愛情いっぱいの泣き笑い子育てエピソードに、共感したり、思わず涙してしまう、などファンの多い辻元舞ちゃんのブログがVERY誌面に登場。もちろん、イラストも舞ちゃんの描き下ろしです。

※本記事は過去掲載記事を元に再編成したものです。掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合がございます。

辻元舞の
「自分ファースト」でいこう！

　 VOL.24　

❝僕の普通は僕が決める！❞

長男が3歳の頃、大好きな先生がいました。長男の3歳と言えば、それはもう壮絶なイヤイヤ期真っ只中だったのですが、そんな長男を理解してくれ支えてくれ、お互いを〝相棒〟と呼び合うほど仲の良かった先生でした。その先生がいてくれたおかげで、登園だけは機嫌よく毎日楽しそうに行ってくれたのを思い出します。その先生が辞めて海外に行ってしまってから4年が経ち、つい先日連絡が来て日本にいるからランチでもしようということになりました。

4年ぶりに大好きな先生に会える！と長男も私たちも楽しみにしていたのですが、当日もう出発しなきゃという時間に服装のことで夫と長男が一悶着。長男はどうしてもサッカーのユニフォームを着て行きたい！とのことで、自分で着替えてスネ当てまで装着してる。もちろん靴はサッカーシューズ（笑）。夫はちゃんとした服を着てほしいようで、なんとか着替えてくれないかと説得していました。そんなかしこまったお店に行くわけでもないんだし、別にサッカーの服でもいいんじゃない？と思いながら私は聞いていたのですが、夫が「変じゃない？　普通はそんなの着て行かないよ」と言ったことに対し、長男が「なんでパパが僕の普通を決めるの！」と一言。それを聞いて夫もハッとしたようで、長男は無事（？）ユニフォームを着て行くことになりました。

先生にキラキラした目でサッカーの話をしているのを見て、長男はサッカーをしている自分が一番かっこよくて、それを久しぶりに会う先生に見てほしかったんだなぁと思いました。ランチは楽しく終わり、別れ際に先生が「身長も伸びて見た目は大きく変わったけど、何も変わっていなくて良かった。彼はいつもどんな時も自分を信じ、挑戦を恐れない！」と言ってくれました。その言葉で思い出しましたが、4年前にその先生が日本を離れる際にくれた手紙に「彼は大胆不敵で好奇心に溢れている。そのような男の子を育てるのは時に大変だと思うが、彼があなたたちのような両親に恵まれて幸せに過ごしていることが嬉しい」と書いてあり、涙しながら何度も読み返し、今でも大切に保管していたのでした。あのイヤイヤ期にこの先生と過ごせたことは長男にとって本当に幸運なことだったなと思います。

長男の一言と久しぶりに会った先生の言葉に改めて気付かされました。親の当たり前は子供にとっては当たり前ではなくて。子供のために……とついつい言いたくなりますが、その当たり前に当てはめて安心したいのは我々大人の方で。なんでも好き勝手にさせるわけではなく、過干渉になりすぎて可能性や個性を奪うのでもなく、心配も関心もきちんと寄せながら……。もちろんそうできない日もあるし反省の繰り返しですが、これからも大いに悩みながら子供たちと接しようと思ったのでした。

次に会う時は一緒にサッカーをする約束をして別れました。その日まで、長男の良い部分はそのままで……大きく成長した私たちで会えますように！

文・イラスト／辻元 舞　編集／フォレスト・ガンプJr.
＊VERY2023年4月号「辻元 舞の「自分ファースト」でいこう！」より。
＊掲載中の情報は誌面掲載時のものです。