「子どもと一緒にお寿司屋さんに行ったとき、高級ネタばかり注文されて大ピンチ!!」そんな経験のあるママは多いはず。神山まりあさんも息子のディーン君と初めて行った「回らないお寿司屋さん」で焦った経験があるそう…。 本誌の人気連載からもう一度読みたいエピソードをピックアップしてお届けします。
*VERY2021年2月号・連載「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
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【連載】神山まりあの「笑うママには福来る。」Vol.24
「グルメ王ディーン」
今日は晴天の土曜日、パパはゴルフ。
マミーとディーンは二人でショッピングデートをしようと張り切っていた。
朝から二人でおめかしして、お気に入りの仮面ライダーカードを握りしめ、手をつないで出発。車の中で二人で歌を歌ったり、4歳の可愛い息子との幸せな休日にルンルン。
ショッピングデートができるようになったなんて、本当に嬉しい。いつもは公園とかだけど、たまにはいいね、こんな休日も。
まずはLEGOストアに行って、大好きなキャラクターのLEGOを買う。
今日は二人のデートだもん、特別に買ってあげよう。
ディーンはルンルンでマミーの手をしっかり握って、「ありがとうマミー!!!」と叫んでいる。ああ幸せだ。
あっという間にお昼の時間。
目の前にあるのは高級そうなお寿司屋さん。
……今日は二人のデートだもん、いいよね。
お寿司食べたい?と聞くとディーンは満面の笑みでYeeeeeaaaaaaah!!!と海外リアクション。
子供も大丈夫か聞くと笑顔で迎えてくれたお寿司屋さん。
カウンターに座ると、すぐに大将が聞いてくる。
「ぼく、何食べたいかな?」
「マグロ!!!!!!」
ま、マグロ!
しょっぱなからマグロ!?
どこで覚えたんだ。
4歳児とは思えぬオーダーに大将も笑っている。
一秒で口に放り込み、もう一度叫ぶ。
「マグロplease!!!」
そしてもう一回、
「マグロone more please!!! おっきいの!」
そろそろやめてくれ。
この食欲旺盛な4歳児はマグロで腹を満たそうとしている。
ほら、違うお寿司も食べてみたら? 海苔巻き食べる? 焦る母。
ディーンは納得したようにオーダーする。
「蟹!!!!いっぱい蟹!!!!」
大将は大笑い。
母は苦笑い。
ちゃんとしたお寿司屋さんは初めてのはずなのに、一丁前に高いものをオーダーしている。
「one more 蟹!」「マグロ!」
遠くから我が子の声がする。
値段はどこにも書いていない。
一体この大きさの蟹はいくらなんだろうか。
大将の笑みさえも信用できなくなってきた。
「大将、納豆巻き、一本作っていただけますか?」
声を絞り出してオーダーした。
おなじみの納豆巻き。
口の周りに蟹をつけたディーンが納豆巻きを食べ始める。
その瞬間、ディーンはキラキラした目で私に言った。
「マミー、これが一番美味しいね!!!!」
…でしょう? いっぱい食べなさい。
お寿司屋さんに来て初めて優しい言葉をディーンにかけてあげられた。

◉神山まりあ
1987年2月17日生まれ。2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。2016年ディーンくんを出産。2018年妊娠、出産、初めての育児を綴った著書『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。インスタグラム@mariakamiyama。
撮影/杉本大希〈zecca〉 ヘア・メーク/秋山 瞳〈PEACE MONKEY〉 イラスト/natsu yamaguchi 編集/湯本紘子
*VERY2021年2月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
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