アーティストのCharaさんが初めての絵本『LITTLE HEARTBEAT』を制作。イラストを描いたのは実の妹である綿引光子さん。発売を記念して今回は特別にVERY webでインタビューをさせていただきました。
前編は初めての絵本を発行するに至った理由から、音楽で活躍するCharaさんとイラストで才能を発揮する妹さんがどのように育ったのかを伺いました。

――今回妹さんと初の共作『LITTLE HEARTBEAT』を書くにあたって、誰か対象を想定して書いたんですか?
Charaさん(以下、Chara) 私、日ごろ歌うように話したい、話すように歌いたいと思ったりしているんです。一筆書きのように曲を作るので、こちらの文章も歌うように話す、いつもの作り方を変えなくてもいいかなと思って。その相手として言うなら姪っ子ですね。2年生と5年生なんですが、よく図書館に行く家で。うちも(子どもが)小さいときに行ったけど、家で読むほうが多かったかな。自分は眠くても「もう一冊」って言われたら絶対読んでいました。「めっちゃ眠い!」ってなるけど(笑)、寝る前は本を好きなだけ読んであげました。
もともと、やりたいことってたくさんあって、何歳になってもやってみたいなって思っているとご縁があることがよくあるんです。父が亡くなったこともあって妹と結構会うことが増えたから「来年は(一緒に)絵本作ろうよ」って言ってたら、たまたまビームスさんからお話をいただいて。妹と共作っていうと自分のグッズでトランプを作りたいから「(絵を)描いて」とかそういうことはあったんですけど、姉妹で一緒にクリエイトするということは実際になくって。「2人だけでやりたいね」って言ってたら、たまたまたタイミングよくお話をいただいたので、「え!これはやれってことだよね」って思って。
おばちゃんとお母さんが一緒に共作でひとつのものを作るっていうのを姪っ子たちは見たことがないので、それを見せたかったというのも個人的にはあるんです。それから母親にも、ちょっと見せたいなって思ってました。
――姪っ子さん以外でほかにどんな方に、どんな風に読んでほしいですか?
Chara 人それぞれで、一度読んだだけだと感じないこともあるし、精神状態とか読み方とかシチュエーションや気分とかで変わることもあると思うので、いろんな利用の仕方でよいと思います。私自身、詞が散文っぽいので、たぶん物語もどちらかというとそういうところがあって、「ん?」って戻ってみたりすることもあるだろうし、あまりすんなりいくようじゃなくてもいいかもしれないですね。最初の1ページだけで「これもう読んだ!」って閉じていただいても最初はいいかも。これは、父に向けての最後の私たち姉妹のプレゼントというところもあるので。でも、大人の方が告白するときにお使いになってもいいんじゃないかと思ったんです。自分の手紙も中に入れたりとかね。絵本の中の手紙、あそこだけは私の手書き。どのペンがいいだろう?って考えながら「どう?」「どう?」って(スタッフに)見てもらって。
――表紙の炎の意味は、お父様のことと関わりがありますか?
Chara もともとミュージシャンの私的には、ライブに来てくださった方のキャンプファイアの炎になりたいね、みたいな話をよくスタッフと話しているので、そういうことの影響もあります。でも、デザイン自体は妹がHEARTBEAT=心臓のモチーフにデザイナーさんが「表紙にどう?」というアイデアがあって、素敵だなと思っていたら、妹が心臓を花にして描いたんです。絵本の中のキャラクターのほっぺたにハートのあざのようなものが浮き上がってくるアイデアも妹が作り出したもの。2人の女の子、まだ少女を育てている最中で、そういうものが好きだっていうことが子育ての中ですごく実感としてリアルにあるからだと思うんです。興奮するというか、感情が、ラブが高まってくるとハートが浮き出てくるのが可愛いよねってなったり。
――絵本に出てくるぬいぐるみはグッズにもなっているんですよね。
Chara 娘が小っちゃいときにスリフトショップで買った1ドルくらいの白いベアがあったんです。それが好きで、2歳くらいのときにいつも引きずりながら連れて歩いていて。それも本当に枕になるもので、あの子を私が蘇らせたいと思ったら意外となくて。姪っ子にあげたいなって思ったんですけど。
やっぱり、だれかにあげたいって気持ちとか伝えたい気持ちがあるとすごく考えやすいし、すごく細かいところの喜ぶ顔まで想像できる。洗ったらどうか、とかいろいろ。業者さんも今までにないすごく大変なことをやっていただいたみたいで、こっち(ぬいぐるみ)側だけの完成を考えると、もっと中を詰めたほうがいいとかいろいろあるみたいだけど、この子は変身できる。「枕ちゃんに変身!」(笑)ってできるトランスフォーマーだから、もしかしたらみんなの悪い夢をドリームキャッチャーのように取ってくれるかもしれないし、おいしいものを詰めてあげてもいいし。それは親の使い方で使っていただければ。



――姪っ子さんのことをとても可愛がってるんですね。
Chara いつも「おばちゃんありがとう!」って手紙をくれたり、一緒に折り紙を折ったり。本当に会うのが楽しみです。
――Charaさん、「おばちゃん」と呼ばれてるんですか?
Chara おばちゃんです(笑)。おばちゃんのライブが例えば(姪っ子たちの住む)岡山でやるとなったとき、「早めにリハーサルにおいで」って言って、(髪など)リトルCharaにして一緒にメンバーとセッションしたり。おばちゃんならではの体験は何かないかしらって。その中で彼女たちがやりたかったらやるんです。おうちに遊びに来たら楽器がいろいろあるので、「弾いてもいい?」って聞かれたら「いいよ」って。弾くにあたってママだとうるさく教えるかもしれないけど、おばちゃんならではの距離感で教えます(笑)。
――Charaさんも妹さんもアートの世界に進んでいますが、何か子どものころに受けた影響はありますか?
Chara 妹は小さいころから絵だったんです。私はきっと音楽を褒められたんじゃないかと思います。2人とも音楽を習ったりとかはしていたけど、私は「この絵、すごく上手に描けた!」と思ったのに学校の先生にめっちゃディスられて(笑)、そこから自信をなくして、早い段階から音楽だなって思っちゃってましたね。
私は川口市っていうファクトリータウン出身なんですが、川口は鋳物の街で、吉永小百合さんの『キューポラのある街』という映画のモデルの街。父の仕事は美術鋳造といって、鋳物屋さんだったんですが、彫刻の森美術館とかにある作品を作られる先生が「こういうのを作りたいから」と職人である父と相談して作る、そういう仕事でした。だから彼はアーティストではなかったです。でも、自分で作った照明や門、机とかはあって。「なんでこんな重たいものがあるの!絨毯へこんじゃうじゃない(笑)」みたいなものとか、オブジェみたいなものや〇〇先生が作ったものを小っちゃいときから見せられて、「なんかよくわからないね」って感じではあったんですけど、でも影響はあると思います。わかんないなりの点がついた気がしていて、点と点がだんだんつながっていったんじゃないかと。
――お父様から受けた教育でご自身の子育てに反映したことはありますか?
Chara 適当じゃなかったということ。適当じゃないというか貫き感というか……。父は職人だからやっぱり技術もそうですが、期限のなかでちゃんとやらなきゃいけないし、そういうのを見ていたと思うんですよね。それから先生たちとのコミュニケーションをとる感じとかを自然に。
『LITTLE HEARTBEAT』

著者:綿引美和、綿引光子
発行:株式会社ビームス
価格:¥5,000
絵本の世界を体感できる『Chara Art Living Room「LITTLE HEARTBEAT」』を開催!

『LITTLE HEARTBEAT』の刊行を記念した巡回展の大阪イベントが決定!絵本の世界観をインスタレーションで楽しめるほか、実の妹・綿引光子氏の描いた原画も見られます。
日時:2019年2月9日(土)~3月17日(日)
場所:THE BLEND INN
大阪府大阪市此花区梅香1-24-21
※要宿泊。15:00~20:00は、1階の展示のみ宿泊以外のお客様も鑑賞できます。
約1年半ぶりのニューアルバム『Baby Bump』も発売中!


「愛を身ごもる」をテーマにした歌詞の世界観に共感するChara育ちの読者の方もきっと多いはず。Charaらしい「Soul」「Dance Music」を家事のテーマソングに、通勤のお供に、ぜひ聴いてみて。NEWアルバムを引き下げたツアー「Baby Bump」を2/16(土)まで開催中。
撮影/相澤琢磨
スタイリング/岡部俊輔<UM>
ヘア・メーク/杉田和人<POOL>
衣装協力/ショールーム リンクス ☏03‐6416‐0559