※このコラムはVERY2022年12月号(2022年11月7日発売)に掲載されたものです。
もうすぐ出産予定日。みなさんがこれを読んでいる時には、もう3人目を抱いているかもしれません。出産直前になり、ホルモンのせいなのか感情がジェットコースター状態の最近です。そうなった時に意識して向き合うようにしているものがあります。それは「インナーチャイルド」。ママ友とも「子育てしているとインナーチャイルドがめちゃめちゃ騒ぎ出すよね」ってよく話をしているんですが、みなさん話題にしたことはありますか? 私のいうインナーチャイルドとは、幼少時に抱いた、未だ癒せていないネガティブな感情のことです。
例えば、冷静に考えれば全然そこまでじゃないのに、子どもの言動に異常に怒りが湧くことってありませんか? 私の場合、私にリスペクトがないと感じる瞬間に腹が立ってしまうことに気がついて。
よく考えてみると、私の場合はとても親が厳しく、親に対して生意気な口は絶対にきけない家庭環境でした。だからか「なんでそんなに生意気なの」「私はそんなこと許されなかったのにずるい!」と強く反応してしまうんです。でもそれは他の大人同士の関係では起こらなくて、子どもに対してだけ。これは、癒されていないインナーチャイルドが騒いでいるんだな、とある時気がついたんです。
そういう時は、自分のインナーチャイルドに対して母になったつもりで、自分のインナーチャイルドを慰めます(ややこしい)。寂しかったね、辛かったねと言葉にして当時の自分、内なる子どもを癒してあげる。そうすると不思議とその瞬間におさまることもあるし、次のトリガーでも感情的になる前に気づけたりする。誤解のないように言えば、私は何不自由なく育ててもらったし、虐待もされていないし、厳しい中も両親は一生懸命だったとわかっています。それでも満たされていないインナーチャイルドがあると気がついたんですよね。
でも、それって、あるあるなんじゃないでしょうか。周囲のママたちを見ていても、親に対して何かしら葛藤を抱えている人がほとんど。いわゆる毒親ではなくても、大人になり、また母になると、子どもの頃に満たされなかった自分の気持ちに気がつくことがあるのかもしれません。10代、20代では仲良しの友達親子をしていたのに、30代、40代になって母の一言に「ん?」となったり、でも今さら実の母親と向き合おうとしなくてもよくて、インナーチャイルドは自分自身で癒せる、というところに救いを感じています。とはいえまだまだ私も途上。気づかずにいた〝傷〟の上に子どもたちは土足で踏み込んで走り回るから、まあインナーチャイルドも怒り出す(笑)。その感情を、この子育て期に自分で受け止める訓練が始まったんだな、と思っています。
子どもたちにも、自分の感情を受け止めて、言葉にできるようになってほしい。だから例えば転んだ時やケンカした時、「大丈夫大丈夫! 痛くないよね」とか「そんなことで泣かないの」と蓋するようなことは言わないように心がけています。当人にとっては辛いのに「そんなこと」と言われたらもう相談できなくなるし、感情にはいいも悪いもないから。悲しい・寂しいといった感情は、つい早く終わらせてあげよう、早く笑顔にしてあげようと思いがちです。でも、悲しいね、辛いよねという感情に寄り添って一通り感じさせて、言語化するのってとても大切なんじゃないかなって。
怒りに対しては、子どもは上手に発散させることも大事らしく、我が家ではトランポリンも導入しています。単純なようですが、跳ねるとすっきりするらしいんです。壁に手形を描いてグッと押すとか、段ボールやプチプチを入れた「怒りボックス」を作って、イライラした時には破いたりプチプチしてみるとか……そんなことも試して、発散したり言語化するのをフォローして、親子で〝感情〟に振り回されながらもなんとか向き合っている最中です。
◉SHELLY|シェリー
1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。6歳と4歳の娘の母。
産休に入って、普段バタバタして会えない友達とランチしたりしてます! 今日は幼馴染みのCrystal Kayとお蕎麦!
撮影:須藤敬一 取材・文:有馬美穂 編集:羽城麻子
*VERY2022年12月号「シェリーの「これってママギャップ?」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。