青山祐子ブログ「終戦から75年、子供達と考える夏。」
私は広島で生まれ、戦争、特に原爆の悲惨さを身近に感じて育ちました。
故郷は厳島神社で有名な日本三景、宮島の向かい、のどかな田舎町です。
爆心地から20キロ以上離れた私の小学校にも、原爆で負傷したたくさんの人が歩いて逃がれてきて、亡くなったそうです。
原爆で真っ黒に焦げた人、全身ただれて倒れている人、焼け野原となった街の写真が学校に並べられ、その残酷な姿が、幼ない私の心に深く刻まれました。
原爆が落とされた8月6日は、毎年犠牲者を追悼し、被爆して後遺症と闘い続けている先生から平和の尊さを学びました。
先日NHKで、原爆投下は「許されない」と答えたアメリカ人は41.6%で、「必要な判断だった」と答えた31.3%を上回り、
この10年ほどで若い世代を中心に、原爆投下は許されない、原爆についてもっと知りたいと考えるアメリカ人が増えてきていると伝えました。
原爆が必要だったと考える人が依然として多いことは残念ですが、
他の解決策を探すべきだったと考える若い世代が増えていることに希望を感じます。
アメリカ系のインターナショナルスクールに通う私の子供たちは、学校ではまだ戦争について習っていません。
でも、家ではたびたび「火垂るの墓」など戦争時代を描いた絵本を読み聞かせています。
8歳の長男がどんな戦争だったの?どうして戦争したの?と聞くので、本やインタネットで一緒に調べました。欧米系のドキュメンタリーでは第二次世界大戦はヨーロッパを舞台にした戦いに焦点が当てられ、太平洋戦争、日本のことはあまり出てきません。多くの犠牲者を出しながら戦った日本の戦争は、何だったのかと虚しささえ感じます。
外国では終戦記念日が違うように、歴史の伝え方、考え方も違うのです。
英語の戦争の本は息子が選び、自分で読んでいます。
「子供が殴られたとき、私は殴り返せと子供に教えている。なぜなら、やり返さないと弱いと見られ、いじめられるから。先生はどうすべきだと考えますか?」と子供の学校カウンセラー主催の勉強会で、6歳の男の子の父親が質問しました。
私は、暴力は暴力を生むから、殴られても我慢しなさいと子供に言い続けてきましたので、正直この考え方に驚きました。
確かに、弱いと思われたら、さらに攻撃されるかもしれません。
やられたらやりかえす。倍返し!?
「男はいつも誰かと競争、戦っている面がある。自分から喧嘩は売るな、売られた喧嘩は勝て!」と、アメリカ育ちの夫は言います。
香港では、子供同士の遊びで揉めると、親が物凄い剣幕で文句を言ってくることがあります。
「子供の前で怒鳴らないで」と言ったもんなら、火に油。子供のためにも負けるわけにはいきませんが、あまりに理不尽で相手にしたくなくなります。
世界各国から様々な人種、違う価値観、考え方の人が集まっている環境にいると、日本の常識、価値観が通用しないことがよくあります。
ちなみに、先ほどのカウンセラーの返答は、
「暴力を勧めることはできない。が、正当防衛で仕方ないことも」というような答えでした。
あの原爆も仕方がなかったのか?
戦争を避ける方法はなかったのか。
過去は変えられなくても、
過去の過ちから学んで未来を変えることはできるはずです。
あの悲惨な戦争を二度と繰り返さないために。
子供達と考える夏を毎年続けたいと思っています。