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「コロナ禍で子どもに多くの体験をさせられない」ママの焦りに柴田愛子さんからメッセージ

子育てをしているとつい、自分の子を周りと比べて焦ったり、自己嫌悪に陥ったり…。そんな、比較して疲れちゃうママたちの悩みに、〝子どもの視点〟を何より大事にしている柴田愛子さんから、もっとラクな気持ちで子どもに向き合うための、愛ある処方箋をいただきました。

▶︎柴田愛子さんインタビューはこちら

ママの悩み ③

コロナ禍の今、休みの日も近くの公園のみ。
たくさんのことを吸収する今だからこそ、
いろんな場所に連れて行って
いろんな体験をさせてあげたい

のにそれが難しい。幼児期の大事な今を
すごく無駄にしてしまっているようで
焦ります。

(4歳女の子のママ)

柴田さんからの処方箋

特別な体験に必死にならなくて大丈夫。
大事なのは子どもの視点に寄り添ってあげること

 子どもはそもそも、感受性が豊かなの。親が感受性を豊かにさせなきゃと必死にならなくても、どんなことだって感じ取る力を持っています。だから、特別な体験をしなくても、遠出しなくても近くの公園でも感受性はちゃんと育っているんです。風が強い日にお散歩していると、「(風は)どうして怒ってるの?」とか、りんごの木でも子どもの言葉にハッとすることは本当にたくさん。

 例えば動物園に子どもを連れて行くと、親はくまなく、少しでもたくさんの動物を見せようと必死になるけど、当の本人はなかなかライオンの檻の前から動かなかったり、動物園の動物じゃなくて足の近くに飛んできた鳩に興味を示したり(笑)。親からすると、もどかしく思うかもしれないけれど、子どもは目まぐるしくいろんな動物を見るよりも、自分が気に入った、好きな動物の前にずっといたいの。子どもの視点や文化と大人のそれは違うのね。大人はとにかくたくさん教えたいけど、子どもが見つけるのはほんのわずか。「毎日同じ公園でよく飽きないなぁ」って、ママからすると不思議に思うこともあるかもしれない。でも、いつも行く公園は子どもにとって何より安心感がある場所なの。だからこそ、そこで新しい体験をすることができる。安心感を持って次を待ち望めるんです。なかには、ものすごく都会に暮らしていて、自然に触れる機会が少ないことを心配するママもいるでしょう。でも、大丈夫。子どもはどんな環境でもその中から興味のあることを奪い取って育っていきます。大自然に囲まれなくても、ちょっとしたお散歩や公園で季節を感じ取ったり、好奇心を持っていろんなことを発見したり、そうやって日々ぐんぐん成長しているのよ。だから、いろんなことを体験させてあげることより、その子の視点を大事にしてあげること。それが何より根本的で大事なことじゃないかしら。

【 お話を伺ったのは… 】

保育施設「りんごの木」代表
柴田愛子さん

私立幼稚園に10年保育者として勤めた後、「りんごの木」を立ち上げる。〝子どもの心に寄り添う〟を基本姿勢とし、保育の傍ら、保育者や保護者向けの講演や執筆、またセミナーを通じて子どもたちの育ちのドラマを発信している。

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撮影/前 康輔 取材・文/北山えいみ 編集/羽城麻子
*VERY2021年6月号「柴田愛子さんインタビュー「あなたの子どもが、いちばんすごい」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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