愛情いっぱいの泣き笑い子育てエピソードに、共感したり、思わず涙してしまう、などファンの多い辻元舞ちゃんのブログがVERY誌面に登場。もちろん、イラストも舞ちゃんの描き下ろしです。
※本記事は過去掲載記事を元に再編成したものです。掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合がございます
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辻元舞の
「自分ファースト」でいこう!
VOL.25
❝タイのホテルのエレベーターで❞
先日、家族でタイに行ってきました。何年かぶりの海外なので、何を持っていけばいいんだっけ……防犯もしっかりしなきゃ!と、考えられる対策はかなり万全にして行きました。おかげで大きなトラブルもなく最終日を迎えたのですが、宿泊していたホテルのエレベーターで乗り合わせた男性から思いもよらぬことをされ動揺しました。その心構えはしていなかった……!と思った出来事。
出かけようと家族でエレベーターに乗っていたら、違う階で一人の男性が乗ってきて、私たち一人一人にニコニコ目を合わせてくれるので、フレンドリーな人だな……と思いながらこちらも会釈をしたりしていました。するとその男性は突然長男の目の前にかがみ、顔を近づけて両目尻を引っ張るジェスチャーをしたのです。何も分からずポカンとしている長男に、一度だけではなく何度も何度もするのです。
私はそれがアジア人差別に使われるジェスチャーだと知っていたので、自分の表情がミシミシと引きつっていくのを感じながら、え、いきなり? それも子供に向かって? なんで笑ってるの?と疑問だらけで、「それは差別になりますよ」と注意したいけど、そもそも英語で差別ってなんて言うんだっけ。それにもしこの密室で何かあったら……と怖い気持ちもあり、ただただ動揺していました。初めて出会った人に突然存在そのものを否定されているような不愉快な気持ちでモヤモヤしていると、夫が突然「Thank you! ははは!」と笑い飛ばしたのです。
私がギョッとしていると、「Are you Chinese?」と聞かれ「I am Japanese!」なんて言い合って笑ってる。なんなんだこの空間は。と思っていると、エレベーターが一階に到着し、男性は手を振りながら笑顔で去って行きました。夫なりの差別を笑い飛ばすやり方なのか?と思い聞いてみると、「え? 子供をあやしてくれる陽気な人なのかと思ってた!」とジェスチャーの意味を知らなかったそうで。相手の男性は終始ニコニコしていたし、夫が言った通り本人も子供と戯れ合うつもりだったんだと思います。差別をしている自覚はなく、なんの悪気もなく、むしろ親交を深めようとしているような気もしました。だからこそ「それは差別表現です」「不快な気持ちになりますよ」と言えていたら……!と自分自身にもモヤモヤが残りました。
日本を出れば自分も外国人、差別の対象になるんだな、と改めて感じた出来事でした。海外旅行では持ち物や防犯の対策ももちろん大切ですが、そのような時にどう対応するか、どのように伝えるかもきちんと考えておきたいなと思いました。
今月の
舞・フェイバリット・タイム
普段から家族ぐるみで仲良くしている友人夫妻と、私と夫の4人でディナーに行きました。いつもは子供たちも一緒なので大人だけで行くのは初めて。ゆっくり料理を味わいながら、たわいもない話をして……子供たちは大丈夫かなって10分に一回は誰かしらが言っていたけど(笑)。幸せな夜でした。
【PROFILE】
つじもと まい
1987年生まれ、モデル、タレント。
モデルとして活躍するとともに、バラエティ番組にも出演するなど幅広く活躍。特技は水彩画・イラスト・ダンスと、多彩な魅力を放つ。プライベートでは3児の母としての一面も持ち、ライフスタイルが垣間見えるYouTubeも注目されている。
文・イラスト/辻元 舞 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2023年5月号「辻元 舞の「自分ファースト」でいこう!」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。