──「子どもが野菜が苦手」「なかなか食べてくれない」……ママたちからよく聞くのはそんな悩み。新刊『エプロン手帖』を出版した料理愛好家・平野レミさんに子どもが思わず食べてしまうおすすめ野菜レシピや人生でいちばんおいしかったという食事をお聞きしました。
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「これ、本当にピーマン⁉」とびっくりされたレシピ
──子育て中の人におすすめレシピはありますか?
ピーマンって嫌がる子が多いじゃない。でも、ピーマンを熱湯に通すと青くささが簡単に取れちゃうの。テレビ番組で「子どもが喜んで食べる野菜料理を作ってください」と言われたとき、作ったのが「ピーマンのポタージュ」(レシピは下記参照)。ピーマンをせん切りにして、たっぷりの熱湯に通したら、ミキサーにかけるだけ。このときご飯も一緒に入れてとろみをつけるのがポイントね。お好みで生クリームを加えて出来上がり。これを番組に出てくれた小学生に出したら、「おいしい!」っていっぱい食べちゃった。「ピーマンよ」って言ったら驚いていたわね。最後のご褒美で出したシャーベットもにんじん入りなんてわからなくて「えーっ!」って。ピーマンはふりかけにするのもおすすめ。ポタージュと同じく、せん切りにしたピーマンを熱湯に通して青くささを取り、みじん切りにしたら、同量のじゃこと一緒に油で炒めるの。醬油、オイスターソースで味つけして、白ごまを散らします。お母さんたちにもぜひ試してほしいわね。
人生でいちばんおいしかった料理
──新刊エッセイ『エプロン手帖』にはおいしそうなレシピが満載です。
人生の中で「いちばんおいしかった!」のは、エッセイの中にも書いたけれどおにぎりなの。出産した直後に産院で出された梅おにぎりね。子どもを産んだ後の解放感と充実感、大仕事をやりとげた達成感、幸福感なんかも全部詰まっているようなあのおにぎりが何よりいちばんおいしかったなあ。今回の本のレシピでは、「しじみの冬眠」もおすすめ。台湾に行ったときに、しじみを紹興酒と醤油に漬けたものが出てきたの。しじみのエキスが出てすごくおいしかったのだけれど作り方がわからなかったのよね。どうやって作るんだろうと自分で試行錯誤して作ったレシピを本の中でも紹介しました。冷凍庫に入れたしじみを常温に戻して、冬眠から覚めたみたいにふわっとしじみが口を開けたところでお醤油とお酒をかけるのがポイントです。このしじみ、切ったアボカドと一緒に食べるととってもおいしいからぜひぜひやってみてね。
──新刊の『エプロン手帖』は、料理もスタイリングも撮影もレミさんが全部こなしたというエッセイ&レシピ満載の本です。
そうそう。全部私が自宅でやったの。食器も私が焼いたものや、夫の和田(誠)さんが絵付けをしたものなどうちにあるものばかり。テーブルクロス代わりに私のブラウスを使ったり、和田さんの描いたポスターを敷いたものも。和田さんにもいっぱい手伝ってもらって一緒に作った本なの。今回描きおろしも加えて、装いも新たに復刊することになったのだけれど、手前味噌ながらいい本だなあと思っていたから、今またこうやって出すことができてとてもうれしいです。
平野レミさんおすすめレシピ
(『エプロン手帖』より)
ピーマンのポタージュ
[材料]ピーマン4個 鶏ガラスープ2カップ 白ワイン大さじ2 ご飯大さじ4(とろみ用)
塩、胡椒、クルトン各適量 生クリーム少々
① ピーマンを半分に切って種を取り、せん切りにする。たっぷりの熱湯でゆでて、水気をきる。
② ゆでたピーマンと鶏ガラスープ、白ワイン、ご飯をミキサーにかけ、塩、胡椒で味つけし、器に注いでクルトンを浮かす。お好みで生クリームを入れる。
にんじんシャーベット
[材料]にんじん3本 レモン汁、はちみつ各大さじ2 砂糖、白ワイン各大さじ1 ミントの葉少々
① にんじんをジューサーにかける(1カップのジュースになるのが適量)。レモン汁、はちみつ、砂糖、白ワインを加えて冷凍庫に入れる。
②たまにかき混ぜて空気を入れる。数時間でシャーベットになる。
③器に盛り、ミントの葉を添える。
※編集部注・2品とも材料にワインを使用します。お子さんと召し上がる際はご注意ください。必ず加熱しアルコール分を飛ばしてください。
平野レミ(ひらの・れみ)
料理愛好家、シャンソン歌手。主婦として料理を作り続けた経験を生かし、NHK「平野レミの早わざレシピ」などテレビ、雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信。著書に『家族の味』『おいしい子育て』(以上、ポプラ社)、『平野レミのオールスターレシピ』(主婦の友社)など多数。Twitter(@Remi_Hirano)でも活躍中。
『エプロン手帖』
(著/平野 レミ、絵/和田 誠 絵/舟橋 全二)1,650円 ポプラ社
子ども時代の味覚の記憶から、両親や夫・和田誠さんとの料理にまつわるおいしい思い出まで。食材への敬意あふれるエッセイ集。
撮影/古本麻由未 取材・文/髙田翔子