──3月25日・26日夜9時からテレビ朝日系にて放送のスペシャルドラマ『キッチン革命』の第二夜で、日本で女性初の一級建築士となり時代を切り開く主人公を演じた伊藤沙莉さん。子役時代から活躍し、来年には朝ドラ主演予定。その演技力やチャーミングな表情に注目が集まる伊藤さんは「自信がないからこそここまでやってこれた」と言います。
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「自信」なんて、もっている人のほうが少ないはず
──ドラマの主人公浜崎マホは、日本の住宅をキッチンから変えたといわれる実在の人物がモデル。困難にもめげずに自分の道を進み、やがて人々の価値観をも変えていく女性です。いつも明るく前向きなイメージの伊藤さんにも重なる気がするのですが……。
私自身は、自分に自信がもてないこともありますが、はじめから自信をもっている人なんて実は少ないと思うんです。気持ちが後ろ向きなときは「誰も私のことなんて注目していない」と感じてしまうこともあります。でも、それは多くの人が他人のことを気にしているひまがないほど、自分の人生に真剣だからかもしれない。それなら周囲の目を気にせず、好きな芝居をとことん追求したほうがいいと考えるようになりました。あえて自分にダメ出しすることもありますが、私にとってはすごくポジティブなことなんです。うまくいかないとき、もう一人の自分にアドバイスをもらう感じです。頭の中にプチ一休さんがいるみたいなイメージで、とんちをきかせて、その手があったか! と思える方法を見つけたい。そうやって自分自身を納得させたり、活を入れたりしているんです。周囲の人の意見を柔軟に受け止めたりすることも意識しています。自信がないからこそ、ここまでやってこれたと思うし、もがきながらでも、新しいことに挑戦していきたいです。
「小さな一歩」を踏み出す勇気をもらいました
──今回のドラマの主人公から影響を受けたことはありますか?
今回、私が演じたマホの言葉がすごくいいんですよ。「前例がないなら、前例を作ればいい。一歩を踏み出せば道は作られる」……。多くの人が頭ではわかっていてもなかなかできないことです。私自身、さっきからエラそうに話していますが、実際はとても臆病です。マホのように自分ではじめの一歩を踏み出す勇気がなくて、ついつい「みんなが行くなら」と言ってしまいます。だからこそ、こうありたい、と強く思えるような言葉を胸の中に置いておきたいんです。いつかは「私は行くけれど、どうする?」と言えるような人になりたい。そう思うことが、自分の中での小さな一歩を踏み出すきっかけになるといいなと思っています。
伊藤沙莉(いとうさいり) 1994年5月4日生まれ、千葉県出身。A型。役への深い洞察力に裏打ちされた演技力は、シリアスなドラマからコメディにおいても評価され、ドラマ、映画、舞台にと活躍。主演を務める『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』が23年6月30日公開予定。
【食の革命】で日本を変えた女性たちの人生を描く2夜連続スペシャルドラマ『キッチン革命』(テレビ朝日系・2023年3月25日、26日21時~放送)では、第2夜の主役を務める。
撮影/秋山博紀 取材・文/髙田翔子