「Eテレ」の朝番組『シャキーン』(2021年3月29日から放送日時が毎週月曜~木曜の朝6:40~55に変更)で2月から流れている『キミが生まれたから』がママたちに大人気。「名曲!」「涙腺崩壊!」「パプリカ超え!」という声が飛び交う中、娘さんと毎朝くちずさんでいるという編集長の猛プッシュ指令を受け、作詞作曲した「ホフディラン」のワタナベイビーさんと相方の小宮山雄飛さんに話を聞きに行きました。果たして編集長の望むような感動的なインタビューにできるかどうか……。
――この曲を作られたきっかけは?
ワタナベイビー(以下B) 僕の歌の書き方は「自分ニュース」なんです。「歯が浮くような」歌詞が好きじゃなくて、自分のことを書けばそこまで歯が浮かないんじゃないかと。これも善しあしで、偏っちゃってうまくいかないこともあるんですが、今回はいいほうに振れたと。
――去年から「オロナミンC」のCMソングとして森七菜さんがカバーしている『スマイル』(2002年)も「自分ニュース」だったんですか。
B そうですね。当時の自分ニュースでした。そしていま2歳になる娘が生まれたときも、「これは一曲書かなきゃいけない」という使命感が生まれまして。すぐにはできなかったんですが。
――アニメを見ると息子さん(8歳)のために作ったように……。
B でも、あの男の子は長男そっくりで、あのアニメは僕にとって「2倍お得」なんです。
小宮山雄飛(以下Y) 何を言ってるのかよくわからない(笑)。でも、あのアニメはよかったです。女の子とか犬とかキックボードに対する子どもの目線という、元の歌詞にもうひとつ解釈が加わっていて。
B 考えられる限り、望む限りのドンピシャのアニメです。福地明乃さん、まだお会いしたことはないのですが、この場を借りて感謝を伝えたいです。
――小宮山さんは曲を初めて聴いたときどのような印象を?
B 好反応でしたよ。
Y なんであなたが答えるの(笑)。
B 食いつきがよかったというか、「すぐに演奏しよう」と。
Y だから僕が聞かれてるの(笑)。たしかにメンバーに訊かせたとき、すぐにノッてくるかどうかでわかるんですけど、みんないいねと。そして、ワタナベ君、やっと親になったのか、と思いましたね。
B 最初に長男が生まれたときは、『育児研究中』という歌を書いたんですが、今聴いてみると、お前が生まれたからって自分は自分だ、(「お手本どおりの親には なれない ならないぜ」という歌詞あり)、と歌っているけど、二人目に娘が生まれると、もう両手を上げて全面降伏です。もう喜ぶしかないだろう。おれは芸術家とか言ってられない。
――「これ以上の何を望むんだ」というフレーズもありますね。
Y ワタナベ君の歌はいつも自分が主語だし、自分ニュースなんだけど、子どもにしても彼女にしても相手のことを歌っている歌が僕は好きです。『サガラミドリさん』とか『キミのカオ』とか、美しいものになるんです。
――僕もこの歌のサビの部分を聴いていて、自分の子が生まれたとき、あの世界の色彩が一瞬にして変わった瞬間を思い出して、思わずウルッときました。
B おかげさまで、お父さんたちにも評判がよいみたいで。「パパが泣いていた」という報告も多数受けています。
――番組でのサイズは2分ちょっとですが、ロングバージョンもあるのですか?
B いや、あのサイズで降ってきたんです。『シャキーン』から、コロナ禍になにか希望に満ちた曲はないか、2分で、という話が来て、それにパシッと収まる曲ができた。運命的というか幸運に恵まれて。
――歌詞の中に「朝の空気は冷たいんです」とありますが、それまで朝は寝ていた?
B 長男の時は、うっかり午後まで寝てしまって怒られたりしてたんですけど、今は午前中から起きているようになりました。
――朝の風は冷たい、ということを知った。ほんとに「自分ニュース」ね。
取材・文/フォレストガンプ Jr.
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今年デビュー25周年を迎えるポップデュオ。デビュー曲「