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1年半の【不登校】5年生のとき、自ら「学校に行く」と決めた

毎回、子どもの不登校の体験談をお聞きしているシリーズ。今回は、小2頃から息子が教室でパニックになることが増え、徐々に不登校になったというNさんのケース。息子さんが中3で受験を控える今、当時の話を聞きました。

お話を伺ったのは……
N.Sさん(自営業/息子・中3)

2年生の頃、学校から連絡が来ることが増えて……

──息子さんは、小学校入学後どのように過ごしていましたか?

1年生までは普通に学校に通っていたんです。ところが2年生になってから「息子さんが暴れているので迎えにきてください」と学校から呼び出されることが増えました。算数のかけ算など勉強が以前より難しくなったり、担任の先生が重いつわりで学校を休み、急遽代わりの先生が来るなど、環境の変化のせいかクラスがちょっと落ち着かない雰囲気ではあったそうなのですが理由ははっきりわかりません。家で理由もわからずパニックになるというようなことはほとんどなかったので、いったいなぜ?と困惑していました。学校は集団行動が基本なので、子どもが集中して作業に取り組んでいても次の時間だから片付けなさいと言われたりすることはありますよね。マイペースに物事を進めたい息子としては納得がいかないようなことはあったと思うんです。それにしても息子が何度もパニックになってしまうというのは理解できませんでした。

 

学校に行かなくてもいいよと伝えたら

──その後、お子さんの様子はどうでしたか?

3年生の半ば頃までそんな状態が続いたある日、息子は「もう学校に行きたくない」と言いました。それまで「学校に行けなくても、家で勉強してもいいんだよ」とは伝えていたのですが、行くかどうかは本人の意思にまかせていました。その頃、先生から発達の検査を受けるようにすすめられました。子どもの特性を知る手がかりとして検査が必要ということはわかるのですが、そのときは受ける気になれなかったんです。発達の検査で原因を探る前にできることはないのかと思っていました。人は誰しもがいろいろな面を持っていて、目の前にいる相手によっても表に出す面が変わってくると思います。学校でパニックになってしまうのも必ずしも彼個人だけの問題ではない、と考えていたからです。息子も、成長とともに苦手なことや不条理なことと折り合いをつけられるようになってほしい。その後、中学に上がり、息子も成長して得意・不得意や困りごとがはっきりしてきたタイミングで検査を受けました。

 

カレー作りに目覚め、ワークショップをはじめた息子

──お休みしてからはどんな過ごし方をしていましたか? 息子さんはカレーを作るワークショップをしていると聞きましたが。

朝、起きたら「今日何する?」と聞いて、いろいろなところに出かけました。横浜や高尾山に足を延ばしたり、親子で行けるイベントに参加したり。勉強は目標やペースをきっちり決めず、やる気があるときだけやるようにしてのんびり過ごしていました。知り合いに教えてもらったワークショップに行ったら、会場のカフェでスパイスカレーが出ていて。その店の店長さんは、ご自身がいろいろな仕事を転々とした後、今ここに落ち着いているというちょっと面白い人だったんですね。息子はカレーをすっかり気に入って「バイトをさせてください」と直談判したのですが、まだ小学生ですから。「バイトはできないけれど、ちょっと手伝ってみる?」とカレーの作り方を教えてもらって、それからは毎年、夏休みなどの長期休暇のときに場所を借りて、スパイスカレーのワークショップをやるようになりました。

 

──学校を長期欠席することについてNさんご自身はどう感じていましたか?

私自身は昭和生まれなので、具合が悪いわけでもないのに「学校を休む」なんて選択肢はなかったんです。当時すでに不登校の子どもは増えていたはずですが、「先生にこんなことをされて嫌だった」と親に言っても、「あなたが悪いことしたからでしょ」と取り合ってもらえませんでした。だから、いざ不登校といってもなかなかイメージがつかなかったのですが、周囲には、学校になじめないで通うのがしんどいというお子さんが何人もいました。学校が苦手だったけれど、大人になるまでマイペースにやってきたという友人も多かったのです。勉強は無理にやらせるよりもやる気になったときにやるほうが力を発揮するだろう。今は学校に行けなくても、生きる力がつけばいいと思うようになりました。

 

時には「給食だけ行く日」も

──お休み中は、学校とはどのようにやり取りをしていましたか?

学校をほとんど休んでいた時期も「給食だけは行きたい」と本人が言うので、給食を止められなかったんですよ。不登校のお子さんは給食費の支払いを止めることが多いようですが、学校によっては、行ける日だけ対応してくれるところもあると聞きます。息子の通う学校はそれができなかったので、登校できる日はお弁当でもいいのかなと思いましたが、本人は給食が食べたいと。給食費は毎月5000円ぐらいかかります。もし給食を止めたら、そのお金で外食できるけどどう?(笑)なんて、話をしたんですけどやっぱり給食が食べたいというので、ほとんど登校しない月も給食費を払っていました。はじめのうちは「今日は休みます」と朝、学校に電話をしていましたが、それが毎朝となるとストレスで。今日は行くのかな、行かないのかな、先生の迷惑にならない時間に電話しなくちゃ、と考えているうちに私のほうがまいってしまいました。途中から、「行くときだけ電話します」というやり方に変えさせてもらい、それからはだいぶ気持ちが楽になりました。

 

突然、学校に行きはじめた息子

──その後、息子さんは突然、「学校に行くよ」と。

3年生の半ばから4年生の終わりぐらいまで1年半ほど、ほぼ不登校でたまに行く程度だったのですが、「5年生からは行く」と言いました。息子は友だちが多いタイプではありません。「休み時間は何をしているの?」と聞いたら、教室か図書館で本を読んでいることが多いそうです。図書室の先生に聞くと「本をすごくたくさん借りてくれます」と。クラスのみんなと交流が少ないと修学旅行などの行事でひとりぼっちになってしまうのでは、と親としては心配になるのですが、本人は気にせず参加するんですよね。我が子ながら不思議です。はじめのうちはお昼休みまで、とか短い時間の登校だったのですが、だんだんフルで行けるようになっていきました。それでも時々休む日もありましたし、息子のペースでゆっくり学校に戻っていきました。

>>後編に続く

取材・文/髙田翔子

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