなるモノ選びで、毎日がご機嫌に過ごせる気がするんです。