愛情いっぱいの泣き笑い子育てエピソードに、共感したり、思わず涙してしまう、などファンの多い辻元舞ちゃんのブログがVERY誌面に登場。もちろん、イラストも舞ちゃんの描き下ろしです。

※本記事は過去掲載記事を元に再編成したものです。掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合がございます。

辻元舞の
「自分ファースト」でいこう！

　 VOL.15　

❝「最悪。失敗例です」と言われた日❞

次男3歳、寝返りも歩き出すのも、のんびりマイペースでした。2人目だったこともあり、私も神経質にならずに穏やかに接していました。話し始めたのも遅く、会話ができるようになってはきましたが、まだ私にしか聞き取れない単語もよく出てきます。下の子はいつまでも赤ちゃんみたいで可愛いわ。なんて思いながら、ゆっくり成長してね〜とこちらものんびりしていたら……。

ある日保育園の担任の先生に「言葉の療育に行った方がいいかも」と言われてびっくり。遅いとは思っていたけどそこまで⁉　これまで多くの幼児を見てきた保育園の先生が言うってことは、かなり遅れているということだよね……？と一気に焦り始めました。長男が同じ月齢だった頃を見返すともう文章で喋っていて、さらに心がソワソワ。安心したい気持ちもあり、すぐに検索して上位に出てきたところに連絡しました。もし療育が必要と診断されても、ゆっくり次男のペースで頑張れればいいな。とこの時点では私もまだ余裕があったのですが。この病院でそんな気持ちはガラガラと崩れ落ちることになりました。

予約した当日、診察室に入ると終始威圧的な雰囲気の男性に「言葉はいつ？」「2語文は何歳何カ月？」「3語文は？　覚えてる？」と質問攻め。次男が生まれてすぐ長男は3歳のイヤイヤ期&赤ちゃん返り、初めての2人育児にいっぱいいっぱいで当時の日々はあまり記憶にない……。ましてや2語文や3語文がいつかなんてこれっぽっちも覚えていません（笑）。なんて言える雰囲気では到底なくて、えぇっと……と慌ててカメラロールを見返していると、飽きてきた次男がもぞもぞ動き出しました。するとその男性が「ダメ」「触らない」とピシャリ。ヒェッと縮こまった私たちに、その後も尋問のような質問攻めをされ、男性から出てきた言葉に驚愕。
次男の前で「まず言葉を覚える環境としては最悪。失敗例です」と言われ、もうそこから頭がモヤモヤで埋め尽くされて何にも入ってこない。別の部屋に移り次男に簡単な発達の検査がありましたが、シンとした異様な空気で笑顔もない。子どもに携わるところなので保育士さんのような想像をしていた私はあまりのイメージの違いにびっくり。これじゃ普段できることもできないんじゃ……？結局この日は簡単な検査しかせず、また後日にちゃんとした発達の検査をするとのことで、アドバイスをもらえる訳でもなく、ただただひどく傷付いて帰りました。

帰ってからもどんどんモヤモヤが膨らみ涙が止まらず、母としての自信も失い、落ち込んだまま数日が過ぎましたが、過去に児童発達支援管理責任者をしていた友人に相談したことで気持ちを切り替えることができました。良い療育機関に出会えると個々に合ったペースでやっていけるので、病院選びが最も重要ということを教えてもらい、「愛情を沢山もらっているのは表情で伝わる。まず療育に行くことは子どもに愛を持っている証しである。相談に行ったあなたは素晴らしい！」と励ましてもらい、少しずつモヤモヤを解消してくれました。
そうだよね。子どもの前で笑顔でいられないなら意味がない。親も子も笑顔で過ごせるところを探そうと思い、その病院はお断りしました。

同じような悩みを持つ方も多いんじゃないかと思い、少し苦しい内容でしたが今回は書かせていただきました。

心の健康第一に、子どもも自分も見捨てることのない選択をしていきましょうね！

文・イラスト／辻元 舞　編集／フォレスト・ガンプJr.
＊VERY2022年7月号「辻元 舞の「自分ファースト」でいこう！」より。
＊掲載中の情報は誌面掲載時のものです。