愛情いっぱいの泣き笑い子育てエピソードに、共感したり、思わず涙してしまう、などファンの多い辻元舞ちゃんのブログがVERY誌面に登場。もちろん、イラストも舞ちゃんの描き下ろしです。

※本記事は過去掲載記事を元に再編成したものです。掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合がございます。

辻元舞の
「自分ファースト」でいこう！

　 VOL.14　

❝長男のSDGsと夫の気持ち❞

先日夫が長男と2人で出かけた時に、長男にハッとさせられた出来事を話してくれました。

その日は夫と長男が2人で美容院に行く日でした。歩いて向かっていると、もうすぐ美容院に着くというところで、明らかに路上飲みをしたであろうゴミが歩道にそのままにされていたらしく、それを見た長男は何の躊躇いもなくそのゴミたちを拾おうとしました。咄嗟にコロナのことが頭によぎった夫は思わず「触っちゃダメ」と言ってしまったらしいのです。すると長男は「あのねパパ、ゴミは落ちてたら拾わなくちゃダメなんだよ」と夫に注意したあと、美容院までゴミを持って行き、ゴミ箱がなかったから美容院のゴミ箱に捨てさせて欲しいと自分で事情を説明し、「触っちゃったから手を洗う」と自ら手を洗ったとのことでした。その長男の一連の行動を見た夫は、そうだよね……と自分の発言を思い返し、あの時触っちゃダメって言ってしまった、と悩んだらしいのです。

今のこのコロナ禍で、落ちているもの、ましてや他人が口を付けたであろうものを、子供が触ろうとして躊躇う夫の気持ちは私にも理解できるし、学校でSDGsを学んでいる長男は海洋汚染への取り組みで海岸にゴミ拾いなどにも行っていたので、ゴミは当たり前に拾わなくちゃと自ら実行する姿勢も素晴らしい。どちらもの気持ちも分かるので、うーん難しい……。

行事も中止、給食は黙食、学校閉鎖でオンライン授業、コロナのことも環境汚染のことも、路上飲みでポイ捨てする人たちよりも子供の方がよっぽど素直に受け入れて行動しているなと思うのです。今の子供たちに背負わせているものの大きさを感じ、なんとも言えない気持ちになりました。様々な楽しみ、教育、経験、たくさんのものを我慢している子供たちにツケを回さないよう、子供たちが笑顔でいられる未来のために、私たちには何ができるだろう。

改めて考えるきっかけとなった出来事でした。

文・イラスト／辻元 舞　編集／フォレスト・ガンプJr.
＊VERY2022年6月号「辻元 舞の「自分ファースト」でいこう！」より。
＊掲載中の情報は誌面掲載時のものです。