生活リズムも価値観も自分優先ではなくなったけれど、 本当は誰にでもあるずっと変わらず好きなことをインタビューする連載「ママですが、これが好き!」。5月7日発売のVERY6月号では女優・香椎由宇さんに、キャンドルが好きというお話を伺いました。Web版では、この春のドラマ出演への思いや、子育てについても語っていただきました。
8年ぶりの現場にドキドキワクワク
——この春の連続ドラマへの出演は、どんな気持ちで臨みましたか?
撮影が始まる前からドキドキとワクワクでした。ドラマの現場からは長い時間離れていたので、すごく不安でしたが、キャストにもスタッフにも恵まれたおかげで、「こんな感じだった!」と、一つ一つ確認しながら感覚を取り戻せました。
——産後の仕事復帰に悩む読者も多いですが、子育てとの両立で大変なことはありますか?
5月は特に、園や学校など子どもの新生活にも少し慣れてきて、復職したり、その準備をしているママも多い時期ですよね。私は、今すごく楽しいです。これまで、家庭の中やママ友との会話が中心だったのが、何だか敬語を使うのも久しぶりで(笑)。いろんな変化に戸惑う瞬間もありますが、とても刺激になっています。
——お仕事に向けて、どのように準備されたのですか?
家庭があることでどうしても時間の都合があるけれども、それでも必要としてもらえるなら一生懸命応えたい、という思いをすべて、所属する事務所や周囲の人へ伝えるところが出発点でした。あとは現場の感覚を取り戻せるかが心配だったので、限られたひとり時間にも台本を読めるよう持ち歩くようにしました。
——出産前と比べて、台本を読み込む時の感覚などに変化は感じましたか?
もはや出産前を思い出せないのですが(笑)、現場に行くまではとにかく不安でした。台本を覚えているかどうかもわからないまま現場に入り、結果、どうにかなったというのが、第一歩の自信になりました。その後は、次のシーン、また次のシーン、という風に繋げていけましたね。
自分のための時間は車の中で
——台本を覚えるなどは家でしますか?
車の中が多かったです。子どもたちを送った後に、そのまま車内で覚えてます。家に帰ると家のことをやりたくなっちゃうんですよね。家に帰らないでいいように家事は朝に済ませて、ひとりの時間は車の中にこもって台本を読んだり。家とは切り離して取り組んでいました。車が自分の部屋のようでしたね。
——台本を覚える時以外も車が自分のスペースでしたか?
そうですね。ひとりの時間がそこでしか作れなかったので、ちょっとした逃げ場のようなものでした(笑)。音楽を聴くのが好きですが、家だと子どもに「他の曲がいい」なんて言われちゃうこともしばしばで。掃除しながら聴きたいんだけどなぁ、と思ったりもしますが、車で楽しんでいます。ラジオや音楽アプリで聴いていて、アプリは最新のものから、昔流行った曲なども自動で選んでくれるので楽しいです。
——アプリにおすすめされて出会った曲で気に入ったものはありましたか?
「TikTokで流行った曲特集」は面白かったです。部分的なフレーズは知っていても最初から最後までちゃんと聴いたことのない曲も多くて、「最後まで聴いたらすごく好きな曲になった」とか、発見があります。
——車で過ごす時のお気に入りアイテムなどはありますか?
香り系のものが好きです。ずっと通っているお花屋さんが、廃棄予定のお花から採ったアロマを作っていて。それを最近持ち歩いて、車でもシュッとしています。
ひとりで抱え込んでいたかもしれません
——子育てに専念しようと考えていましたか?
結果的にそうなっていたという感じですね。でも、今回現場に立ってみて、案外両立できるものなんだなと思いました。自分次第だったのかもしれません。
——「自分次第だった」というのは、どの部分の切り替えが大きかったのですか?
周りの人をもっと信頼して、頼っていいんだ!と思いました。仕事って、必ず相手がいることですし、今の私には家族もいて。自分だけでどうにかなることではないのに、ひとりで全部回そう、解決しようと背負い込んでいた気がします。外出する時も、家族のご飯を作って、子どもの出かける支度もして、最終的にバタバタしながらようやく自分のことをやって出る…というように、自分が後回しになっていました。
だから、子育てから手が離れないうちは仕事ができないのでは…と思い込んでいたんです。でも、いざ動き出してみると、この人もあの人も協力してくれる、家族も動いてくれる、というのが分かって。そうした体制が出来上がってきた時に「今まで何してたんだろう、何をひとりでやろうとしてたんだろう」と気がつきました。
家族全員で手紙を書きます
——お子さんの習い事などはどうされていますか?
子どもたちはお習字をしています。実は私も小さい頃から習っていて、字は綺麗なほうがいいなと思って。頭を整理するために何か書くとき、字が綺麗なほうが、見た時にもきちんと理解しやすいし、人にも伝わりますよね。
——ご自身も書くことが好きですか?
好きですね。手紙とか。家族みんなでマメに書いています。誕生日や、バレンタイン、ホワイトデーなどイベントの時に、全員で1枚のカードに書いて、じーじやばーばに送ったり。子どもはお友達同士でも手紙のやりとりをしていて、小さなメモカードに「あそぼ」としか書いてないんですけど(笑)、それを〇〇ちゃん、〇〇くんに渡したい、と言うので、一緒に横で見ながらこう書いたらいいんじゃない、なんて見守っています。
——子育てで大事にしていることは何ですか?
子どもには、とにかく好きなことを1つでも見つけてほしいとずっと思っています。私の親は、女優の仕事を全力で支えてくれ、すごく感謝しているんです。だから、子どもが自分で「これをやりたい」と言ったことには、何があってもまずは応援してあげようと思います。
●香椎由宇(かしいゆう)
女優。2001年デビュー。4月から放送のカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」(月曜夜10時)にレギュラー出演中。英国発の保育資格、チャイルドマインダーの認定も持つ。
香椎さんの趣味の時間の過ごし方や、子育てエピソードは本誌のインタビューでも! VERY6月号をチェックしてみてください。
【香椎さん衣装】ワンピース¥41,800(フィルム/ソブ)イヤリング¥16,500(ドレスアンレーヴ/ラ・キアーヴェ)バングル¥ 112,200(マリハ)サンダル¥52,800(イッセイ ミヤケ×ユナイテッド ヌード/エム)
撮影/寺田茉布(LOVABLE) スタイリング/後藤仁子 ヘア・メーク/SHIHO SAKAMOTO 取材・文/馨都 編集/矢實佑理