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【性教育】見せない、触らせない「水着ゾーン」お風呂で教えよう

「とにかく明るい性教育『パンツの教室』」協会代表理事、のじまなみです!

2020年12月から2021年4月まで連載した性教育コラムが、このたびリニューアルしました。これまでは、主にご家庭で性教育するための心構えについてお伝えしてきましたが、これからは、より具体的で実践的な内容にシフトしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

「水着ゾーン」を教えよう

性教育の第一歩は
見せない、触らせない、大切な場所を覚えることから

 

さて、いよいよ本格的な夏の到来ですね!

例年ならば、保育園や幼稚園、学校でプールやお泊まり行事が行われ、着替えやお風呂で自他のからだを意識する時季。今年はその機会こそ少ないかもしれませんが、今後のためにも、まずは子どもに自分のからだの大切さについて教えられる「水着ゾーン」の話からお伝えしようと思います。

 

「水着ゾーン」とは、からだの中のいわゆる「プライベートゾーン」を指す言葉。ただ、子どもには「プライベートゾーン」という言葉はあまりピンと来ないのです。そこで「パンツの教室」では、水着を着たときに隠れるところ(胸、性器、おしり)+口を「水着ゾーン」として、他人に見せたり触らせたりしてはいけない、自分だけの大切な場所と定義しています。

 

教える際の注意点として、それなら男の子はラッシュガード等で胸を隠さないといけないのかと戸惑う方がいらっしゃるかもしれませんが、その心配はいりません。「水着ゾーン」は、あくまで子どもにとってイメージしやすくするためのキーワード。男の子の水着は一般的なショーツタイプがほとんどですが、もしも誰かに胸を「見せて」「触らせて」と言われた場合は「嫌だ」と言っていいことだけ、しっかりと言い添えておきましょう。

 

出典:『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)

 

「水着ゾーン」を教えるメリットとは?

「水着ゾーン」は性教育が上手くいく
魔法のキーワード

 

「水着ゾーン」は、性教育の様々なことを説明するのに欠かせないキーワード。これを説明することは、家庭の性教育の第一歩と言っても過言ではありません。

「水着ゾーン」を教える主なメリットは、以下の3つ。

 

✔️「自分と他人との境界線」を知る

水泳の授業の前など教室でお着替えとなると、なかにはテンションが上がって、お友だちにおちんちんを見せようとしたりする子が出てくることがあります。本人に悪気はなくても、された方にとっては性的な嫌がらせであり、心の傷になってしまう可能性も。

「水着ゾーン」を教える時は、自分だけでなく、お友だちやお父さんお母さんなど、みんなそれぞれにプライベートな場所があることを伝えましょう。自他の境界線を教えることで、自分を守る意識を育て、同時に人にしてはいけないことも理解できるようになります。

 

✔️「悪い人」の存在に気づける

小さな子どもを対象にした性犯罪が年々増加傾向にあります。

良いことと悪いことの基準がまだ理解できない幼いうちは、自分の身が危険に晒されているということに気づけません。

たとえば、顔見知りの大人から「裸の写真を撮らせて」「ちょっとこっちに来て、お尻を触らせて」と言われ、そういう行為をされたとしても、それが悪い行為かどうかわからないのです。

そこで、あらかじめ「水着ゾーン」を習っていれば、水着で隠れている場所の写真を撮られたり、触られたりしたら、「何かおかしいぞ」と感じることができます。子ども自ら、自分がされていることに気づけるようにしてあげましょう。

 

✔️親子で性の話がしやすくなる

「水着ゾーン」は、「一度伝えれば安心」というものではありません。大事なのは、その考え方を活用して、子どもと性について話し合えるようになっていくこと。

たとえば我が家では折に触れ、5歳の娘にこんな質問をすることがあります。「お友だちに陰に呼ばれて『チューしていいよ』と言われたら、どうする?」「先生がトイレでお尻を拭いてくれる以外に、あなたのお尻を触るのはいいこと?」。すると娘は「水着ゾーンだからダメ〜」と答えるので、すかさず「天才!」と褒めていますが(笑)、「水着ゾーン」を知ると、こんなふうに性の話がしやすくなるのですね。

また、子どもが街中で「おちんちん」や「おっぱい」というワードを発した時は、「それは水着ゾーンだから、お外で言うのはやめようね」と説明することもできます。

 

性教育に最適なタイミングって?

「水着ゾーン」を教えるなら、
お風呂タイム!

「水着ゾーン」を子どもに伝えるならば、一緒にお風呂に入るタイミングがおすすめ! お風呂時間は、性教育に最適なのです。

 

お風呂で伝えるメリットはいくつかありますが、ひとつは、みんな裸なので、性別や年齢によるからだの違いが一目瞭然なこと。子ども自身もそれを目にすることで「なぜお父さんにはおちんちんがあるのに、私にはないの?」と自然に疑問が湧いてきて、「水着ゾーン」の話をしやすくなります。

 

もうひとつは、お風呂はテレビもスマホもない密室空間なので、子どもの気をそらすものがなくコミュニケーションが取りやすいこと。特に男の子は、すぐに駆け回りたくなるもの。浴室ならその心配もないので(笑)、お母さんもリラックスしてお話しできますね。

 

さらに「水着ゾーン」を含む性教育は、男女のきょうだいでも同じ内容を話すことが肝心です。性別にかかわらずみんながお互いのからだについて同じ知識を持つことは、とても大切なことなのです。

目の前に生理の女の子がいた場合、生理の知識のない男の子なら、興味本位でからかってしまうかもしれません。

逆に、男の子の勃起は、必ずしもいやらしいことを想像した時にだけ起こる現象ではありません。プールに入っただけで水の冷感に反応する子もいますが、もしそれをからかわれたら、恥ずかしさからトラウマになってしまうかもしれません。

これらは、どちらも「無知ゆえの暴力」。

相手を思いやるには、まず知ることから。特に日本の場合、学校での性教育が約30年前からほとんどない状態ですから、今後必要なレベルの性教育が行われるようになるには10年、20年はかかるでしょう。ということは、その頃には我が子はもうすっかり大人になっていて、性に関する知識が不十分なまま社会に放り出される可能性だってあるのです。

 

家庭での性教育がいかに重要か、おわかり頂けたでしょうか? この夏はぜひ、お風呂の中で「水着ゾーン」のお話からチャレンジしてくださいね!

 

※「水着ゾーン」は、株式会社Terakoya Kidsの登録商標です。

 

取材・文/村上治子

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性教育アドバイザー のじまなみさん

◉のじまなみさん

性教育アドバイザー。防衛医科大学校高等看護学院卒業後、看護師としてのキャリアを経て、2016年「とにかく明るい性教育【パンツの教室】」を設立。夫と3人の娘の5人家族。著書『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)『男子は、みんな宇宙人! 世界一わかりやすい男の子の性教育』(日本能率協会マネジメントセンター)がヒット中。

『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』のじまなみ/著 おぐらなおみ/イラスト(辰巳出版)¥1,400

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