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成田悠輔さんが“親ガチャ”論を斬る!「何がアタリ親でハズレ親かは人それぞれ」

報道からバラエティ、YouTubeまで、新たな論客として引っぱりだこのイェール大学助教授・成田悠輔さん。今回は、親子関係やジェンダーにまつわるVERY読者の疑問・悩みをバッサリ斬っていただきました。ときに楽観的、ときに革新的、ときに刺激的な金言をお届けします!

※掲載中の情報はVERY2022年12月号掲載時のものです。

Q. 〝親ガチャ〟って本当に
あるのでしょうか。

経済的には余裕があり、子どもたちに好きな習い事や海外体験などもさせてあげられています。ただ、将来的に離婚を見据えているほど夫婦仲が良くありません。親ガチャって結局は夫婦仲良く、愛に溢れた家庭を与えることなのではと不安になります。(34歳/5歳・2歳女の子、3歳男の子)

A. お金の親ガチャはあります。
でも、何がアタリ親で
ハズレ親かは人それぞれ。

まず経済的な豊かさという軸をとれば、親ガチャはあります。貧しい家庭に生まれた人より豊かな家庭に生まれた人の方が、平均すると将来よく稼ぐというデータがどの国でもあります。

これは見せかけの相関ではなく、本当に家庭環境の影響だという研究もたくさんあります。幼い頃に生みの親から里親の元に移ると、その里親がどういう人たちかによって将来の経済状況が変わるみたいな発見が知られています。子は親を選べない、だけど親の影響はやはり大きいということですね。

ただ、もうちょっと深く、人生全体や幸福かどうかを考えると、何がアタリでハズレかってよくわからないですよね。私自身も、親がギャンブルで借金作って蒸発したりしたので、ある意味では親ガチャ大ハズレだと思いますが(笑)、裏返してみると親が呪いにならなかったというアタリでもある。親が立派でちゃんとしていると、期待に沿わなきゃいけない感じがあるじゃないですか。親がしょうもない存在だと親のことを全く気にせずに生きていける。その点で自由だったし、アタリだったなと思うこともあります。

アタリだと思ったものがハズレだったり、ハズレだと思ったらアタリだったり、万華鏡みたいなものが親子関係だと思うので、アタリハズレとかは考えなくてもいいんじゃないかなと思います。

Q. 不登校の娘の未来が不安です。

小3の娘が不登校です。軽度の発達障害があり、既存の学校教育では色々と難しいのかなと思い、無理に行かなくてもいいと思っています。ただ、知的好奇心が非常に強くホームスクーリングでは限界があり、フリースクールなど色々な場所に連れて行っていますが、弟もいるため娘につきっきりになるのも難しい状況です。娘にとって何がベストなのか答えが見つかりません。それとも、小学校に行くべきでしょうか?(37歳/9歳女の子・6歳男の子)

A. まずは
〝不登校〟という言葉を
忘れてください。

不登校という言葉がよくないですよね。登校することがデフォルトで、それができない人たちというネガティブな雰囲気をまとってしまうので、ネガティブに捉えないことが大事ですね。

言葉なんて無責任なもので、不登校をギフテッドと言い換えると途端にポジティブな方向に針が振れる気がするじゃないですか。だから、不登校というラベルには捉われずに、学校に適応できない性格や個性を武器に変える努力をするのがいいのかなと。

私に連絡してくる10代の子たちの中でも、学校には行けないけれど自分なりの興味を見つけて学校以外のオンラインのコミュニティで学び、ウェブから自分の作品や表現を発信して活躍し始めてる人たちが何人もいます。何十年か後には、今学校と呼んでいるものに通ってるのは変わり者という社会が来るかもしれないので、そういう未来を先駆けてると思って、自分の人生や生活を開拓していくのがいいんじゃないでしょうか。

ただ、一点保守的なことを付け加えると、もしお子さんがたまたま勉強や試験が得意だったら、学校に行かなくてもいいので、受験勉強だけちょっとして学歴をゲットしておくとお得かもしれません。試験が得意な人にとっては、日本の学歴競争はすごくコスパがいいので。

Q. ジェンダーレスな社会って
どういうことですか?

最近、ジェンダーへの配慮が行きすぎているのではと感じます。男女は明らかに違う生き物でそれは自然なことですが、区別すら悪とされているような気がします。ママ友同士の会話でも発言に気を使います。正直、生きづらいです。この風潮はどんどん加速していくのでしょうか?(38歳/10歳・5歳女の子)

A. ジェンダーレスの行き着く先は、
人間も猿も猫もゴキブリも
平等な社会です。

日本はまだいい方で、アメリカでは大学や企業の採用でも、ある枠に男性を1人面接したら女性も必ず面接しないといけなくなってますし、極端な人はトイレを男女で分けることすら差別だと主張したりしています。生物学的な性別というものが確固として存在していることを忘れる、あるいは意識的に壊していくくらい極端なことが一部の国では起きています。

これまでの歴史を見ると、その流れが今後止まることはあっても逆走することはないと思うので、行き着くところは、人間も猿も猫もゴキブリもみんな平等という社会かもしれませんね。性別だけでなく、人種や年齢、肌色などの属性で区別すべきではない、これを突き詰めると人間とゴリラを区別すべきではないという話になるんじゃないかって思うんです。今の人類からしたら理解不可能ですよね。

だから、理解しようとするのを諦めるのはどうでしょうか? 生きにくいと感じる時点で旧人類なので、旧人類は旧人類らしく新時代を理解するのは諦めて滅びていきましょう。あ、私も仲よく旧人類です(笑)。

【BOOK】

22世紀の民主主義選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる
(SB新書)

大ヒット中の初著書。「言っちゃいけないことはたいてい正しい」をモットーに、民主主義や政治の新たな解を提案する、22世紀に向けて読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。

 

【Proflie】

経済学者・データ科学者・
イェール大学助教授・半熟仮想(株)代表。

成田悠輔さん

不登校気味の麻布中学高校を経て、東京大学経済学部卒業後(最優秀卒業論文賞受賞)、マサチューセッツ工科大学で博士号を取得。専門は、データ・アルゴリズム・数学・ポエムを使ったビジネスと公共政策(特に教育)の想像とデザイン。ウェブビジネスから教育・医療政策まで幅広い社会課題解決に取り組み、ソニー、ヤフー、ZOZOなど多くの企業や自治体と共同研究・事業を行う。現在はアメリカと日本を行き来する生活を送り、本業の傍ら、報道・討論・バラエティ・お笑いなど多様なテレビ・YouTube番組でも活躍中。

写真/©MENʼS NON-NO and Kiyono Hattori 取材・文/宇野安紀子 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2022年12月号「成田悠輔さん ママの悩み相談「神回答」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。

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