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【パラリンピック・陸上】鈴木徹選手の妻・麻美さんが語った家族の言葉

■ 息子たちのコトバ

「同じことに努力し続けるパパってすごいよね」

 

パラアスリート生活の始まり
メダルまであと一歩!

リハビリ病院での入院中、素晴らしい出会いがあり、彼は陸上の走り高跳びの練習を始め、大学にも復学。持ち前の身体能力を生かし、なんと2000年のシドニーパラリンピックに出場するまでに。4年後のアテネにも出場。しかし、まだ大きな実績を挙げていないパラ選手に簡単にスポンサーがつくわけはなく、競技を続けるため、彼は大学卒業後の約2年間はスポンサー探しに明け暮れました。その間は、私もつくば市の病院に転職し、同棲しながら主に私の収入で生活。彼はそのことが悔しかったそうですが、同時に今でもとても感謝してくれています。

病院での出会いから7年、私たちは2005年に結婚しました。2007年に長男、2009年に次男が誕生。世界で2人目の義足で2.00メートルを跳んだジャンパーとして注目されたこの頃から、ありがたいことにスポンサーが増え始め、安定した競技生活が送れるようになりました。

息子たちは、バスケットボールをやっています。自宅の庭で、パパと息子3人で練習することも。

その後も私は看護師を続けています。 夫は、普段の練習に加え、海外遠征や全国各地での講演会で、月の半分も家に帰らないことも。「大変ね」と仕事をしながらのワンオペ育児を心配していただくこともありますが、共に好きなことを仕事にできているのだから、家事・子育てはできるほうがやればよいと考えています。だからこそ、互いに帰宅したら父親と母親に徹する。夫がスポーツ選手だからといって、家では何もしなくていいという感覚は我が家にはありません。

これまで夫はシドニーからリオまで5度のパラリンピックに出場し、いずれもメダルまであと一歩。不本意な内容で終わってしまった前回のリオは、競技が終わり会場を引き上げていく夫の顔は、心ここにあらずといった表情。日本に帰国後も心の整理がつかないのか、初めてこの人どうなっちゃうんだろう……と心配しました。どこまでも強くあろうとする夫に「こんなときぐらい、泣いたっていいんじゃない?」と声をかけました。

少し時間が経ったとき、さらっと「俺、東京目指すから」と。このコトバにホッとしている自分がいました。たしかにまた4年間、私も息子たちも大変な生活が始まります。でも夫には、いつか本当に肉体と精神の限界が来たと思うときまで、挑戦し続けてほしいのです。

子どもたちも随分自分たちでできることが増え、助かっています。地域の皆様から応援の声をかけていただくのがちょっぴり恥ずかしい年頃。でも父親のすごさもわかってきているようで、「ハンドボ ールと走り高跳びだけはやらない!」と言ってみたり。天候が悪い日も、怪我をしているときも、それでもトレーニングを長年毎日欠かさない父親を見て、「同じことにずっと努力するってすごいよね」と。母としては、何メートル跳べたからすごい、メダルを取れたからすごいではなく、その過程の努力から何かを感じ取ってくれていることを嬉しく思います。

先日、次男の小学校の全校集会で校長先生が、夫のパラ出場が内定したことを皆の前で発表してくれたとき、お友達がすごく大きな拍手をしてくれたそうです。帰宅後、それを嬉しそうに夫に報告する様子を見て、愛おしさが増しました。

パパが義足であることになんの疑問も持っていない息子たち。最近は、生活用と競技用の素材の違いが気になるよう。

■ 親友のコトバ

「麻美の姉御肌が鈴木家の強みだね!」

 

ともに向上していける関係
それこそが私たちの夫婦像

私自身は昨年、看護師としての向上のため、山梨県で初めて循環器の認定看護師に合格しました。半年間、毎日神奈川の大学病院へ授業を受けるため往復4時間かけて通い、受験資格を得ました。この期間は、夫も試合以外の仕事を極力控え、家のことを全面的にサポートしてく れました。ともに向上していける関係、これこそが我が家の強みです。

本当はもっとかいがいしくスポーツ選手のサポートができる妻のほうが、夫も嬉しかったのかなと思うこともあります。そんなとき、中学からの親友・さおりは、「麻美の姉御肌なところは、徹さんを支えているよね」と、私のことをごくごく自然に褒めてくれ、私を肯定してくれます。夫は今年40歳。陸上選手としては引退を考えてもおかしくない年齢ですが、この夏の東京では、集大成なんて思わないでほしい。ただそのときの最善を尽くしてほしい、悔いのない大会にしてほしい、それだけです。親子3人で、パパの勇姿を見届けたいと思っています。

中学の卓球部でダブルスを組んでいた親友・志田さおりさん。疲れたときにふと会いたくなる人。

鈴木さんのHistory

1. 高校卒業後、看護学校へ進学。21歳で看護師に。
2. 遠距離交際中は、携帯メールがあるにもかかわらず、お互い素直な気持ちをぶつけられる手紙を頻繁に交換。今でも2人とも大切に保管していて、今回久しぶりに読み返したら、ピュアな思いで溢れていました。
3. 挙式はフィジーで。披露宴はお互いの出身地・山梨で。5歳年上の姉さん女房に。
4. 長男と次男を出産。次男出産後は、パートタイムで看護師に復帰。
5. 前回リオは息子2人も現地で応援を楽しみにしていたのですが、時差ボケに耐え切れず、競技開始直前に寝てしまうハプニング!
6. 半年間の猛勉強の末、県初の循環器の認定看護師に合格。

 

撮影/吉澤健太  ヘア・メーク/太田瑛絵〈nude.〉  取材・文/嶺村真由子  編集/磯野文子

※掲載中の情報は2020年VERY4月号「連載・家族のコトバ」誌面掲載時点のものです。

 

■鈴木徹選手の出場種目スケジュール■

「陸上 男子走高跳 T64」
2021年9月3日(金) 9:30 – 12:55

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